社長の100の悩み

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社員のモチベーションが低い。どうすれば「やる気」を出してくれるのか? 社長の100の悩み|第18回

「最近、社員にやる気がない気がする」

「言われたことはやるけど、それ以上はやらない」

「昔はもっとガツガツ働く社員がいたんだけどな」

社長から、こんな相談を受けることがあります。

そこで、

  • 懇親会を増やす
  • 表彰制度をつくる
  • 研修をする
  • 目標を立てる
  • 給与を上げる

いろいろ考える。

もちろん、どれも意味がある場合があります。

でも私は、社員のモチベーションについて考えるとき、少し違うところから見た方がいいと思っています。

それは、

「どうすればモチベーションを上げられるか?」ではなく、
「なぜ今、この人のモチベーションが下がっているのか?」

を見ることです。

なぜなら、人のやる気を、会社が直接操作することはできないからです。

会社ができるのは、

やる気が生まれやすい環境をつくることと、やる気を失う原因を減らすこと。

だと思っています。

「モチベーションが低い」でまとめてしまうと、原因が見えなくなる

社員が以前より動かなくなった。

そこで、

「あいつはモチベーションが低い」

と考える。

でも、少し掘ってみると、いろいろな理由があります。

  • 頑張っても評価されないと思っている
  • 何を期待されているのか分からない
  • 仕事ができるようになっている実感がない
  • 何をやっても上司に直される
  • 仕事を任せてもらえない
  • 逆に、仕事を丸投げされている
  • 給与や待遇に不満がある
  • 会社の将来が見えない
  • 今の仕事が自分に合っていない
  • 単純に、仕事そのものへの関心が高くない

全部、同じ「モチベーションが低い」に見えます。

でも、対処は全然違います。

だから、

「やる気がない人」と決める前に、「何がやる気を失わせているのか」を見る。

ここから始めた方がいいと思います。

社員のモチベーションが低いと感じたとき、社長に確認してほしい5つのこと

私はまず、次の5つを見ます。

社員のモチベーションを考える5つのチェック

  1. 何を期待されているのか、本人が分かっているか
  2. 仕事ができるようになっている実感があるか
  3. 頑張りと評価・待遇のつながりに納得感があるか
  4. 上司が、社員のやる気を下げる関わり方をしていないか
  5. そもそも本人と仕事・役割が合っているか

① 何を期待されているのか、本人が分かっているか

人は、何をすればいいのか分からない仕事では、なかなか頑張りにくいものです。

上司から、

「もっと頑張って」

と言われる。

でも、何を頑張ればいいのか分からない。

  • 売上を上げればいいのか
  • お客様対応を良くするのか
  • 後輩を育てるのか
  • ミスを減らすのか
  • 新しい提案をするのか

曖昧なままです。

そして半年後、評価面談で、

「もう少し主体性が欲しかったね」

と言われる。

これでは、社員からすると難しい。

第17回で書いた主体性の話ともつながります。

社員に動いてほしいなら、まず、

「あなたには、何を期待しているのか」

を伝える。

  • 役割が分かる
  • 求められる結果が分かる
  • 自分で判断していい範囲が分かる

すると、仕事に力を使いやすくなります。

逆に、ゴールが分からない状態で、モチベーションだけ求めるのは、少し酷だと思います。

② 仕事ができるようになっている実感があるか

人は、昨日より今日、少しできるようになった。

前はできなかった仕事を、一人でできるようになった。

こういうとき、仕事が面白くなることがあります。

第15回では、育成を、

聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる

と整理しました。

この「できるようになった」が、本人にも見えているか。

これは、モチベーションにも関係します。

でも、会社では、

できなかったことは指摘する。
できるようになったことは、当たり前になる。

ということがよくあります。

本人は、成長している。

でも、誰も言わない。

すると、自分が前に進んでいる感覚が薄くなります。

大げさに褒める必要はありません。

  • 「前はここまで一緒にやっていたけど、今は一人でできるね」
  • 「前回より報告が早くなった」
  • 「この仕事はもう任せられるね」

と、事実を伝える。

人は、成長していることが分かると、次の仕事へ向かいやすくなります。

③ 頑張りと評価・待遇のつながりに納得感があるか

モチベーションの話になると、

「結局、給料でしょ」

という話もあります。

給与は、当然大切です。

第6回でも書きましたが、

給料は辞める理由になる。
でも、給料だけが会社に残る理由ではない。

これは、モチベーションでも同じだと思っています。

給与が明らかに低い。

頑張っても上がらない。

成果を出しても扱いが変わらない。

その状態で、

「仕事のやりがいを感じよう」

と言っても、難しい。

会社側も、給与や待遇の問題から逃げてはいけません。

一方で、給与だけ上げれば、ずっとやる気が上がり続けるわけでもない。

大事なのは、

「何をすれば評価されるのか」「なぜこの評価なのか」が分かること。

です。

第7回、第8回で扱った評価制度にもつながります。

制度があるかどうかより、頑張ったことが、どのように見られているのか。

本人が分かる。

ここに納得感があるか。

モチベーションを考えるとき、かなり重要なポイントだと思います。

④ 上司が、社員のやる気を下げる関わり方をしていないか

社員のモチベーションを上げよう、という話になると、社員側に何かをする発想になりがちです。

でも、その前に、上司の関わり方を見る必要があります。

  • 社員が考えて提案したら、「それ前にもやったから」とすぐ否定する
  • 社員が仕事を任されたのに、途中で全部やり方を変える
  • 社員が失敗したら、結果だけ見て怒る
  • うまくできても、何も言わない
  • 何か決めようとすると、「勝手に決めるな」と言う
  • 何も決めないと、「もっと主体的にやれ」と言う

これが続くと、動かなくなるのは、それほど不思議ではありません。

もちろん、上司が全部悪い、という話でもありません。

でも、

社員のモチベーションを考えるなら、上司のマネジメントも一緒に見る。

必要があります。

⑤ そもそも本人と仕事・役割が合っているか

会社が環境を整えれば、全員が、ものすごく仕事に燃える。

私は、そうは思っていません。

人によって、仕事に求めるものは違います。

  • 成長したい人
  • 安定して働きたい人
  • 専門性を高めたい人
  • 人と関わりたい人
  • 一人で集中したい人
  • 責任ある仕事をしたい人
  • そこまで仕事に多くを求めない人

いろいろです。

だから、全員を同じモチベーションにしようとすると、無理があります。

また、今の仕事との相性が悪い場合もあります。

営業では成果が出ない。

でも、管理業務に異動したら力を発揮する。

人をまとめるのは苦手。

でも、技術を極めると強い。

こういうこともあります。

だから、モチベーションが低い社員を見たとき、

「もっとやる気を出させる」だけでなく、「この人は、この仕事で力を出しやすいのか」

も考えた方がいいと思います。

「褒めればモチベーションが上がる」とも限らない

社員のやる気を上げる方法として、

「もっと褒めましょう」

と言われることがあります。

もちろん、良い行動を認めることは大切です。

でも、何でも褒めればいい、とは思いません。

本人も、明らかにできていないと思っている。

それなのに、

「すごいね!」

と言われる。

かえって、不自然です。

大切なのは、褒めることではなく、

何が良かったのかを具体的に伝えること。

です。

  • 「今回、早めに相談したから問題が大きくならなかった」
  • 「お客様の話を最後まで聞いてから提案したのが良かった」
  • 「前回の失敗を受けて、今回は先に確認できていた」

こういうフィードバックなら、本人も、何を続ければいいか分かります。

つまり、モチベーションを上げるために褒めるのではなく、

正しい行動が本人にも解るようにする。

第15回の「分かった・解った・できた」にもつながります。

「楽しい会社」にすれば解決するわけでもない

社員のモチベーションを上げたい。

そこで、

  • イベントを増やす
  • 飲み会をする
  • 社員旅行をする
  • ゲームをする

それが好きな社員もいます。

良いこともあります。

でも、それだけで仕事そのものの問題は解決しません。

  • 役割が分からない
  • 上司との関係が悪い
  • 評価に納得できない
  • 仕事が回らない
  • 成長できない

そういう状態で、イベントだけ増やしても、根本は変わらない。

私は、会社を楽しくすること自体を否定しません。

むしろ、仕事は楽しい方がいいと思っています。

ただ、

「楽しい職場」と「仕事が楽しい」は少し違う。

仕事そのものに、

  • できるようになる面白さ
  • 任される面白さ
  • 成果が出る面白さ
  • 人の役に立つ面白さ

がある方が、長く続きやすいと思います。

「やる気のある社員だけ採ればいい」では解決しない

採用でも、

「やる気のある人が欲しい」

と言われます。

でも、面接のときに、ものすごくやる気があった人でも、半年後に、静かになっていることがあります。

入社前は、期待していた。

でも、入社したら、

  • 仕事を任せてもらえない
  • 質問しても、忙しそうで聞けない
  • 評価基準も分からない
  • 提案しても採用されない

すると、最初のやる気も、少しずつ下がります。

逆に、面接ではそこまで強く見えなかった人が、仕事を覚え、任される範囲が広がり、活躍することもあります。

つまり、

モチベーションは、採用時点で固定されているものではありません。

会社との関わりの中で、変わっていきます。

モチベーションが高くなくても、良い社員はいる

ここも、少し大事な話だと思います。

会社には、いつも前向きで、何でも挑戦して、会社を大きくしたい社員ばかりが必要でしょうか。

私は、そうは思いません。

決められた仕事を、安定して、丁寧に、毎日続ける。

大きな野心はない。

でも、約束は守る。

仕事はきちんとする。

こういう人も、会社にとって非常に大切です。

だから、

「モチベーションが高いか」だけで、良い社員かどうかを判断しない方がいい。

会社が求めているのは、本当は、テンションの高さではなく、

必要な役割を、安定して果たしてくれること

かもしれません。

「モチベーション」と「責任」は分けた方がいい

これも、会社では混ざりやすいと思います。

「今日はやる気が出ないので、仕事をやりません」

では、困ります。

誰にでも、気分の波はあります。

毎日、仕事に燃えている必要はありません。

それでも、

  • 約束した仕事はする
  • 期限を守る
  • 必要な報告をする
  • 自分の役割を果たす

これは、モチベーションとは別です。

私は、会社では、

高いモチベーションを求めることより、モチベーションに左右されすぎず役割を果たせる状態をつくること

も大切だと思っています。

やる気がある日は100点。

ない日は30点。

ではなく、どんな日でも、ある程度安定して仕事ができる。

会社としては、こちらの方が強い場合があります。

だから、評価を「やる気」でつけない

「あいつは、やる気がある」

「あの社員は、やる気がない」

こういう評価も、少し危ないと思っています。

やる気は、見えにくいからです。

  • 声が大きい
  • 会議でよく発言する
  • 残業している
  • 早く来ている

これが、必ずしも成果につながるとは限りません。

逆に、静かだけれど、

  • 期限を守る
  • 問題を早めに報告する
  • お客様対応が丁寧
  • ミスが少ない

そういう人もいます。

だから、評価するなら、モチベーションそのものではなく、

行動を見る。

ここは、第13回の採用基準や、第17回の主体性と同じです。

抽象的な言葉を、具体的な行動へ落とす。

シリーズ全体で、何度も出てくる考え方です。

社長自身のモチベーションと、社員のモチベーションは違う

社長は、会社のことを考えています。

  • 売上
  • 利益
  • 採用
  • 将来
  • 取引先
  • 社員

全部、自分の問題です。

だから、仕事に対する熱量も高くなりやすい。

でも、社員に、社長と同じ熱量を求めると、苦しくなることがあります。

これは、社員が悪いのではありません。

立場が違うからです。

社長にとって、会社は人生そのものに近いかもしれない。

社員にとっては、人生の大切な一部ではあっても、すべてではないこともあります。

だから、社員に求めるのは、

「社長と同じ熱量」ではなく、「その役割を果たすために必要な姿勢と行動」

でいいと思っています。

ここを分けると、社員の見え方も少し変わります。

モチベーションが低い社員に、まず何を聞けばいいのか

では、社員の様子が変わったとき、何を聞けばいいのか。

いきなり、

「最近やる気ないよね?」

では、話しにくいと思います。

それより、

  • 「最近、仕事で困っていることある?」
  • 「今の仕事で、やりにくいところはある?」
  • 「もっとできるようになりたい仕事はある?」
  • 「今の役割で、分かりにくいところはある?」
  • 「上司として、何か変えた方がいいことある?」

と聞く。

すると、モチベーションではなく、その下にある問題が見えることがあります。

本人の気持ちを、無理に変えるのではなく、

仕事をしにくくしているものを一緒に探す。

私は、このくらいからでいいと思っています。

「社長を、楽にする。」モチベーションの考え方

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

社員のやる気が気になる。

社長が、毎朝声をかける。

励ます。

褒める。

飲みに連れていく。

また下がったら、もう一度励ます。

これを、社長がずっとやり続けるのは大変です。

一方で、

  • 役割が分かる
  • 成長が見える
  • 評価に納得感がある
  • 上司との関わりがある
  • 仕事を任せてもらえる
  • 必要なときに相談できる

そういう環境ができると、社員の仕事への向き合い方は、社長の気合だけに依存しにくくなります。

つまり、モチベーションの問題も、突き詰めると、

人の気持ちを操作する話ではなく、働きやすい組織を設計する話

だと思っています。

それが、社員にとっても、管理職にとっても、社長にとっても、健やかな状態につながります。

まとめ|モチベーションは、「上げる」より「下がる理由を見る」

社員のモチベーションが低い。

そんなとき、

「もっとやる気を出させたい」

と思うことがあります。

でも、人の気持ちは、スイッチのようには変えられません。

だから、まず見る。

  • 何を期待されているか分かっているか
  • 成長を感じられているか
  • 評価に納得感があるか
  • 上司との関係はどうか
  • 仕事や役割は合っているか
  • やる気を失わせているものがないか

モチベーションは、無理に上げるものというより、下がる理由を一つずつ減らしていくもの。

私は、そう考えています。

もちろん、会社がどれだけ環境を整えても、全員が同じ熱量で働くわけではありません。

それでいいと思います。

大切なのは、全員を、

「やる気満々の社員」

にすることではありません。

それぞれが、自分の役割を理解し、必要な責任を果たし、できれば、仕事の中に少しでも面白さや成長を感じられる。

そんな状態を増やすこと。

社員のモチベーションが気になったとき、

「どうすれば、もっとやる気を出してくれるだろう?」

だけではなく、

「この会社には、社員のやる気を削っているものがないだろうか?」

と考えてみる。

そこに、組織を良くするヒントがあるのだと思います。


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