社長の100の悩み

,

面接で「入社後に活躍する人」を見抜くには、何を聞けばいい? 社長の100の悩み|第12回

「面接では、すごく感じが良かったんだけどね」

「受け答えもしっかりしていた」

「まさか、こんなに合わないとは思わなかった」

採用したあとに、こんな話を聞くことがあります。

逆に、

面接では少し地味だった。

口数も多くなかった。

でも入社してみたら、

  • 仕事を覚える
  • 周りとうまくやる
  • 任せたことをきちんとやる
  • 数年後には中心社員になっていた

そんなこともあります。

面接は難しいです。

私自身、これまで多くの面接に関わってきましたが、

短い面接だけで、人のすべてを見抜くことはできません。

これは最初に言っておきたいことです。

人はそんなに単純ではありません。

でも、だから面接は意味がない、ということでもありません。

面接で大切なのは、

「この人は良い人か」を当てることではなく、「この会社で、この仕事をするときに、どう行動しそうな人か」を確かめること。

だと思っています。

面接が「感じの良い人を選ぶ時間」になっていないか

面接では、

  • 明るい
  • ハキハキしている
  • 愛想がいい
  • 受け答えが上手い

という人が、良く見えやすいです。

もちろん、コミュニケーションが必要な仕事なら、それも大切な要素です。

でも、

面接が上手いことと、仕事ができることは同じではありません。

逆に、面接が少し苦手でも、入社後に真面目に仕事を覚え、周りから信頼される人もいます。

だから、

「感じが良かった」

「話しやすかった」

だけで判断すると、採用後にズレが起きることがあります。

面接官自身も人間です。

  • 自分と話が合う
  • 出身地が同じ
  • 趣味が同じ
  • 雰囲気が好き

そういうことで評価が上がることもあります。

これ自体を完全になくすことは難しい。

だからこそ、

何を確認する面接なのかを、先に決めておく。

ことが大切です。

面接で確認したい5つのこと

「何を質問すればいいですか?」

と聞かれたとき、質問集だけを作っても、私はあまり意味がないと思っています。

大切なのは、質問そのものより、

何を確認するための質問なのか。

です。

まずは、次の5つを見てみてください。

面接で確認したい5つのこと

  1. 過去に、実際にどう行動した人なのか
  2. うまくいかなかったとき、どう向き合う人なのか
  3. 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか
  4. その人が仕事に求めているものと、会社が合っているか
  5. 会社側も、仕事の現実をきちんと伝えているか

① 過去に、実際にどう行動した人なのか

面接で、

「あなたの強みは何ですか?」

と聞くと、

  • 「責任感があります」
  • 「コミュニケーション力があります」
  • 「粘り強いです」

という答えが返ってきます。

でも、これだけではよく分かりません。

誰でも、自分を良く見せたいからです。

そこで私は、

抽象的な答えを、具体的な出来事まで下げていく。

ことが大切だと思っています。

たとえば、

「責任感があります」

と言われたら、

  • 「それが一番出た出来事を教えてください」
  • 「そのとき、何が起きましたか?」
  • 「あなたは具体的に何をしましたか?」
  • 「周りの人はどうしていましたか?」
  • 「結果はどうなりましたか?」

と聞いていく。

すると、その人が実際にどう行動したのかが見えてきます。

大事なのは、立派なエピソードかどうかではありません。

その状況で、本人が何を考え、何をしたか。

そこを見ることです。

② うまくいかなかったとき、どう向き合う人なのか

私は、成功体験だけでなく、失敗した話も聞いた方がいいと思っています。

  • 「仕事でうまくいかなかった経験を教えてください」
  • 「そのとき、どうしましたか?」
  • 「今なら何を変えますか?」

と聞く。

ここで見たいのは、失敗したかどうかではありません。

誰でも失敗します。

見るのは、

失敗したあとに、どう考える人なのか。

です。

たとえば、何を聞いても、

  • 「あの上司が悪かった」
  • 「会社が教えてくれなかった」
  • 「お客様が無理を言った」

と、すべて外のせいになる。

もちろん、本当に会社や上司に問題があったこともあるでしょう。

だから、他責的な発言が一度出ただけで判断する必要はありません。

ただ、どんな出来事でも、

「自分にできたことは一つもなかった」

という話になるなら、少し注意して見た方がいい。

逆に、

「上司にも問題はあったと思います。でも、自分ももっと早く相談すればよかった」

と言える人もいます。

私は、

誰が悪いかより、次にどうするかを考えられる人か。

を見るようにしています。

③ 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか

企業から、

「指示待ちの人は採りたくない」

と言われることがあります。

気持ちは分かります。

でも、何でも自分一人で判断する人が、必ずしも良いわけではありません。

仕事には、

  • 自分の責任で判断していいこと
  • 自分で考えて進めるべきこと
  • 上司へ相談した方がいいこと
  • 自分の権限では決めてはいけないこと

があります。

大切なのは、

何でも自分でやることではなく、自分の役割と責任範囲を理解して行動できること。

だと思います。

たとえば面接では、

  • 「自分だけでは判断できない仕事を任されたとき、どうしますか?」
  • 「以前、判断に迷った仕事はありましたか?」
  • 「そのとき、どこまで自分で考えて、どの段階で上司に相談しましたか?」
  • 「上司に相談するとき、どんなことを整理してから相談しましたか?」

と聞いてみる。

ここで見たいのは、

「すぐ聞く人か、自分で考える人か」

という二択ではありません。

自分の役割の中では、まず自分で考える。

調べる。

できることをやる。

一方で、

  • 責任範囲を超えること
  • 会社としての判断が必要なこと
  • 自分に与えられた権限を超えること

については、上司へ相談する。

そして必要であれば、

上司の権限や経験を使って、仕事を前へ進める。

この考え方も大切です。

私は、上司に相談することは、自分で考えていないこととは違うと思っています。

むしろ、自分だけでは決められないことを理解し、必要な人を適切に巻き込むことも、仕事を進める力の一つです。

逆に、

  • 何でも自分で抱え込んでしまう
  • 権限がないのに勝手に決める
  • 責任範囲を超えた問題まで一人で処理しようとする

これも、組織で働くうえでは問題になることがあります。

だから面接では、

「主体性があるか」だけでなく、「自分の役割と責任範囲を理解し、必要なときに周囲を活用できるか」

を見る。

その方が、実際に仕事をしている姿を想像しやすいと思います。

④ その人が仕事に求めているものと、会社が合っているか

面接では、会社が応募者を評価します。

でも、本当はそれだけではありません。

応募者も会社を選んでいます。

たとえば、本人は、

「どんどん新しい仕事に挑戦したい」

と思っている。

でも会社は、まず決められた仕事を正確に覚えてほしい。

これは、どちらが悪いわけでもありません。

ただ、合っていない可能性があります。

逆に、本人は、安定した環境で、一つずつ仕事を覚えていきたい。

会社は、入社半年でもどんどん新しいことを任せる。

これもズレるかもしれません。

だから、

「志望動機は何ですか?」

だけではなく、

  • 「仕事をするうえで大切にしたいことは何ですか?」
  • 「どんなときに仕事が楽しいと感じますか?」
  • 「反対に、どんな働き方は苦手ですか?」
  • 「3年後、どんな状態になっていたいですか?」

と聞く。

ここで見たいのは、模範回答ではありません。

その人が働くうえで大事にしていることと、会社の現実が合うか。

です。

採用は、良い人を探す仕事というより、

合う人を探す仕事

でもあると思います。

⑤ 会社側も、仕事の現実をきちんと伝えているか

これは、面接する会社側にもかなり重要です。

人を採りたい。

だから、良いところをたくさん話す。

  • 雰囲気がいい
  • 成長できる
  • やりがいがある
  • 若手が活躍している

もちろん、本当なら伝えていい。

でも、大変なところを隠してはいけません。

たとえば、

  • 繁忙期は忙しい
  • 最初は覚えることが多い
  • 現場仕事なので暑い日も寒い日もある
  • お客様対応で厳しいことを言われることもある
  • 資格取得のために勉強も必要

こういうことも、採用前に伝えた方がいい。

応募者が減るのが怖くて隠すと、入社後に、

「聞いていた話と違う」

となります。

第5回でも書きましたが、採用時の期待と入社後の現実のズレは、早期離職につながります。

だから、面接は、会社が応募者を見極めるだけの時間ではありません。

応募者にも、会社を見極めてもらう時間です。

「この質問をすれば見抜ける」という魔法の質問はない

採用の記事や研修では、

「この質問をすれば本音が分かる」

という話を見かけることがあります。

私は、そこまで簡単ではないと思っています。

たとえば、

  • 「あなたを動物に例えると?」
  • 「無人島に一つだけ持っていくなら?」

という質問をしても、そこから仕事の適性が分かるとは限りません。

少し意地悪な質問をして、反応を見る。

という面接もあります。

でも、圧迫されたときの反応と、実際の仕事で成果を出せるかは別です。

採用面接で重要なのは、奇抜な質問を考えることではありません。

自社で活躍するために必要なものを決め、それを確認できる質問をすること。

です。

そもそも「活躍する人」が社内で決まっているか

面接の相談を受けると、私はその前に、

「御社では、どんな人が活躍していますか?」

と考えてもらうことがあります。

すると、意外と答えが出ません。

  • 「明るい人」
  • 「素直な人」
  • 「やる気がある人」

といった言葉は出ます。

でも、もう少し具体的にすると難しい。

たとえば、御社で活躍している人は、

  • 報告が早いのか
  • 分からないことをすぐ聞けるのか
  • お客様との関係づくりが上手いのか
  • 一人で黙々と進められるのか
  • チームで動けるのか
  • 多少曖昧な指示でも自分で考えられるのか
  • 決められた手順を正確に守れるのか
  • 自分の責任範囲と権限を理解して行動できるのか

これは、会社によって違います。

営業職と経理職でも違う。

新人と管理職でも違う。

だから、

面接の質問を考える前に、「この仕事で活躍する人はどんな行動をしているか」を考える。

ここが先です。

「素直な人が欲しい」は、少し注意した方がいい

中小企業の採用で、よく出てくる条件があります。

「素直な人がいい」

です。

私も、素直さは大切だと思います。

でも、この言葉はかなり曖昧です。

  • 社長の言うことを、何でも「はい」と聞く人なのか
  • 分からないことを、分からないと言える人なのか
  • 指摘されたときに、まず受け止められる人なのか
  • 間違っていると思ったら、意見を言える人なのか

同じ「素直」でも、意味が全然違います。

だから、

「素直な人を採りたい」

で終わらせず、

素直な人とは、御社ではどんな行動をする人なのか。

まで言葉にした方がいい。

これは、面接だけでなく、評価制度にもつながる話です。

前職の退職理由だけで、人を決めつけない

面接では、退職理由を聞くことがあります。

  • 人間関係
  • 給与
  • 残業
  • 上司
  • 会社の方針

いろいろあります。

ここで、

「人間関係で辞めた人は危ない」

と単純に決めるのは違います。

本当にひどい環境だったかもしれません。

逆に、

「キャリアアップのためです」

ときれいに答えたから安心、とも限りません。

大切なのは、言葉の表面より、

その出来事を本人がどう捉えているか。

を見ることです。

  • 「何があったんですか?」
  • 「そのとき、ご自身ではどう対応しましたか?」
  • 「次の会社では、何を変えたいですか?」

と聞いていく。

すると、少しずつ、仕事への向き合い方が見えてきます。

面接官が違えば、評価が変わる問題

採用では、

  • 社長は良いと言った
  • 部長は微妙と言った
  • 現場社員は絶対欲しいと言った

ということがあります。

これは珍しくありません。

人が人を見るので、評価が完全に一致することはありません。

問題は、

それぞれが違う基準で見ていること。

です。

社長は、話が合うか。

部長は、経験があるか。

現場は、一緒に働きやすそうか。

全部大切ですが、基準が共有されていなければ、面接官によって採用基準が変わります。

だから、面接前に、

  • 今回の採用で絶対に見ること
  • あれば望ましいこと
  • 入社後に育てればいいこと

を分けておく。

たとえば、

  • 「報告・相談ができることは必須」
  • 「経験はなくてもいい」
  • 「資格は入社後に取ればいい」

というように整理する。

これだけでも、面接の精度はかなり変わります。

私自身、面接では「正解」より「その人らしさ」を見る

私はこれまで、採用や人事の仕事の中で、多くの面接をしてきました。

そこで感じるのは、応募者も面接官も、

「正解」

を探しすぎると、かえってその人が見えなくなる、ということです。

応募者は、

「何と答えれば評価されるだろう」

となる。

面接官は、

「どの答えなら合格だろう」

となる。

すると、面接が、正解当てゲームのようになります。

だから私は、一つの質問で判断するより、答えをもう少し具体的に聞いていくことを大切にしています。

  • 「なぜそう思ったんですか?」
  • 「そのとき実際に何をしました?」
  • 「それは誰かに言われたんですか?」
  • 「結果はどうでした?」

と聞く。

正しい答えを求めるのではなく、

その人が実際にどう考え、どう動いてきたのかを見る。

その方が、入社後の姿を想像しやすくなります。

面接だけで見抜こうとしない

もう一つ、かなり大事なことがあります。

それは、

採用を面接だけで決めようとしないこと。

です。

可能であれば、

  • 会社見学
  • 職場体験
  • 現場社員との面談
  • 適性検査
  • 複数の面接官
  • 実技
  • 仕事に近い簡単な課題

など、複数の情報を使った方がいい。

特に、面接で話すのが得意な人ばかりが活躍する仕事ではないなら、なおさらです。

一時間話した印象だけで、その人の数年間を決める。

会社にとっても、本人にとっても、少しリスクがあります。

面接は、人を見抜く試験ではなく、お互いのズレを減らすための一つの方法。

くらいに考えた方がいいと思います。

採用で「100点の人」を探さない

採用が難しくなると、条件が増えていくことがあります。

  • 経験がある
  • 資格がある
  • 若い
  • コミュニケーション力がある
  • 素直
  • 主体性がある
  • 定着する
  • 給与条件も合う
  • 会社の文化にも合う

全部欲しい。

気持ちは分かります。

でも、そんな人がいたとして、その人は他社からも欲しがられます。

そして、条件を増やしすぎるほど、誰も採用できなくなる。

だから、採用では、

「入社時に絶対必要なもの」と、「入社後に育てられるもの」を分ける。

ことが大切です。

技術は教えられる。

資格も取れる。

でも、安全ルールを守れない人は難しい。

という会社もあります。

逆に、専門知識が絶対必要な仕事もあります。

ここも、会社によって答えは違います。

採用は「見抜く」より「確率を上げる」

「面接で人を見抜けますか?」

と聞かれたら、私は、

完全には見抜けません。

と答えます。

人は、

  • 入社する会社
  • 上司
  • 同僚
  • 仕事内容
  • 環境

によっても変わります。

面接の一時間で、将来すべてを予測するのは難しい。

でも、

  • 何となく採るより、活躍している人を分析する
  • 必要な行動を言葉にする
  • 過去の具体的な行動を聞く
  • 役割や責任への向き合い方を見る
  • 会社の現実も伝える
  • 複数の人で見る
  • 入社後に育てる

そうすることで、

採用がうまくいく確率を上げることはできます。

私は、採用とはそういう仕事だと思っています。

「社長を、楽にする。」採用にする

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

採用しても、

  • すぐ辞める
  • 思った人と違う
  • 現場から不満が出る
  • また採用する
  • また面接する

これが続けば、社長はいつまでも採用に追われます。

一方で、

  • どんな人が自社で活躍するのかを整理する
  • 採用基準を言葉にする
  • 面接官で共有する
  • 会社の良いところも大変なところも伝える
  • 入社後にきちんと育てる

すると、

「なんとなく良さそうだから採る」

採用から、少しずつ抜け出せます。

採用の目的は、面接で良い人を見つけることではありません。
入社した人が、その会社で活躍することです。

そこまで考えて、初めて採用は完成すると思っています。

まとめ|面接で見るのは「良い人」ではなく「この会社でどう働く人か」

面接で、入社後に活躍する人を見抜きたい。

そう思うのは当然です。

でも、一つの魔法の質問で、人の本質が分かるわけではありません。

だから、確認してみてください。

  • 過去に実際にどう行動した人なのか
  • 失敗したとき、どう向き合うのか
  • 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか
  • 本人が仕事に求めるものと、会社は合っているか
  • 会社側も、仕事の現実を伝えているか

そして何より、

御社で「活躍する人」が、どんな人なのかを言葉にできているか。

面接で見るべきなのは、

「この人は良い人だろうか?」

だけではありません。

「この会社で、この仕事をするときに、この人はどう行動しそうだろう?」

と考えること。

そして、会社側も選ばれる立場として、正直に自社を伝えること。

採用は、会社が人を選ぶ場であると同時に、人が会社を選ぶ場でもあります。

だからこそ、お互いに、入社後の姿がなるべく具体的に見える面接にする。

それが、

「面接では良かったんだけどね」

を少しずつ減らす方法だと思います。


採用面接・採用基準でお悩みですか?

JAPANVISIONでは、中小企業の採用基準づくり・面接設計・面接官トレーニングまで、採用全体を一緒に整理しています。
「面接では良さそうなのに、入社後に合わない」「何を基準に採用すればいいのか分からない」という段階からでもご相談いただけます。

taisaki76127のアバター

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です