社長の100の悩み

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社員が会社のルールを守らない。管理職はどこまで徹底すべき? 社長の100の悩み|第21回

「何度言っても、決めたことを守らない社員がいる」

「日報は17時までと言っているのに、出したり出さなかったりする」

「注意すると、そのときは直る。でも、また元に戻る」

「こんな基本的なことまで、いちいち言わないといけないのか」

社長や管理職から、こんな話を聞くことがあります。

社員には、自分で考えてほしい。

主体的に働いてほしい。

細かいことまで管理したくない。

その気持ちは、よく分かります。

でも私は、その前に一つ、確認した方がいいことがあると思っています。

それは、

会社で決めた最低限のルールが、普通に守られているか。

です。

主体性。

目標設定。

1on1。

報連相。

こうしたことを考える前に、組織として、

「決めたことは守る」

という土台が必要です。

ただし、ここで大切なのは、

すべてのルールを同じように考えないこと。

です。

ルールには、「やればできるもの」と「能力が必要なもの」がある

たとえば、営業社員に、

「今月、新規契約を5件取る」

という目標を設定したとします。

本人が一生懸命努力しても、達成できないことはあります。

  • 経験
  • 営業力
  • 商品
  • 市場
  • お客様

さまざまな要因があるからです。

一方、

「毎日17時までに日報を提出する」

というルールなら、基本的には、やるか、やらないかです。

もちろん、急病や事故など、どうしても守れない事情はあります。

その場合も、

「難しいと分かった時点で上司へ連絡する」

と決めておけばいい。

つまり、会社の中には、大きく分けると、

  • 能力や経験によって、できる・できないがあるもの
  • 能力に関係なく、決められた通りにやればできるもの

があります。

この二つを、同じように管理しない方がいいと思っています。

管理職が最初につくるのは、「決めたことが守られる状態」

管理職になると、

  • 部下を育てなければ
  • モチベーションを上げなければ
  • 成果を出させなければ

と考えます。

もちろん、どれも大切です。

でも私はその前に、管理職が最初につくるべき状態があると思っています。

それが、

「チームで決めた最低限のルールが、普通に守られている状態」

です。

たとえば、

  • 始業時刻を守る
  • 決めた期限までに提出する
  • 出退勤を正しく打刻する
  • 問題が起きたら決められた時間内に第一報を入れる
  • 使ったものを決められた状態に戻す

こうした、誰でもできる基本的なことです。

いきなり、たくさん決める必要はありません。

むしろ、最初は一つでもいい。

会社として本当に大事で、誰でもできて、守ったかどうかが明確に分かるもの。

まず、それを徹底する。

私は、ここが組織づくりのかなり基本的な部分だと思っています。

ルールが守られない会社で、確認してほしい5つのこと

私はまず、次の5つを確認します。

基本ルールを機能させる5つのチェック

  1. そのルールは、本当に誰でもできるものか
  2. 守った・守っていないが明確に分かるか
  3. 会社が本当に大切だと思っているルールか
  4. 守らなかったとき、管理職が毎回きちんと指摘しているか
  5. 何度伝えても守らない場合、「できない」と「やらない」を分けて考えているか

① そのルールは、本当に誰でもできるものか

まず、ここを分けます。

  • 「売上を上げる」
  • 「お客様から信頼される」
  • 「良い提案をする」
  • 「部下を成長させる」

これは、誰でもすぐにできることではありません。

能力や経験が必要です。

だから、できなかったからといって、すぐに、

「本人にやる気がない」

とは言えません。

教える。

経験させる。

振り返る。

必要なら支援する。

第15回で書いた、

聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる

という育成が必要です。

一方で、

「17時までに日報を出す」

と決まっていて、本人もそのルールを理解している。

提出方法も分かっている。

時間も与えられている。

それなら、話は少し違います。

能力の問題ではありません。

まず、

「できないのか」
「やっていないのか」

を分けて考える。

ここを混ぜないことが大切です。

② 守った・守っていないが明確に分かるか

ルールをつくっても、言葉が曖昧だと、人によって解釈が変わります。

たとえば、

「机をきれいにして帰る」

というルール。

「きれい」の基準は、人によって違います。

本人は、きれいだと思っている。

上司は、できていないと思っている。

これでは、注意される側も納得しにくい。

それより、

「退社時には、机の上に書類や私物を残さない」

とした方が分かりやすい。

同じように、

  • 「早めに報告する」ではなく、「問題が発生したら30分以内に第一報を入れる」
  • 「遅刻しない」だけではなく、「始業時刻までに所定の状態で仕事を始められるようにする。難しい場合は判明時点で上司へ連絡する」

というようにする。

大切なのは、

上司の感覚で合否が変わらないこと。

守った本人にも、守れていない本人にも、結果が分かる。

ルールは、そのくらい明確な方がいいと思っています。

③ 会社が本当に大切だと思っているルールか

ここも、かなり大事です。

ルールは、多ければいいわけではありません。

  • 何となく昔からある
  • 誰も意味を説明できない
  • 管理職自身も守っていない
  • でも、社員には守れと言う

これでは、徹底するのは難しい。

だから、基本的なルールほど、私は、

「なぜ会社として、これを守るのか」

を一度考えた方がいいと思っています。

  • お客様との約束を守るため
  • 安全を守るため
  • 一緒に働く人に迷惑をかけないため
  • 仕事の情報を止めないため
  • 会社として信用を守るため

理由がある。

そのうえで、会社として、

「これは全員に守ってもらう」

と決める。

もし、守らなくても大して困らないのであれば、そもそもルールから外してもいい。

大事ではないルールまで増やして、全部守れと言う必要はありません。

必要ならつくる。

不要ならつくらない。

ただ、本当に必要だから決めたものは、曖昧にしない。

その方が、社員にとっても分かりやすいと思います。

④ 守らなかったとき、管理職が毎回きちんと指摘しているか

ここは、管理職にとって、少ししんどいところです。

いつもは、日報を出している。

今日は、出していない。

でも、今日は忙しそうだった。

いつも頑張っているし、まあいいか。

次の日、別の社員が出していない。

この人には以前も注意したから、今日は言う。

こうなると、社員からすると、ルールそのものではなく、

「今日は注意されるかどうか」

を見るようになります。

そして、少しずつ、

「守らなくても大丈夫な日がある」

という認識が生まれます。

だから、本当に守らせると決めた基本ルールなら、違反を見つけたときは、毎回扱う。

ただし、ここで誤解してほしくないのは、

毎回怒る必要はない

ということです。

「今日、17時までの日報が出ていません」

「ルールは17時までなので、次回から守ってください」

それでいい。

  • 人格を否定しない
  • 感情的に怒鳴らない
  • 長い説教もしない

ただ、

守れていない事実を、見逃さない。

私は、それが一番大事だと思っています。

「今回はいいよ」が、優しさとは限らない

管理職になると、部下との関係もあります。

  • 嫌われたくない
  • 忙しいのも分かる
  • 一生懸命なのも分かる

だから、一回くらいは、と思うことがあります。

その気持ちは、自然です。

でも、基本的なルールについて、管理職がその日の気分や相手によって、守らなくてもよい状態をつくると、困るのは最終的には社員です。

守った人からすると、

「自分は守っているのに、守らない人も同じなんだ」

となる。

守らなかった本人も、

「どこまでなら大丈夫なのか」

が分からなくなる。

だから、私は、

優しさと曖昧さは、分けた方がいい

と思っています。

  • 事情は聞く
  • 困っていれば支援する
  • でも、ルールを守ったかどうかは別にする

この方が、結果的には公平です。

高い成果を出している社員なら、ルールを守らなくてもいいのか

これは、会社で起こりやすい問題です。

  • 営業成績がトップ
  • 技術力も高い
  • お客様からも評価されている

でも、基本的なルールを守らない。

社長としては、

「まあ、あいつは結果を出しているから」

と思いたくなることがあります。

でも、会社として、本当にそのルールを大事にすると決めたのであれば、成果によって守らなくてよくなるものではありません。

むしろ、成果を出している人だけ例外になると、他の社員は、

「会社のルールより、力がある人の方が上なんだ」

と感じます。

それでは、管理職も指導しにくくなります。

もし、トップ社員には守らせなくても問題ないルールなら、そのルール自体を見直した方がいい。

でも、全員に必要なルールなら、誰であっても同じ。

能力の高さを、基本ルールを守らない理由にしない。

ここは、組織としてかなり大事だと思っています。

何度言っても守らない社員を、どこまで指導するのか

ここは、少し難しい話です。

一度、ルールを守らなかった。

だから、

「この人は会社に合わない」

という話ではありません。

  • 忘れることもある
  • 認識が違っていたこともある
  • ルールそのものが曖昧だったかもしれない

だから、まず会社側が確認します。

  • ルールは明確か
  • 本人は理解しているか
  • 本人にとって実行可能か
  • 守れなかった事情はないか
  • 上司が一貫して伝えているか

そのうえで、何度も説明する。

指摘する。

改善する機会も渡す。

それでも、会社が大切にしている、誰でもできる基本ルールを、繰り返し守らない。

となれば、少し意味が変わってきます。

それは、

「能力が足りなくてできない」

という問題ではなく、

「会社が守ってほしいと決めたことを、本人が守らない選択をしている」

という問題になってきます。

私は、ここまで来たら、会社が無期限に受け入れ続ける必要はないと思っています。

なぜなら、守っている社員がいるからです。

一人だけを何度も例外にすれば、ルールを守っている人の方が、ばからしくなってしまいます。

「チームから外す」という判断も、場合によっては必要になる

これは、できるだけ丁寧に書いておきたいところです。

一回ルールを破ったから、すぐに辞めてもらう。

という話ではありません。

また、上司と気が合わないから、

「ルールを守らない人」

にしてしまうのも違います。

会社側が、

  • 明確で
  • 合理的で
  • 誰でも実行できるルールを設定している
  • 本人にも十分説明している
  • 繰り返し指摘している
  • 改善する機会も渡している

それでも、本人が意図的に守ろうとしない。

その状態が続くなら、

「このチームの一員として働く条件が合っているのか」

を考えることは、私は必要だと思っています。

  • 配置や役割を見直す
  • 正式な指導をする
  • 必要であれば、就業規則や法令に沿って、今後の所属そのものを検討する

そういう判断もあり得ます。

少し厳しく聞こえるかもしれません。

でも、これは、一人を排除したいからではありません。

決めたことをきちんと守って働いている人たちを、会社が守るためでもあります。

私は、そこを忘れてはいけないと思っています。

ルールを徹底することは、「社員を縛ること」ではない

ここまで読むと、

「そんなにルールを徹底したら、社員が窮屈にならないか」

と思うかもしれません。

私は、逆の面もあると思っています。

何を守らなければならないか。

どこまでは自分で決めていいか。

その境界が分かっている方が、社員は動きやすい。

たとえば、道路には、

  • 信号があります
  • 車線があります
  • 速度制限があります

ルールがあるから、道路の中では、自分で目的地を決めて走れます。

会社も、少し似ています。

何も決まっていないことが、自由とは限りません。

むしろ、何をしていいのか分からなくなることがあります。

守るところは、きちんと守る。
そのうえで、考えるところは任せる。

私は、この二つをセットで考えた方がいいと思っています。

「ルールを守る」と「主体性」は、反対ではない

第17回では、社員の主体性について書きました。

そこで、主体性とは、何でも自分勝手に決めることではない、と書きました。

自分の役割と責任範囲を理解したうえで、自ら考え、必要な人を使いながら仕事を前へ進めること。

です。

ここに、今回の話を重ねると、順番が見えてきます。

  1. 守るべき基本ルールを守る
  2. 自分の役割を理解する
  3. 自分で考える
  4. 自分で判断できるところは判断する
  5. 必要なところで相談する

つまり、ルールを守れる人をつくることと、主体的な人をつくることは、矛盾しません。

むしろ、

守るべきものが明確だから、その外側で安心して考えられる。

のだと思います。

報連相にも、「誰でもできる部分」と「能力が必要な部分」がある

これは、次のテーマにもつながります。

たとえば、会社で、

「重大な問題が起きたら30分以内に上司へ第一報を入れる」

と決める。

これは、基本的には誰でもできます。

まず、このルールを守る。

でも、その先の、

  • 「何を報告するべきか」
  • 「どこまで自分で考えてから相談するか」
  • 「上司が判断しやすいように、どう情報を整理するか」

は、経験や能力も関係します。

つまり、報連相にも、二つの段階があります。

まず、決めたタイミングで報告する。

そのうえで、

良い報告・良い相談ができるようになる。

前者を飛ばして、

  • 「もっと分かりやすく報告しろ」
  • 「もっと主体的に相談しろ」

と言っても、なかなかうまくいきません。

第22回では、この続きを、「報連相」の話として整理したいと思います。

基本ルールを守ることを、高く評価しすぎない

もう一つ、注意したいことがあります。

誰でもできる基本ルールを守った。

だから、高く評価する。

というのも、少し違うと思っています。

  • 17時までの日報を、毎日17時までに出す
  • 始業時間を守る
  • 決められた手続きを守る

これは、もちろん大切です。

でも、会社として、

「全員が守る」

と決めたのであれば、基本的には、

プラス評価を得るための特別な行動というより、仕事をするうえでの前提

です。

一方、

  • 売上
  • 技術力
  • 提案力
  • 部下育成
  • 業務改善

こちらは、人によって成果に差が出ます。

だから、評価し、育成し、能力を高める。

この二つを分けると、管理もしやすくなります。

管理職は、「注意する人」ではなく「基準を守る人」

管理職の仕事を、部下を注意すること、だとは思いません。

むしろ、逆です。

基準が明確で、みんなが普通に守るようになれば、注意する回数は減ります。

最初は、何度か言う必要がある。

でも、管理職が、

  • 相手によって変えず
  • その日の気分でも変えず
  • 毎回同じ基準で扱う

すると、少しずつ、

「これは守るものなんだ」

が共有されます。

だから、管理職に必要なのは、怖さではなく、

一貫性

だと思っています。

怒鳴る必要はない。

威圧する必要もない。

ただ、決めたものを、曖昧にしない。

私は、それが管理職の基本的な役割の一つだと思います。

「社長を、楽にする。」基本ルールをつくる

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

会社の基本ルールを、社員が守らない。

管理職も見逃す。

最後は、社長が、

「あれやった?」

「日報出した?」

「この前言ったよね?」

と一人ひとりに注意する。

これでは、社長が、会社の風紀委員のようになってしまいます。

本来、そうではありません。

  • 会社として、最低限守るものを決める
  • 管理職が、チームの中で徹底する
  • 社員は、それを普通に守る
  • そのうえで、自分の仕事について考える
  • 管理職は、成果や成長を見る
  • 社長は、もっと会社全体を見る

こういう順番です。

だから、基本ルールを整えることは、細かい管理の話に見えて、実は、

社長が細かいことを言わなくても回る会社をつくるための土台

なのだと思っています。

まとめ|最初から「考えて動け」ではなく、まず「決めたことを守る」

社員に、もっと主体性を持ってほしい。

考えて動いてほしい。

成果を上げてほしい。

そう思ったときほど、一度、その手前を見てみてください。

  • 会社として、絶対に守ってほしい基本ルールは何か
  • それは、本当に誰でもできるものか
  • 守ったかどうかが、明確に分かるか
  • 管理職自身も、同じ基準で扱っているか
  • 守らなかったとき、見逃さずに伝えているか
  • そして、一度にたくさん求めすぎていないか

最初は、一つでもいいと思います。

会社が本当に大切にしていて、誰でもできて、守ったかどうかが明確なもの。

それを、全員が普通に守る。

そこから始める。

そして、その土台の上で、

  • 役割を渡す
  • 考えさせる
  • 判断を任せる
  • 相談させる

私は、その順番が大切だと思っています。

自分で考える前に、まず決めたことを守る。
でも、決めたことだけをやる人をつくるわけではない。

守るところは、きちんと守る。

任せるところは、きちんと任せる。

この両方ができる会社の方が、社員も迷いにくく、管理職も管理しやすく、社長も細かな指示から離れていけます。

そして、その次に必要になるのが、

「何を自分で判断し、何を上司へ報告・相談するのか」

という話です。

第22回では、その「報連相」を、今回の土台の上に乗せて考えていきます。


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