社長の100の悩み

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採用した社員がすぐ辞める。入社後3カ月で会社は何をすべき? 社長の100の悩み|第24回

「やっと採用できたと思ったら、3カ月で辞めてしまった」

「面接では、本人もやる気がありそうだった」

「こちらも期待して採ったのに、なぜこんなに早く辞めるんだろう」

採用に苦労している中小企業ほど、一人の早期退職は、かなり痛いと思います。

求人を出す。

応募を集める。

面接する。

内定を出す。

入社してもらう。

時間も、お金も、かなり使っています。

それなのに、数カ月で退職。

すると、

「採用で見抜けなかったのかな」

と思う。

もちろん、採用時点でのミスマッチもあります。

でも私は、早期離職を見るとき、採用だけの問題にしない方がいいと思っています。

なぜなら、

採用時には合っていた人でも、入社後の受け入れ方によって辞めることがある

からです。

採用は、入社して終わりではありません。

むしろ、入社してから、会社と本人の本当のすり合わせが始まります。

入社後3カ月は、「会社が社員を見る期間」だけではない

試用期間という言葉があります。

会社側からすると、

「この人が本当に仕事をできるかを見る期間」

という感覚があるかもしれません。

でも、社員側も、同じように会社を見ています。

  • 面接で聞いていた仕事と同じか
  • 上司はどんな人か
  • 会社は何を大切にしているか
  • 困ったときに助けてもらえるか
  • 自分はここで成長できそうか
  • 求人票に書いてあったことは、本当だったか

つまり、入社後の数カ月は、

会社が社員を見極める期間であると同時に、社員が会社を見極める期間

でもあります。

ここで、採用時に伝えた会社と、実際の会社が大きく違う。

となると、早期離職につながりやすくなります。

入社した社員がすぐ辞めるとき、確認してほしい5つのこと

私はまず、次の5つを見ます。

早期離職を防ぐ5つのチェック

  1. 入社前に伝えた仕事と、実際の仕事がズレていないか
  2. 最初に「何を期待しているか」を伝えているか
  3. いきなり一人でできることを求めていないか
  4. 誰に、何を聞けばいいか分かる状態になっているか
  5. 入社直後だけではなく、1〜3カ月後も話す機会をつくっているか

① 入社前に伝えた仕事と、実際の仕事がズレていないか

第14回で、求人票について書きました。

そこで、求人票は、会社を良く見せるためのものではなく、

求職者が自分の働く姿を想像できるようにするもの

と書きました。

これは、入社後にもつながります。

求人では、

「営業として、お客様への提案を中心に担当」

と書いてあった。

でも、入社してみたら、ほとんど事務作業。

あるいは逆に、

「先輩がしっかり教えます」

と聞いていたのに、初日から、

「じゃあ、一人で行ってきて」

となる。

本人からすると、仕事内容そのものより、

「聞いていた話と違う」

ことが大きな不信になります。

もちろん、仕事なので、やりたくないこともあります。

入社前に、すべてを伝えることもできません。

でも、良いところだけを伝えて採用すると、入社後に、その差が一気に出ます。

だから私は、採用広報でも、良いところだけでなく、大変なところも伝えた方がいいと思っています。

採用時にした約束を、入社後に会社が守る。

早期離職を考えるとき、ここはかなり大事です。

② 最初に「何を期待しているか」を伝えているか

社員が入社する。

会社説明をする。

就業規則を渡す。

パソコンを渡す。

仕事を教える。

でも、意外と伝えられていないのが、

「あなたに、まず何を期待しているか」

です。

たとえば、新人営業に、

  • いきなり売上を求めるのか
  • まず商品を覚えてほしいのか
  • 先輩同行を通じて、お客様対応を覚えてほしいのか
  • 3カ月後には、どこまで一人でできるようになればいいのか

これが分からないと、本人は、自分が順調なのかどうかも分かりません。

周りの社員を見て、

「あの人はあんなにできるのに、自分はできない」

と思うこともあります。

でも、入社10年の社員と、入社1カ月の社員を比べても仕方ありません。

だから、たとえば、

1カ月目はここまで。

3カ月目はここまで。

半年後はここまで。

と、期待を分けて伝える。

第19回の目標設定にもつながります。

目標とは、やる気を出させるためだけのものではなく、

今、何を大切にすればいいかを分かりやすくするもの

です。

③ いきなり一人でできることを求めていないか

採用した。

人手が足りない。

できるだけ早く戦力になってほしい。

これは、会社として当然の気持ちです。

でも、

早く戦力化することと、早く一人でやらせることは違います。

第15回で、育成を、

聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる

と整理しました。

入社直後の社員に、説明した。

だから、次から一人でできるよね。

これは、少し飛ばしすぎていることがあります。

  • まず見せる
  • 一緒にやる
  • 本人にやらせる
  • 確認する
  • またやらせる
  • そして、一人でできるようになる

ここには、時間が必要です。

ただし、いつまでも手取り足取り、という話でもありません。

本人の状態を見ながら、少しずつ任せる。

第23回の話と同じです。

任せる範囲は、育成に合わせて広げていく。

その方が、結果として、早く一人でできるようになる場合もあります。

「分からなかったら聞いて」は、意外と難しい

新人に、よく言います。

「分からないことがあったら、何でも聞いてね」

言っている側は、かなり優しいつもりです。

でも、新人からすると、難しい。

  • 何が分かっていないのかも、まだ分からない
  • こんな基本的なことを聞いていいのか
  • 先輩は忙しそう
  • 昨日も聞いた
  • また聞いたら、「まだ分からないの?」と思われないか

だから、聞かない。

自分で考える。

間違える。

上司から、

「分からなかったら聞けばよかったのに」

と言われる。

これは、よくあります。

だから、入社直後ほど、

「聞いていいよ」だけではなく、「何を、誰に、いつ聞くか」まで渡す

方がいいと思っています。

④ 誰に、何を聞けばいいか分かる状態になっているか

たとえば、

  • 仕事のやり方はAさん
  • システムはBさん
  • 休暇や勤怠はCさん
  • 判断に迷うことは直属上司
  • 重大な問題はすぐ管理職

というように、簡単でいいので、入口を分かりやすくする。

そして、第22回の報連相で書いたように、

自分で決めることと、相談することの境界

も伝えていく。

新人ほど、ここは細かめでいいと思います。

経験が増えれば、相談する範囲を減らしていく。

そうやって、少しずつ自分で判断できるようにする。

「新人だから全部聞け」から始まり、ずっと何でも確認させる会社にしてはいけません。

でも、入社した瞬間から、

「主体的に考えて」

だけでも難しい。

最初は、考えるための枠を会社が渡す。

そこからです。

最初の1週間だけ丁寧で、その後放置になっていないか

入社初日。

  • 会社説明
  • 歓迎ランチ
  • 研修
  • 先輩がついてくれる

最初の一週間は、かなり丁寧。

でも、2週間目から、みんな通常業務に戻る。

1カ月後、本人がどう感じているのか、誰も聞いていない。

これも、よくあります。

むしろ、入社した直後は、本人も緊張しています。

「大丈夫です」

と言います。

問題が見えてくるのは、少し仕事を覚えてからです。

  • 思っていたより難しい
  • 人間関係が見えてきた
  • 自分の得意・不得意が分かってきた
  • 会社のやり方も見えてきた

だから、

1週間目より、1カ月後の方が聞きたいことが増えている

こともあります。

⑤ 入社直後だけではなく、1〜3カ月後も話す機会をつくっているか

ここで、第20回の1on1が使えます。

何でも本音を聞き出す必要はありません。

たとえば、1カ月後に、

  • 「今、一人でできる仕事は何?」
  • 「まだ分かりにくい仕事は?」
  • 「思っていた仕事と違ったところはある?」
  • 「誰に相談すればいいか迷うことはある?」
  • 「今、困っていることは?」

と聞く。

2カ月目。

3カ月目。

少しずつ見る。

そして、何かズレがあれば、早めに直す。

退職面談で初めて聞くはずだった話を、入社2カ月目に聞ける。

それだけでも、防げる退職はあると思っています。

「辞めない会社」をつくればいいわけではない

ここは、第5回でも書きました。

私は、退職者をゼロにする必要はないと思っています。

  • 会社と本人が、どうしても合わないこともある
  • 本人が、別の仕事をしたいこともある
  • 会社側が、雇用を続けない方がいい場合もある

だから、

定着率100%を目標にする必要はありません。

大切なのは、

  • 本当は続けられた人
  • 会社にも合っていた人
  • 少し支援すれば、活躍できた人

そういう、

「辞めなくてもよかった人」まで辞める会社にしないこと。

です。

「定着させる」と「居心地を良くする」は同じではない

早期離職を防ぎたい。

だから、社員へ優しくする。

怒らない。

厳しい仕事をさせない。

嫌なことはやらせない。

これも、少し違います。

会社は、仕事をする場所です。

  • 守るべきルールは、守る
  • 求める成果は、求める
  • 改善すべきことは、伝える

第21回で書いた基本ルールも、新入社員だから例外、ではありません。

ただし、

できないことと、やらないことは分ける。

まだ能力が足りないなら、教える。

経験させる。

一方で、誰でも守れる基本ルールを、理解しているのに守らない。

これは、別の問題です。

つまり、定着とは、何でも受け入れることではありません。

会社と本人が、お互いの期待を理解したうえで、一緒に働ける状態をつくること。

だと思っています。

「すぐ辞めるのは最近の若者だから」で終わらせない

早期離職が起きると、

「最近の若い人はすぐ辞める」

という話になることがあります。

でも、それだけで終わると、会社側は何も変わりません。

もちろん、本人側の問題もあります。

  • 仕事への期待が現実的でない
  • 少し嫌なことがあると、すぐ辞める
  • 本人の責任でしかないケースもある

だから、何でも会社の責任にする必要はありません。

ただ、会社側で変えられることがあるなら、そこは変える。

  • 採用時に、仕事を正しく伝える
  • 入社後、役割を伝える
  • 育成する
  • 相談できる状態をつくる
  • 少しずつ任せる

これをやったうえで、それでも合わないなら、それは仕方がない。

社員が悪いか、会社が悪いか、の二択で考えない。

私は、その方がいいと思っています。

採用時の「活躍する人」と、入社後の育成はつながっている

第13回では、採用基準について書きました。

「いい人」ではなく、「自社で活躍する人」を言葉にする。

という話です。

でも、採用基準をつくっただけでは、人は活躍しません。

たとえば、

「自分で考えて行動できる人」

を採用した。

でも、入社後は、何でも上司へ確認させる。

これでは、その人の良さを消してしまうかもしれません。

逆に、経験の浅い人を採用したのに、

「即戦力だから」

と放置する。

これも違う。

つまり、

採用で選んだ理由と、入社後の育て方をつなげる。

ことが必要です。

  • どんな人を採ったのか
  • 何を期待しているのか
  • どこを育てるのか

ここが一本につながると、採用はかなり強くなります。

入社後3カ月で見たいのは、「活躍したか」より「前に進んでいるか」

新入社員に、3カ月で大きな成果を求める会社もあります。

もちろん、職種によっては、早く結果が出る場合もあります。

でも、私は、3カ月くらいなら、成果だけでなく、

成長の方向が合っているか

を見る方が大事だと思います。

  • 仕事の基本ルールを守れるようになった
  • 聞いた仕事を理解できるようになった
  • 一人でできる仕事が増えた
  • 相談するタイミングが分かってきた
  • 少しずつ判断できるようになった
  • お客様や周囲との関係もできてきた

これは、十分な前進です。

第15回の、

聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる

のどこまで来たのかを見る。

結果だけでなく、前に進んでいるかを見る。

それなら、本人も自分の成長を感じやすくなります。

早期離職を防ぐ一番の方法は、「早く違和感を見つける」こと

早期離職を防ぐ、というと、

  • 福利厚生
  • 給与
  • 歓迎会
  • 社内イベント

いろいろな施策があります。

もちろん、必要な会社もあります。

でも、私はまず、

本人と会社の間に生まれた小さな違和感を、早く見つけること

だと思っています。

  • 仕事内容が違う
  • 期待されていることが分からない
  • 教えてもらえない
  • 相談しづらい
  • 仕事を任せてもらえない
  • 逆に、いきなり任されすぎる

こういうものは、最初は小さい。

でも、誰にも言えず、何カ月も積み重なると、

「この会社は自分には合わない」

になっていきます。

だから、問題が大きくなってから、退職を引き止めるより、小さいうちに整える。

第20回の1on1も、第22回の報連相も、全部ここにつながります。

「社長を、楽にする。」採用後の受け入れにする

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

採用する。

すぐ辞める。

また求人を出す。

面接する。

採用する。

また辞める。

これを繰り返すと、社長も、管理職も、現場も、ずっと採用に追われます。

一方で、

  • 採用時に、会社と仕事を正しく伝える
  • 入社したら、期待する役割を明確にする
  • 仕事を段階的に教える
  • 相談先をつくる
  • 定期的にズレを確認する
  • 少しずつ任せる

そうすると、採用した人が、会社の中で戦力になっていきます。

つまり、採用活動とは、人を会社へ入れるところまでではありません。

その人が会社の中で仕事をできるようになるところまで。

そこまで考えて、初めて、採用が経営を楽にするのだと思っています。

まとめ|採用は、入社した日で終わらない

せっかく採用した社員が、すぐ辞める。

そんなとき、

「採用で見抜けなかった」

だけで終わらせない。

一度、入社後を見てみてください。

  • 採用時に伝えた仕事と、実際の仕事は合っているか
  • 何を期待しているか、本人に伝わっているか
  • 育成の段階を飛ばしていないか
  • 誰に何を相談すればいいか、分かっているか
  • 1カ月後、2カ月後、3カ月後に、ズレを確認しているか

採用した人に、ただ、

「頑張って」

と言うのではなく、

この会社でどうすれば仕事ができるようになるのかを、会社側も一緒につくる。

採用は、内定で終わりません。

入社でも終わりません。

採用した人が、自社で仕事をできるようになって、初めて採用が成功に近づく。

私は、そう考えています。

そして、退職をゼロにすることを目指すのではなく、

辞めなくてもよかった人まで、辞める会社にしない。

そのために、入社後の最初の3カ月を、

「様子を見る期間」

ではなく、

会社と本人が、お互いの期待を合わせていく期間

として使う。

それが、採用した人が残り、育ち、少しずつ任せられる会社につながっていくのだと思います。


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JAPANVISIONでは、中小企業の採用だけでなく、入社後の受け入れ・育成・役割整理・1on1・管理職育成まで、採用した人が実際に仕事をできるようになるところまで一緒に整理しています。
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