「求人票は出しているんだけど、応募が来ない」
「仕事内容も、給料も、休日もちゃんと書いてある」
「これ以上、何を書けばいいの?」
採用の相談で、よく出てくる悩みです。
求人票や求人原稿には、
- 仕事内容
- 給与
- 勤務時間
- 休日
- 福利厚生
- 必要な資格
など、最低限書くべき情報があります。
でも、それだけで応募したくなるかというと、そうとも限りません。
なぜなら、求職者が知りたいのは、
「条件」だけではなく、「自分がここで働く姿を想像できる情報」
だからです。
- どんな仕事なのか分からない
- どんな人と働くのか分からない
- どこまで自分にできそうなのか分からない
- 会社の雰囲気が分からない
- 入社後、どう育ててもらえるのか分からない
この状態では、たとえ条件が悪くなくても、応募まで進みにくいことがあります。
私は、
求人票は、会社の情報を並べるものではなく、求職者の不安を一つずつ減らすもの。
だと思っています。
求人票は「会社が言いたいこと」を書く場所ではない
求人原稿を作るとき、会社側は、
- 「うちの強みはこれです」
- 「こんな技術があります」
- 「創業○年です」
- 「地域に貢献しています」
と書きたくなります。
もちろん、それも大切です。
でも、求職者が最初に知りたいこととは限りません。
求職者からすると、
- 「で、私は何をするの?」
- 「未経験でもできるの?」
- 「怖い先輩はいない?」
- 「残業は多い?」
- 「何年後に何ができるようになる?」
という方が気になります。
つまり、会社が伝えたい順番と、求職者が知りたい順番が違う。
ここにズレがあります。
だから、求人票は、
会社説明ではなく、求職者目線で組み立てる。
必要があります。
求人票を見直すとき、社長に確認してほしい5つのこと
応募が少ないとき、媒体を変える前に、まず求人の中身を確認してみてください。
求人票を見直すときの5つのチェック
- 仕事内容が、実際の一日まで想像できる言葉になっているか
- 未経験者が「自分にもできそう」と思える情報があるか
- 条件以外の「ここで働く理由」が見えているか
- 会社の良いところだけでなく、大変なところも伝えているか
- 求める人物像が、抽象的な言葉で終わっていないか
① 仕事内容が、実際の一日まで想像できる言葉になっているか
求人票でよく見るのが、
- 「営業業務全般」
- 「現場作業」
- 「介護業務」
- 「一般事務」
という書き方です。
会社側からすると、分かりやすいと思っています。
でも、応募者からすると、ほとんど何も分かりません。
営業業務全般とは、
- 新規営業なのか
- 既存顧客中心なのか
- 電話営業なのか
- 訪問するのか
- ノルマがあるのか
現場作業とは、
- 何を使って
- 何人で
- どこで
- 何時間くらい
やる仕事なのか。
ここまで具体的にして、初めて仕事が見えてきます。
たとえば、
「電気工事スタッフ」
ではなく、
「2〜4名のチームで現場へ行き、地域の電気設備の点検や工事を行います。入社後すぐに一人で作業を任せることはありません。」
と書く。
これだけで、かなりイメージが変わります。
大切なのは、
職種名を説明するのではなく、「その人が働いている一日」を見せること。
です。
② 未経験者が「自分にもできそう」と思える情報があるか
中小企業では、
「未経験歓迎」
と書いてある求人が多いです。
でも、その下を見ると、
- 専門用語ばかり
- 仕事内容も難しそう
- 写真もベテランばかり
となっていることがあります。
これでは、未経験者からすると、
「歓迎と言われても、本当に大丈夫かな」
となります。
だから、未経験歓迎と書くなら、何をどう教えるのかまで書いた方がいい。
- 「入社後3か月は先輩社員と一緒に現場へ行きます」
- 「最初は工具の名前や安全ルールから覚えます」
- 「資格取得費用は会社が負担します」
- 「現在活躍している社員の半分以上が未経験からのスタートです」
というようにする。
すると、
「未経験歓迎」が、ただの言葉ではなくなります。
採用では、求職者に、
「できそう」
と思ってもらえることが重要です。
③ 条件以外の「ここで働く理由」が見えているか
求人票では、どうしても条件が中心になります。
- 給与
- 休日
- 勤務時間
- 手当
もちろん、重要です。
でも、条件だけを並べると、他社との比較だけになります。
そして、大手や条件の良い会社が有利になります。
そこで、中小企業が考えたいのは、
「この会社で働く意味は何か」
です。
- 地域のインフラを支える仕事
- 自分が関わったものが形に残る
- 若いうちから資格を取れる
- 社長や上司との距離が近い
- 転勤がない
- 地元のお客様と長く付き合える
- 社員同士が助け合う文化がある
こうしたものです。
もちろん、本当にあるものだけを書く。
無理に魅力を作る必要はありません。
第11回でも書きましたが、
会社の中では当たり前のことも、外から見れば立派な「ここで働く理由」になることがあります。
採用では、その「当たり前」を見つけることが大切です。
④ 会社の良いところだけでなく、大変なところも伝えているか
応募を増やしたいと、どうしても良いことばかり書きたくなります。
- 「アットホーム」
- 「風通しがいい」
- 「若手活躍中」
- 「やりがいがあります」
でも、良いところだけだと、逆に信用されないことがあります。
仕事には、大変な部分もあります。
- 忙しい時期
- 覚えることが多い
- 外仕事で暑い・寒い
- お客様から厳しいことを言われる
- 資格勉強が必要
こういうこともあります。
大切なのは、ネガティブに書くことではありません。
大変なことと、その会社がどう支えているかをセットで伝えること。
です。
たとえば、
「繁忙期は残業が増えることがあります。ただし、事前にシフトを調整し、代休取得を徹底しています。」
「入社後は覚えることが多いですが、最初の半年間は先輩社員が一人ついて教えます。」
というように書く。
すると、求職者は、
「ちゃんと現実を話してくれている会社だ」
と感じます。
採用は、応募を増やすだけでなく、
入社後の期待のズレを減らすことも大切です。
⑤ 求める人物像が、抽象的な言葉で終わっていないか
第13回でも書きましたが、求人票によく出てくる言葉があります。
- 明るい人
- 素直な人
- 主体性のある人
- コミュニケーション力がある人
- 責任感のある人
でも、これだけでは、応募者からすると、自分が当てはまるのか分かりません。
たとえば、
「主体性のある人」
ではなく、
「任された仕事について、まず自分で考え、判断に迷ったときは周囲に相談しながら進められる方」
と書く。
「コミュニケーション力のある人」ではなく、
「一人で抱え込まず、分からないことを周囲に相談できる方」
と書く。
こうすると、かなり具体的になります。
採用基準を具体的な行動にすると、求人原稿も分かりやすくなる。
第13回の話は、ここにつながっています。
求人票を読んだ人が「自分には関係ない」と思っていないか
求人原稿を見ていると、会社の説明はしっかりしている。
でも、求職者本人へのメッセージがない。
というものがあります。
- 「当社は創業50年」
- 「地域に根ざした企業」
- 「高い技術力」
- 「多数の実績」
全部、会社の話です。
でも応募者は、自分のことを考えています。
だから、
「こんな方に向いています」
という形にする。
- 「地元で長く働きたい方」
- 「手に職をつけたい方」
- 「一人で抱え込まず、仲間と相談しながら仕事を進めたい方」
- 「毎日違う現場で仕事をすることを楽しめる方」
というようにする。
すると、応募者は、
「あ、これ自分のことかも」
と感じやすくなります。
「アットホームな会社です」は、ほとんど伝わっていない
求人原稿で、かなりよく見る表現があります。
「アットホームな会社です」
です。
悪い言葉ではありません。
でも、ほとんどの会社が使っています。
そして、何をもってアットホームなのか分かりません。
だから、具体的にする。
- 「20代〜60代まで働いており、年齢に関係なく現場で声を掛け合っています」
- 「月1回の会議後に、みんなで昼食を取っています」
- 「困ったときは、部署を越えて助け合うことが多い会社です」
こう書くと、雰囲気が見えてきます。
採用広報では、
「良い会社です」と言うのではなく、「そう感じる事実」を見せる。
この方が伝わります。
求人票に書いてあることと、面接で話すことをそろえる
求人票には、
「未経験歓迎」
と書いてある。
でも面接では、
「経験ないんですね」
という雰囲気が出る。
求人票には、
「若手が活躍」
と書いてある。
でも実際には、若手がほとんどいない。
求人票には、
「自由な社風」
と書いてある。
でも、細かく上司の許可が必要。
こういうズレがあると、採用後に問題になります。
だから、
- 求人
- 会社説明
- 面接
- 入社後
全部、同じ会社になっている方がいい。
当たり前のようですが、意外とズレています。
採用で大事なのは、
応募者を集めるために会社を良く見せることではなく、会社の実際を、分かりやすく正直に伝えること。
です。
求人原稿を作るときは、社員に聞いた方がいい
求人原稿を、社長や採用担当者だけで作る会社があります。
もちろん、それでも作れます。
でも私は、できれば、実際にその仕事をしている社員にも聞いた方がいいと思っています。
- 「この仕事の面白いところは何?」
- 「最初に大変だったことは?」
- 「入社前に知っておきたかったことは?」
- 「どんな人なら、この仕事を楽しめそう?」
と聞く。
すると、会社側が思っていなかった言葉が出てきます。
社長は、
「技術力が魅力」
と言う。
社員は、
「先輩に聞きやすいところが一番良かった」
と言う。
こういうことがあります。
採用では、
会社が思う魅力と、社員が感じている魅力が違うこともある。
だから、現場の声を使う。
これはかなり大事です。
「検索される求人」になっているか
今の求職者は、求人媒体だけで会社を決めません。
- 会社名を検索する
- 採用サイトを見る
- Googleマップを見る
- SNSを見る
- 口コミを見る
- AIに聞く
ということがあります。
だから、求人票だけ良くても、検索した先に情報がなければ、不安になります。
逆に、
- 求人票
- 採用サイト
- 会社ホームページ
- SNS
それぞれで、同じ会社の姿が見える。
すると、信頼されやすくなります。
つまり、求人票は、採用活動の入口の一つです。
応募を増やすには、求人票だけでなく、「検索したあとに何が見えるか」まで考える。
必要があります。
求人のタイトルも、かなり大切
求人媒体では、求職者が最初に見るのは、仕事内容の全文ではありません。
タイトルです。
たとえば、
「電気工事士募集」
だけでは、仕事内容は分かりますが、魅力は伝わりません。
一方で、
「未経験から地域の電気を守る技術者へ|資格取得支援あり」
なら、少しイメージが湧きます。
もちろん、煽りすぎる必要はありません。
大切なのは、
職種名+求職者にとって重要な情報
を入れること。
- 未経験OK
- 転勤なし
- 資格取得支援
- 土日休み
- 地元勤務
など、本当にその求人の魅力になるものを入れる。
クリックされなければ、中身は読まれません。
だから、タイトルも採用設計の一部です。
求人票は一度作って終わりではない
求人を出した。
応募が来ない。
また同じ原稿を出す。
そして、
「人がいない」
と言う。
これでは、なかなか変わりません。
求人原稿も、改善していく必要があります。
- 閲覧数はあるのに応募がない → 中身に問題があるかもしれない
- そもそも閲覧されていない → タイトルや職種名が悪いかもしれない
- 応募は来るけれど合わない → 仕事内容や求める人物像が曖昧かもしれない
こうやって、
どこで止まっているのかを見る。
採用は、一回求人を出して終わる仕事ではありません。
私自身、求人原稿を作る前に、会社の話をかなり聞く
採用支援をするとき、いきなり求人原稿を書くことはあまりありません。
私は、会社の話を聞きます。
- どんな人が働いているのか
- なぜ社員は辞めずにいるのか
- 逆に、なぜ辞めた人がいるのか
- 仕事の大変なところ
- 面白いところ
- どんな人が活躍しているのか
- 社長は、どんな会社にしたいのか
そこを聞いていくと、求人に書くべきことが見えてきます。
だから、私は、
求人原稿を書く仕事は、文章を書く仕事というより、会社の中にある採用理由を見つける仕事。
だと思っています。
求人票を良くしても、会社そのものに問題があれば採用は続かない
ここは大事なので、書いておきたいと思います。
求人原稿を良くすれば、応募は増えるかもしれません。
でも、実際の会社が、
- 求人内容と違う
- 社員が疲弊している
- 上司が怒鳴る
- 新人を放置する
- 給与が市場よりかなり低い
という状態なら、原稿だけ良くしても、長くは続きません。
むしろ、入社後のミスマッチが増えることがあります。
だから、採用広報は、会社の問題を隠すものではありません。
求人を作ってみて、書けないことがあるなら、そこは会社側で改善する必要がある。
採用活動は、会社を外から見る機会でもあります。
「社長を、楽にする。」求人にする
JAPANVISIONのMissionは、
「社長を、楽にする。」
です。
応募が来ない。
求人を出し直す。
また原稿を書く。
媒体会社と打ち合わせする。
面接する。
でも採れない。
これが毎年続けば、採用は大きな負担になります。
一方で、
- 自社で活躍する人を言葉にする
- その人に伝わる求人を作る
- 仕事内容を具体的にする
- 会社の良いところも大変なところも伝える
- 採用サイトやSNSともつなげる
そうすると、少しずつ、
「誰でもいいから応募してほしい」
から、
「うちに合う人に、ちゃんと届く採用」
へ変わります。
応募数だけを増やすのではなく、入社後につながる応募を増やす。
その方が、最終的には、社長も現場も楽になります。
まとめ|求人票は「情報を載せるもの」ではなく、「働く姿を想像してもらうもの」
応募が来ないと、
- 求人媒体が悪い
- 人がいない
- 条件が悪い
と考えることがあります。
もちろん、それが原因のこともあります。
でも、その前に、求人の伝え方も見てみてください。
- 仕事内容が具体的か
- 未経験でもできそうだと思えるか
- 条件以外の働く理由が見えるか
- 大変なところも正直に伝えているか
- 求める人物像が具体的な行動になっているか
そして、求人票を読んだ人が、
「ここで働いている自分」を想像できるか。
ここが大切です。
求人票は、会社のスペックを並べるものではありません。
求職者が抱えている「分からない」を、一つずつ減らすもの。
私は、そう考えています。
「何を書けば応募が増えるだろう?」
と悩んだときは、会社の魅力を増やす前に、
「応募者が、この求人を読んでまだ分からないことは何だろう?」
と考えてみる。
そこに、求人を良くするヒントがあると思います。
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