「一番仕事ができるから、課長にした」
「現場のことも分かっているし、社員からも頼られていた」
「だから管理職になっても、うまくやってくれると思っていた」
これは、かなり自然な考え方だと思います。
一方で、よく、
「プレイヤーと管理職は別物だ」
とも言われます。
これも、間違いではありません。
でも私は、
完全に別物として切り分けるのも、少し違う
と思っています。
管理職になるために、トッププレイヤーである必要はありません。
プレイヤーとして突出した成果を出していなくても、
- 部下の話を聞く
- 状況を整理する
- 役割を分ける
- 必要な判断をする
- フィードバックする
- チームを見る
こうした力は、後から身につけることができます。
だから、
「プレイヤーとして優秀でないと、管理職には向かない」
とは思いません。
でも一方で、プレイヤーとして仕事をしてきた中で、
- 考えた
- 失敗した
- 工夫した
- 壁を越えた
- 改善した
という経験は、管理職になったときの大切な材料になります。
つまり、
プレイヤー経験とマネジメントは別の仕事ではある。
でも、無関係ではない。
私は、このくらいの捉え方が一番しっくりきます。
管理職になるために、トッププレイヤーである必要はない
まず、ここははっきりさせておきたいと思います。
営業成績が一番でなければ、管理職になれない。
技術が一番高くなければ、部下を持てない。
そんなことはありません。
むしろ、プレイヤーとしては中くらいでも、
- 周囲をよく見ている
- 人の話を聞ける
- 誰が困っているかに気づく
- 仕事を整理するのが得意
- 冷静に判断できる
こういう人が、管理職として力を発揮することもあります。
管理職のスキルには、学べるものが多いからです。
- 役割理解
- 目標設定
- 仕事の任せ方
- 報告・相談の基準
- フィードバック
- 評価
- 会議
- 部下育成
こうしたものは、経験しながら身につけていけます。
だから、管理職候補を見るときに、
プレイヤーとしての成績だけで決める必要はない。
と思っています。
それでも、プレイヤー経験がマネジメントに生きる理由
では、プレイヤー経験は、管理職になるうえで関係ないのでしょうか。
私は、そうは思いません。
仕事をしていれば、程度の差はあっても、何かしらの壁にぶつかります。
- うまくいかない
- 思ったように成果が出ない
- お客様に断られる
- ミスをする
- 仕事が遅れる
そこで、
- 考える
- やり方を変える
- 人に聞く
- 試す
- 振り返る
- またやる
こういう経験をします。
これは、管理職になって、部下がつまずいたときにも使えます。
たとえば、部下が成果を出せない。
そこで、
「もっと頑張れ」
で終わるのではなく、
「どこで止まっているんだろう」
と考える。
- 知識が足りないのか
- 経験が足りないのか
- 判断基準が分からないのか
- 仕事量が多すぎるのか
- 上司への相談方法が分からないのか
こうやって分解する。
つまり、
自分が仕事を通じて考え、試し、改善してきた経験は、部下を見るときの材料になる。
だから、プレイヤー経験とマネジメントは、地続きなのだと思います。
大事なのは、「成績」より「どう仕事をしてきたか」
ここで、もう一つ大事なことがあります。
プレイヤーとして優秀だったかどうかを、単純に数字だけで見ると、少しズレることがあります。
たとえば、営業成績1位。
でも、本人は感覚でできてしまう。
なぜ成果が出たのか、自分でもうまく説明できない。
逆に、営業成績は中くらい。
でも、どうすれば良くなるか、ずっと考えてきた。
失敗も多かった。
試しながら、少しずつ成果を上げてきた。
こういう人もいます。
管理職になったときに大切なのは、必ずしも、
「何位だったか」
だけではありません。
仕事を通じて、どれだけ考え、試し、振り返ってきたか。
ここも大事です。
だから、私は、
「プレイヤーとして優秀な人ほど管理職に向いている」
と単純には言いません。
むしろ、
プレイヤーとしての経験を、どう積んできたか。
そこを見る方が、管理職候補を考えるうえでは重要だと思っています。
管理職になると、「成果の出し方」が変わる
プレイヤー時代は、自分で成果を出します。
- 自分で考える
- 自分で動く
- 自分で結果を出す
これで評価される。
でも、管理職になると、それだけでは足りません。
部下がいる。
チームがある。
自分一人では、全部できない。
だから、管理職は、
自分で成果を出す人から、人を通じて成果を出す人へ変わっていく必要があります。
これが、プレイヤーと管理職の大きな違いです。
ただし、まったく別人になる必要はありません。
これまで培ってきた、
- 考える力
- 判断する力
- 改善する力
- 壁を越える力
そうしたものを、今度は、自分だけではなく、チームに使っていく。
そう考えると、プレイヤー経験とマネジメントが、つながって見えてきます。
管理職が部下を育てられないとき、社長に確認してほしい5つのこと
仕事のできる社員を管理職にした。
あるいは、管理職として期待して昇格させた。
それなのに、部下が育たない。
そんなときは、次の5つを確認してみてください。
管理職が部下を育てられないときの5つのチェック
- 管理職になったら、成果の出し方がどう変わるかを伝えているか
- プレイヤーの仕事を抱えすぎていないか
- 自分の経験を、部下に使える言葉へ変えられているか
- 「教える」と「答えを渡す」が同じになっていないか
- 管理職としての仕事を、会社がきちんと評価しているか
① 管理職になったら、成果の出し方がどう変わるかを伝えているか
昇格するとき、
「来月から課長だから、よろしく」
だけで終わることがあります。
役職は変わる。
でも、何をすればいいのかは、よく分からない。
すると、本人は、一番慣れていることを続けます。
つまり、自分の仕事を頑張る。
でも、管理職になると、自分で成果を出すだけではなく、
- 部下が成果を出せるようにする
- 仕事を任せる
- 判断する
- 育てる
- チームを見る
という仕事が増えます。
だから、管理職にするときは、
「役職が変わる」のではなく、「成果の出し方が変わる」
と伝える。
ここが大切です。
② プレイヤーの仕事を抱えすぎていないか
中小企業では、プレイングマネージャーが多いと思います。
それ自体は、普通です。
人数が少ない会社で、管理だけする人を置くのは難しい。
だから、管理職自身も、現場の仕事をする。
ただし、プレイヤーの仕事が100%のまま、管理職の仕事だけ追加すると、当然、時間が足りなくなります。
すると、
- 部下との面談
- 教育
- 仕事を任せるための説明
- 振り返り
こうした仕事が、後回しになります。
だから、管理職にするなら、
何を増やすかだけでなく、何を減らすかも決める。
必要があります。
③ 自分の経験を、部下に使える言葉へ変えられているか
プレイヤーとして仕事をしてきた経験は、管理職にとって大きな材料です。
でも、そのままでは、部下に使えないことがあります。
たとえば、
- 「自分はこうやってきた」
- 「普通はこうする」
- 「やれば分かる」
だけでは、部下は動けません。
大事なのは、経験を分解することです。
- 何につまずいたのか
- 何を見ていたのか
- 何を判断基準にしていたのか
- 何を変えたらうまくいったのか
ここまで言葉にする。
すると、個人の経験が、部下に渡せるものになります。
経験は、そのままでは自分の財産。
言葉にすると、組織の財産になる。
私は、ここが管理職の大事な仕事の一つだと思っています。
④ 「教える」と「答えを渡す」が同じになっていないか
部下から、
「どうすればいいですか?」
と聞かれる。
答えが分かる管理職は、すぐに、
「こうして」
と言えます。
その方が早い。
でも、毎回答えを渡すと、部下には、判断基準が残りません。
次に似た問題が起きても、また聞きます。
第15回でも書いたように、育成には、
聞いた
→ 分かった
→ 解った
→ できた
→ 一人でできる
という段階があります。
だから、必要に応じて、
- 「あなたはどう考えた?」
- 「どこで迷った?」
- 「何を見て判断した?」
と聞いてみる。
ただし、何でも考えさせればいいわけではありません。
知識がない人には、まず教える必要があります。
教えるところと、考えさせるところを分ける。
これが、管理職には必要です。
⑤ 管理職としての仕事を、会社がきちんと評価しているか
会社は、
「部下を育ててほしい」
と言う。
でも、評価するのは、
- 本人の売上
- 本人の件数
- 本人の作業量
ばかり。
これでは、本人は迷います。
部下に任せたら、自分の数字が落ちる。
自分でやったら、数字が上がる。
それなら、自分でやった方が評価されます。
だから、管理職には、個人成果だけでなく、
- チームの成果
- 部下の成長
- 仕事の標準化
- 情報共有
なども見る。
管理職として求めることと、評価することをそろえる。
ここは、かなり重要です。
「できる人ほど任せられない」ということもある
プレイヤーとして仕事ができる人は、自分の基準が高いことがあります。
自分なら、10分でできる。
部下は、30分かかる。
自分なら、一回で分かる。
部下は、何度もミスする。
だから、つい取り上げる。
でも、新人が、いきなりベテランと同じ速度でできる方が不自然です。
管理職には、
「自分ならどうするか」ではなく、「今この人にどこまで求めるか」
という視点が必要です。
自分の基準を、そのまま部下の基準にしない。
ここも、プレイヤーから管理職へ変わるときの一つのポイントです。
プレイヤーとして突出していなくても、良い管理職にはなれる
ここは、今回とても大事なので、はっきり書いておきたいと思います。
プレイヤーとして、社内1位ではない。
特別な成果を出したわけでもない。
それでも、良い管理職になる人はいます。
- 人の変化に気づける
- 話を聞ける
- 冷静に判断できる
- 問題を整理できる
- 必要なときに注意できる
- 周囲を巻き込める
こうした力は、管理職として大切です。
そして、これらは、経験や教育で伸ばすこともできます。
だから、
管理職は、一部の「生まれつき向いている人」だけができる仕事ではない。
と思っています。
管理職の仕事を理解する。
やってみる。
振り返る。
またやる。
そうやって、管理職としてのスキルも育っていきます。
管理職自身も、「管理職一年生」でいい
部下には、
「新人だから時間が必要」
と言う。
でも、管理職になった人には、いきなり完成形を求める。
これは、少し不思議です。
昨日まで、一人のプレイヤーだった人が、今日から、
- 部下を育てる
- 評価する
- 仕事を任せる
- チームを見る
- 問題を解決する
すぐにできるとは限りません。
管理職にも、
聞いた → 分かった → 解った → できた → 一人でできる
という段階があります。
つまり、
管理職も育てるものです。
管理職になった瞬間から、完璧にできる必要はありません。
管理職研修だけでは、管理職は育たない
管理職がうまくいかない。
だから、研修をする。
これは有効なこともあります。
でも、研修だけでは難しい。
研修では、任せ方を学んだ。
でも、会社に戻ると、
- 社長が全部直接指示する
- 部下がミスすると、管理職だけが怒られる
- プレイヤーの仕事量も減っていない
これでは、研修で学んだことを使えません。
だから、管理職育成には、本人の学びだけでなく、
管理職が管理職として動ける環境
も必要です。
社長が管理職を飛び越えて指示していないか
社長が、現場社員へ直接、
「これやって」
と言う。
社員も、社長へ直接相談する。
管理職は、後から知る。
これが続くと、社員からすると、管理職へ聞くより、社長へ聞いた方が早い。
管理職からすると、自分で決めても、社長が変えるかもしれない。
その結果、管理職は、判断しなくなります。
だから、管理職を育てたいなら、社長側にも、
管理職に任せる覚悟
が必要です。
会社が、
「判断しない方が安全」
な状態になっていないか。
ここは、確認した方がいいと思います。
管理職に必要なのは、「全部できること」ではない
管理職というと、部下より仕事ができて、何でも知っていて、どんな質問にも答えられる人。
と思われることがあります。
でも、必ずしもそうではありません。
部下の方が、専門知識が高いこともある。
若い社員の方が、新しいツールに詳しいこともある。
管理職が、全部一番である必要はありません。
大切なのは、
自分が答えを持っていなくても、チームとして答えを出せること。
誰に聞くか。
誰に任せるか。
どこまで自分で判断するか。
どこから上司へ相談するか。
それを考える。
私は、管理職を、
チームが仕事をできる状態をつくる人
と考えると、分かりやすいと思っています。
社長が管理職候補を見るとき、何を見ればいいのか
では、誰を管理職にするのか。
プレイヤーとしての成果は、一つの材料です。
仕事の理解。
現場経験。
壁を越えた経験。
こうしたものは、管理職になってから役立ちます。
でも、それだけで決めなくていい。
私は、こんなところも見たいと思います。
- 自分の仕事を振り返れるか
- 人の話を聞けるか
- 自分と違うやり方を認められるか
- 人に説明できるか
- 必要なときに注意できるか
- 周囲へ相談できるか
- 責任範囲を理解できるか
- チーム全体を見ようとするか
そして、今できていないことがあっても、
管理職として学んでいけるか。
ここを見る。
管理職候補を、「完成している人」から探す必要はありません。
私自身、「プレイヤーと管理職は別物」で終わらせたくない
よく、
「名選手、名監督にあらず」
と言われます。
確かに、その通りだと思います。
でも、それを、
「プレイヤーとしての経験は、管理職には関係ない」
という意味にしてしまうのは、少し違うと思っています。
仕事を通じて、
- 考えた経験
- 失敗した経験
- 改善した経験
- 人に助けてもらった経験
- 壁を越えた経験
こうしたものは、全部、管理職になったときの材料になります。
ただし、その材料を、そのまま部下に押しつけるのではなく、部下に合わせて使う。
自分の経験を、他人が使える形へ翻訳する。
ここに、マネジメントがあるのだと思います。
「社長を、楽にする。」管理職をつくる
JAPANVISIONのMissionは、
「社長を、楽にする。」
です。
管理職を置いた。
でも、
- 判断は全部社長
- トラブルも全部社長
- 人の問題も全部社長
これでは、役職が一つ増えただけです。
一方で、管理職が、
- 自分の役割を理解する
- 仕事を整理する
- 部下へ任せる
- 必要な判断をする
- 部下を育てる
- 判断できないことだけ、整理して社長へ相談する
こうなると、社長へ戻ってくる仕事は、少しずつ減っていきます。
管理職の目的は、社長と社員の間に役職を一つ増やすことではありません。
社長が直接見なくても、チームが前へ進む状態をつくること。
その状態を増やすことが、結果として、社長を楽にします。
まとめ|管理職の能力は、育てられる
管理職になるために、トッププレイヤーである必要はありません。
プレイヤーとして突出していなくても、良い管理職にはなれます。
管理職の仕事は、学べます。
経験できます。
振り返れます。
そして、少しずつ上手くなれます。
一方で、これまでプレイヤーとして積んできた経験も、決して無駄ではありません。
- 仕事で考えたこと
- 失敗したこと
- 工夫したこと
- 壁を越えたこと
そうした経験は、管理職になったときの大切な材料になります。
だから、私は、
「プレイヤーと管理職は別物」ではなく、
「プレイヤーとしての経験を材料にしながら、管理職として新しい力を身につけていく」
くらいが、一番自然だと思っています。
プレイヤーとして優秀だった人も。
そうではなかった人も。
管理職になったなら、そこから、管理職として学んでいけばいい。
大切なのは、
過去の成績だけで「向いている・向いていない」を決めないこと。
そして会社側も、
「管理職にしたんだから、できるよね」
で終わらせず、
- 役割を伝える
- 仕事を整理する
- 権限を渡す
- フィードバックする
- 経験させる
そうやって、管理職自身を育てていく。
部下を育てる人も、最初から完成しているわけではない。
私は、そこを忘れない会社の方が、管理職も、組織も、強くなっていくと思っています。
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「管理職を置いたのに社長へ仕事が戻ってくる」「プレイングマネージャーが忙しすぎる」「管理職に何を任せればいいか曖昧」という段階からでもご相談いただけます。
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