社長の100の悩み

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社員が報連相をしない。報告・相談が遅れる会社は何を変えればいい? 社長の100の悩み|第22回

「もっと早く言ってくれれば、こんなことにならなかったのに」

「問題が大きくなってから、初めて相談してくる」

「聞かないと何も報告してこない」

「逆に、何でも聞いてきて自分では判断しない社員もいる」

社長や管理職から、こんな話を聞くことがあります。

お客様からクレームが入っていた。

納期が遅れそうだった。

見積金額に間違いがあった。

社員同士でトラブルが起きていた。

でも、上司が知ったのは、問題がかなり大きくなってから。

すると、

「うちの社員は報連相ができない」

となります。

もちろん、本人が報告すべきことを報告していない、という場合もあります。

ただ私は、報連相を考えるとき、最初から、

「もっとコミュニケーション能力を上げよう」

という話にはしません。

その前に、二つに分けて考えます。

① 決められたタイミングで報告すること

② 状況を整理し、必要な人へ適切に相談すること

この二つです。

前者は、基本的には誰でもできます。

後者は、経験や判断力によって差が出ます。

第21回で書いた、

「誰でもできる基本ルール」と「能力や経験が必要なもの」

の違いが、報連相にもあるのだと思っています。

まず、「報告する」という約束を守れているか

たとえば会社で、

「重大な問題が起きたら、30分以内に上司へ第一報を入れる」

と決めたとします。

この段階では、報告内容が完璧である必要はありません。

  • 原因が分かっていなくてもいい
  • 解決方法が決まっていなくてもいい

まず、

「こういうことが起きています」

と伝える。

これは、高度なスキルというより、会社で決めた基本ルールです。

それなのに、

  • 本人もルールを理解している
  • 報告手段も分かっている
  • 報告することもできる

それでも、何度言っても報告しない。

となれば、前回と同じように、単純な「報連相が苦手」という話ではなくなります。

一方で、

  • 報告はしている
  • でも、何を伝えればいいか整理できない
  • いつ相談に切り替えるべきか分からない
  • 自分の考えをまとめられない

これは、育成する余地のある部分です。

「報告しない」と「報告はするが、うまくできない」は分けて考える。

この二つを分けるだけでも、管理職の対応はかなり変わります。

報連相がうまくいかない会社で、確認してほしい5つのこと

私はまず、次の5つを見ます。

報連相を機能させる5つのチェック

  1. 何を、いつ報告するかが決まっているか
  2. 「報告」と「相談」と「許可」が混ざっていないか
  3. 悪い情報ほど、早く言える状態になっているか
  4. 報告する側に、情報を整理する型を教えているか
  5. 上司が報告を受けたあと、きちんと反応しているか

① 何を、いつ報告するかが決まっているか

「何かあったら報告して」

よく使う言葉です。

でも、何かとは何でしょうか。

  • お客様から少し不満を言われた。報告する?
  • 納期が半日遅れそう。報告する?
  • 見積金額が予定より5万円上がりそう。報告する?
  • 新人が小さなミスをした。報告する?

上司からすると、

「そんなの普通、報告するでしょ」

と思うかもしれません。

でも、部下からすると、

「まだ自分で何とかできる」

と思っているかもしれない。

ここで、認識のズレが起きます。

だから、ある程度、基準を決めておく。

すぐ報告する

  • 安全に関わる
  • 重大なクレーム
  • 納期に大きな影響が出る
  • 会社の信用に関わる
  • 自分の権限を超える判断が必要

その日のうちに共有する

  • 予定から少し遅れている
  • 小さなミスがあった
  • 他部署との調整が必要
  • 判断に迷っている

定期的に報告する

  • 通常の進捗
  • 数値
  • 日常業務の結果

もちろん、会社や仕事によって、基準は違います。

大切なのは、

「ちゃんと報告しろ」ではなく、「どんなときに、いつまでに報告するのか」を明確にすること。

です。

② 「報告」と「相談」と「許可」が混ざっていないか

報連相が多すぎる社員に、

「もっと自分で考えて」

と言うことがあります。

逆に、自分で決めた社員には、

「なんで相談しなかったの?」

と言う。

これでは、社員は迷います。

そこで、少し分けて考えます。

報告
現在の状態や結果を伝えること。

相談
自分だけでは判断しにくいことについて、上司や周囲の経験・知識・権限を使って、仕事を前へ進めること。

許可
自分には決定する権限がないことを、権限を持つ人に決めてもらうこと。

この三つは、少し違います。

たとえば、

「値引き率5%までは自分で決めてよい」

のであれば、3%の値引きについて毎回、

「やっていいですか?」

と聞く必要はありません。

本人が判断して、

「今回は3%値引きで進めます」

と報告すればいい。

一方で、10%値引きが必要なら、自分の権限を超える。

だから、上司へ相談する。

こういう境界が分かると、社員も動きやすくなります。

「相談する=主体性がない」ではない

第17回でも書きましたが、私は、ここをかなり大事にしています。

主体性というと、

「何でも自分で考えて、自分で決めること」

と思われることがあります。

でも、会社では、そうではありません。

自分の権限を超えることまで、勝手に決めたら困ります。

だから、良い仕事をする人は、何でも一人でやる人ではなく、

自分で判断するところと、周囲を使うところを分けられる人

だと思っています。

相談も、立派な仕事です。

ただし、何も考えず、

「どうすればいいですか?」

だけでは、上司も判断しにくい。

そこで必要になるのが、次の段階です。

③ 悪い情報ほど、早く言える状態になっているか

報連相で、特に重要なのは、悪い情報です。

  • 「契約が取れました」
  • 「予定通り進んでいます」

これは、比較的言いやすい。

難しいのは、

  • 「間に合わないかもしれません」
  • 「お客様が怒っています」
  • 「ミスをしました」
  • 「まだできていません」

です。

社員が、早めに報告する。

すると、上司が、

「なんでそんなことになったんだ!」

と怒る。

次に同じようなことが起きたとき、本人は、もう少し自分で何とかしてから言おう、と思う。

さらに状況が悪化する。

そして、もっと怒られる。

これでは、悪い情報ほど遅くなります。

もちろん、ミスをしたことまで、何でも、

「大丈夫、大丈夫」

で終わらせる話ではありません。

まず、問題への対応をする。

そのあとで、

  • なぜ起きたのか
  • 次はどうするのか
  • 本人に改善すべきことは何か

を考える。

順番です。

報告を受けた瞬間と、原因を振り返る時間を分ける。

私は、悪い情報が早く上がってくる会社の方が、問題は小さいうちに直せると思っています。

④ 報告する側に、情報を整理する型を教えているか

社員が、

「ちょっと相談があるんですが……」

と言って、10分話している。

でも、結局、何を相談したいのか分からない。

上司からすると、

「結論から言ってくれ」

となります。

これも、社員の能力だけの問題にしない方がいいと思っています。

報告や相談には、型があります。

  1. 今、何が起きているか
  2. 自分はどう考えているか
  3. どんな選択肢があるか
  4. 何を判断・相談してほしいのか

たとえば、

「A社から納期を3日早めてほしいと言われています」

「今の工程だと、そのままでは難しいです」

「他の案件をずらす方法と、一部を外注する方法があると思っています」

「どこまで調整してよいか相談したいです」

これなら、かなり判断しやすい。

本人も、ただ答えをもらいに来たのではなく、考えてから相談しています。

第17回で書いた、

主体性の反対は「相談すること」ではなく、「考えることを放棄すること」

という考え方です。

最初から完璧な報告を求めない

ここは、第21回との違いです。

決めた時間までに、報告する。

これは、誰でもできる基本ルールとして、徹底する。

でも、

  • 分かりやすく報告する
  • 重要な情報を選ぶ
  • 状況を整理する
  • 自分の考えを添える
  • 適切な選択肢を出す

これは、最初から全員が同じレベルでできるわけではありません。

新人なら、難しくて当然です。

だから、教える。

一緒に整理する。

何が足りなかったかを伝える。

次にやらせる。

第15回の、

聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる

です。

報連相も、育成できます。

ここで、基本ルールを守らなかったことと、報告の質が低かったことを、同じように怒ってしまうと、部下は何を直せばいいか分からなくなります。

⑤ 上司が報告を受けたあと、きちんと反応しているか

報連相は、部下だけの仕事ではありません。

社員が報告する。

上司が、

「分かった」

と言う。

その後、何もない。

また報告する。

「あとで見る」

と言われる。

忘れられる。

そのうち、社員は、

「報告しても意味がない」

と思うようになります。

第20回の1on1でも、同じ話を書きました。

話を聞くことだけではなく、話したことが仕事に反映されること。

です。

報告を受けたら、

  • 必要なら判断する
  • 必要なら誰かへ伝える
  • 本人がそのまま進めていいなら、「そのまま進めて大丈夫」と返す
  • 上司がすぐ動けないなら、「明日までに確認する」と伝える

報連相とは、一方通行ではありません。

報告する側と、受ける側の共同作業

です。

「報告」と「許可」を分けないと、上司に仕事が集まる

報連相を重視するあまり、何でも上司へ確認する会社になることがあります。

  • メールを送る前に確認
  • 見積を出す前に確認
  • お客様へ回答する前に確認
  • 少し条件が変わったら確認

これでは、上司がボトルネックになります。

さらに、社員は、自分で判断しなくなる。

そして上司は、

「うちの社員には主体性がない」

と言う。

少し皮肉な状態です。

だから、報告を求めるなら、同時に、

どこまで本人に判断を任せるか

も決める必要があります。

「報告はしてほしい。でも、これは自分で決めていい」

というものはあります。

ここを整理すると、報連相が、監視ではなく、情報共有になります。

「結論から話せ」だけでは、報告力は育たない

「報告は結論から」

よく言われます。

私は、使いやすい原則だと思います。

ただ、それだけでは足りません。

社員が、何が結論なのか分かっていないこともあります。

何を上司が知りたいのか分からないこともある。

だから、単に、

「結論から話せ!」

ではなく、

「この報告で、相手に何を判断してもらいたいのか」

まで考えさせる。

それが分かれば、必要な情報も整理しやすくなります。

日報を書かせれば、報連相が良くなるわけではない

報告が少ない。

だから、日報を導入する。

これも、よくあります。

もちろん、日報が有効な会社もあります。

でも、社員が今日やったことを10行書く。

上司は、ほとんど読まない。

社員は、提出するために書く。

これでは、仕事が一つ増えただけです。

日報を使うなら、何を知りたいのか。

  • 今日の進捗
  • 困っていること
  • 明日の予定
  • 上司へ確認したいこと

など、目的を絞る。

そして、上司がちゃんと見る。

必要なら反応する。

制度をつくる前に、その情報を、誰が何のために使うのかを考える。

これは、評価制度も、1on1も、目標設定も、全部同じです。

報告手段が多すぎる会社も、情報が止まりやすい

  • 口頭
  • 電話
  • メール
  • チャット
  • グループウェア
  • 日報
  • 会議

今は、報告する手段が増えています。

すると、

  • 「これはチャット?」
  • 「メール?」
  • 「直接言う?」
  • 「日報に書けばいい?」

となる。

そして、重要な情報が、誰も見ていないところに置かれることがあります。

だから、簡単でいいので、ルールを決める。

緊急 → 電話・直接

通常の相談 → チャット

記録を残す重要事項 → メールやシステム

日々の進捗 → 日報

これも、正解は一社一社違います。

大切なのは、

情報をどこへ出せば、必要な人に届くのかが分かること。

です。

「報告が遅い社員」の裏に、「話しかけにくい上司」がいることもある

部下が、相談しようとする。

上司は忙しい。

「今ちょっと無理」

「あとにして」

と言う。

本人は、また後で聞こうと思う。

でも、上司はまた忙しい。

そのうち、

「自分で何とかしよう」

となる。

問題が大きくなる。

そして、上司から、

「なんでもっと早く言わなかったんだ」

と言われる。

本人としては、

「言おうとはしたんだけどな」

ということもあります。

だから、報告が上がらないとき、社員だけを見るのではなく、

上司が報告を受け取れる状態になっているか

も見た方がいいと思います。

  • 朝会でもいい
  • チャットでもいい
  • 短い定例でもいい

「ここなら相談できる」という入口を用意しておく。

これも、管理職の仕事です。

何でも相談してくる社員には、「相談するな」ではなく判断範囲を広げる

逆に、何でも聞いてくる社員もいます。

「これ、どうしますか?」

「これは?」

「こっちは?」

上司からすると、

「少しは自分で考えてくれ」

となる。

でも、なぜ聞いているのかを見た方がいい。

  • 新人だから判断基準を知らない
  • 任されている範囲が分からない
  • 以前、自分で判断して怒られた
  • 上司によって答えが違う

こういうケースもあります。

だから、一つずつ、

「これは今後、自分で決めていい」

と範囲を広げていく。

判断の材料も渡す。

そして、結果を振り返る。

そうやって、相談しない人にするのではなく、

必要なときに、必要な相談ができる人に育てる。

そこが大切だと思います。

社長に直接、全部の報告が来ていないか

中小企業では、社員が何でも社長に聞く会社があります。

「社長、これどうします?」

「社長、○○さんがこう言っています」

「社長、この金額でいいですか?」

管理職がいるのに、飛ばして社長へ来る。

社長も、答えた方が早いので答える。

すると、ますます社員は社長へ行く。

管理職は、判断する経験を積めない。

そして、社長は、ずっと忙しい。

これは、報連相の問題というより、

誰が何を判断する会社なのか

という問題です。

  • どこまで社員
  • どこまで管理職
  • どこから社長

を整理する。

報告ルートは、そのまま、役割・責任・権限の設計です。

管理職は、「全部知っている人」になる必要はない

管理職になると、部下から相談されたら、答えなければならない、と思う人がいます。

でも、全部の答えを知っている必要はありません。

「これは私だけでは判断できないから、上と相談する」

でもいい。

大事なのは、部下から来た情報を、必要なレベルまで整理して、次へ上げられること。

つまり、管理職は、報告の終点ではありません。

必要な情報を整理し、適切な場所へつなぐ中継点

でもあります。

それができると、社長に、現場の細かい情報が全部流れ込むことも減ります。

「社長を、楽にする。」報連相にする

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

会社で問題が起きる。

社員は、どこまで自分で決めていいか分からない。

管理職も、何を自分で判断していいか分からない。

結局、全部社長へ来る。

しかも、問題がかなり大きくなってから。

社長が、

  • 状況を一から聞く
  • 情報を集める
  • 判断する
  • 関係者へ指示する

これでは、社長はいつまでも、会社のトラブル処理係です。

一方で、

  • 誰でも守れる報告ルールは、普通に守られている
  • 自分で判断する範囲が分かっている
  • 必要なときは、自分の考えを持って管理職へ相談する
  • 管理職で判断できるものは、管理職が判断する
  • 社長が判断すべきものだけ、必要な情報が整理されて上がってくる

そうなると、社長に来る相談は、単に減るだけではありません。

相談の質が変わります。

私は、これが大事だと思っています。

まとめ|報連相は、「たくさん話すこと」ではなく、情報と判断を正しく流すこと

社員が報告してこない。

相談が遅い。

逆に、何でも聞いてくる。

そんなとき、単に、

「もっと報連相をしよう」

ではなく、少し分けて考えてみてください。

まず、決めたタイミングで報告する。

これは、会社の基本ルールとして徹底する。

そのうえで、

  • 何を伝えるのか
  • どう整理するのか
  • どこまで自分で判断するのか
  • いつ相談するのか

ここは、教え、経験させ、育てていく。

そして、上司側も、

  • 悪い情報を受け取りやすくする
  • 報告に反応する
  • 本人へ判断を返せるところは返す
  • 必要なら、さらに上へつなぐ

報連相は、社員だけの問題ではありません。

会社の中で、情報と判断をどのように流すかという組織設計の問題でもあります。

たくさん報告する会社が、良い会社とは限りません。

何でも上司へ相談する社員が、良い社員とも限りません。

大切なのは、

必要な情報が、必要なタイミングで、必要な人へ届き、必要な人が判断できること。

です。

第21回では、まず、

「決めたことを守る」

という土台をつくりました。

その上で、

  • 自分で考える
  • 判断する
  • 必要な人へ相談する
  • 仕事を前へ進める

ここまでできて、報連相は、単なる社内マナーではなくなります。

報連相とは、上司を安心させるためのものではなく、仕事を止めず、問題を小さいうちに修正するためのもの。

私は、そう考えています。

そして、社長が一つひとつ状況を確認しなくても、必要な情報と判断が、会社の中を自然に流れる。

そんな状態をつくることが、社長を楽にする組織につながっていくのだと思います。


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