「面接では、すごく感じが良かったんだけどね」
「受け答えもしっかりしていた」
「まさか、こんなに合わないとは思わなかった」
採用したあとに、こんな話を聞くことがあります。
逆に、
面接では少し地味だった。
口数も多くなかった。
でも入社してみたら、
- 仕事を覚える
- 周りとうまくやる
- 任せたことをきちんとやる
- 数年後には中心社員になっていた
そんなこともあります。
面接は難しいです。
私自身、これまで多くの面接に関わってきましたが、
短い面接だけで、人のすべてを見抜くことはできません。
これは最初に言っておきたいことです。
人はそんなに単純ではありません。
でも、だから面接は意味がない、ということでもありません。
面接で大切なのは、
「この人は良い人か」を当てることではなく、「この会社で、この仕事をするときに、どう行動しそうな人か」を確かめること。
だと思っています。
面接が「感じの良い人を選ぶ時間」になっていないか
面接では、
- 明るい
- ハキハキしている
- 愛想がいい
- 受け答えが上手い
という人が、良く見えやすいです。
もちろん、コミュニケーションが必要な仕事なら、それも大切な要素です。
でも、
面接が上手いことと、仕事ができることは同じではありません。
逆に、面接が少し苦手でも、入社後に真面目に仕事を覚え、周りから信頼される人もいます。
だから、
「感じが良かった」
「話しやすかった」
だけで判断すると、採用後にズレが起きることがあります。
面接官自身も人間です。
- 自分と話が合う
- 出身地が同じ
- 趣味が同じ
- 雰囲気が好き
そういうことで評価が上がることもあります。
これ自体を完全になくすことは難しい。
だからこそ、
何を確認する面接なのかを、先に決めておく。
ことが大切です。
面接で確認したい5つのこと
「何を質問すればいいですか?」
と聞かれたとき、質問集だけを作っても、私はあまり意味がないと思っています。
大切なのは、質問そのものより、
何を確認するための質問なのか。
です。
まずは、次の5つを見てみてください。
面接で確認したい5つのこと
- 過去に、実際にどう行動した人なのか
- うまくいかなかったとき、どう向き合う人なのか
- 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか
- その人が仕事に求めているものと、会社が合っているか
- 会社側も、仕事の現実をきちんと伝えているか
① 過去に、実際にどう行動した人なのか
面接で、
「あなたの強みは何ですか?」
と聞くと、
- 「責任感があります」
- 「コミュニケーション力があります」
- 「粘り強いです」
という答えが返ってきます。
でも、これだけではよく分かりません。
誰でも、自分を良く見せたいからです。
そこで私は、
抽象的な答えを、具体的な出来事まで下げていく。
ことが大切だと思っています。
たとえば、
「責任感があります」
と言われたら、
- 「それが一番出た出来事を教えてください」
- 「そのとき、何が起きましたか?」
- 「あなたは具体的に何をしましたか?」
- 「周りの人はどうしていましたか?」
- 「結果はどうなりましたか?」
と聞いていく。
すると、その人が実際にどう行動したのかが見えてきます。
大事なのは、立派なエピソードかどうかではありません。
その状況で、本人が何を考え、何をしたか。
そこを見ることです。
② うまくいかなかったとき、どう向き合う人なのか
私は、成功体験だけでなく、失敗した話も聞いた方がいいと思っています。
- 「仕事でうまくいかなかった経験を教えてください」
- 「そのとき、どうしましたか?」
- 「今なら何を変えますか?」
と聞く。
ここで見たいのは、失敗したかどうかではありません。
誰でも失敗します。
見るのは、
失敗したあとに、どう考える人なのか。
です。
たとえば、何を聞いても、
- 「あの上司が悪かった」
- 「会社が教えてくれなかった」
- 「お客様が無理を言った」
と、すべて外のせいになる。
もちろん、本当に会社や上司に問題があったこともあるでしょう。
だから、他責的な発言が一度出ただけで判断する必要はありません。
ただ、どんな出来事でも、
「自分にできたことは一つもなかった」
という話になるなら、少し注意して見た方がいい。
逆に、
「上司にも問題はあったと思います。でも、自分ももっと早く相談すればよかった」
と言える人もいます。
私は、
誰が悪いかより、次にどうするかを考えられる人か。
を見るようにしています。
③ 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか
企業から、
「指示待ちの人は採りたくない」
と言われることがあります。
気持ちは分かります。
でも、何でも自分一人で判断する人が、必ずしも良いわけではありません。
仕事には、
- 自分の責任で判断していいこと
- 自分で考えて進めるべきこと
- 上司へ相談した方がいいこと
- 自分の権限では決めてはいけないこと
があります。
大切なのは、
何でも自分でやることではなく、自分の役割と責任範囲を理解して行動できること。
だと思います。
たとえば面接では、
- 「自分だけでは判断できない仕事を任されたとき、どうしますか?」
- 「以前、判断に迷った仕事はありましたか?」
- 「そのとき、どこまで自分で考えて、どの段階で上司に相談しましたか?」
- 「上司に相談するとき、どんなことを整理してから相談しましたか?」
と聞いてみる。
ここで見たいのは、
「すぐ聞く人か、自分で考える人か」
という二択ではありません。
自分の役割の中では、まず自分で考える。
調べる。
できることをやる。
一方で、
- 責任範囲を超えること
- 会社としての判断が必要なこと
- 自分に与えられた権限を超えること
については、上司へ相談する。
そして必要であれば、
上司の権限や経験を使って、仕事を前へ進める。
この考え方も大切です。
私は、上司に相談することは、自分で考えていないこととは違うと思っています。
むしろ、自分だけでは決められないことを理解し、必要な人を適切に巻き込むことも、仕事を進める力の一つです。
逆に、
- 何でも自分で抱え込んでしまう
- 権限がないのに勝手に決める
- 責任範囲を超えた問題まで一人で処理しようとする
これも、組織で働くうえでは問題になることがあります。
だから面接では、
「主体性があるか」だけでなく、「自分の役割と責任範囲を理解し、必要なときに周囲を活用できるか」
を見る。
その方が、実際に仕事をしている姿を想像しやすいと思います。
④ その人が仕事に求めているものと、会社が合っているか
面接では、会社が応募者を評価します。
でも、本当はそれだけではありません。
応募者も会社を選んでいます。
たとえば、本人は、
「どんどん新しい仕事に挑戦したい」
と思っている。
でも会社は、まず決められた仕事を正確に覚えてほしい。
これは、どちらが悪いわけでもありません。
ただ、合っていない可能性があります。
逆に、本人は、安定した環境で、一つずつ仕事を覚えていきたい。
会社は、入社半年でもどんどん新しいことを任せる。
これもズレるかもしれません。
だから、
「志望動機は何ですか?」
だけではなく、
- 「仕事をするうえで大切にしたいことは何ですか?」
- 「どんなときに仕事が楽しいと感じますか?」
- 「反対に、どんな働き方は苦手ですか?」
- 「3年後、どんな状態になっていたいですか?」
と聞く。
ここで見たいのは、模範回答ではありません。
その人が働くうえで大事にしていることと、会社の現実が合うか。
です。
採用は、良い人を探す仕事というより、
合う人を探す仕事
でもあると思います。
⑤ 会社側も、仕事の現実をきちんと伝えているか
これは、面接する会社側にもかなり重要です。
人を採りたい。
だから、良いところをたくさん話す。
- 雰囲気がいい
- 成長できる
- やりがいがある
- 若手が活躍している
もちろん、本当なら伝えていい。
でも、大変なところを隠してはいけません。
たとえば、
- 繁忙期は忙しい
- 最初は覚えることが多い
- 現場仕事なので暑い日も寒い日もある
- お客様対応で厳しいことを言われることもある
- 資格取得のために勉強も必要
こういうことも、採用前に伝えた方がいい。
応募者が減るのが怖くて隠すと、入社後に、
「聞いていた話と違う」
となります。
第5回でも書きましたが、採用時の期待と入社後の現実のズレは、早期離職につながります。
だから、面接は、会社が応募者を見極めるだけの時間ではありません。
応募者にも、会社を見極めてもらう時間です。
「この質問をすれば見抜ける」という魔法の質問はない
採用の記事や研修では、
「この質問をすれば本音が分かる」
という話を見かけることがあります。
私は、そこまで簡単ではないと思っています。
たとえば、
- 「あなたを動物に例えると?」
- 「無人島に一つだけ持っていくなら?」
という質問をしても、そこから仕事の適性が分かるとは限りません。
少し意地悪な質問をして、反応を見る。
という面接もあります。
でも、圧迫されたときの反応と、実際の仕事で成果を出せるかは別です。
採用面接で重要なのは、奇抜な質問を考えることではありません。
自社で活躍するために必要なものを決め、それを確認できる質問をすること。
です。
そもそも「活躍する人」が社内で決まっているか
面接の相談を受けると、私はその前に、
「御社では、どんな人が活躍していますか?」
と考えてもらうことがあります。
すると、意外と答えが出ません。
- 「明るい人」
- 「素直な人」
- 「やる気がある人」
といった言葉は出ます。
でも、もう少し具体的にすると難しい。
たとえば、御社で活躍している人は、
- 報告が早いのか
- 分からないことをすぐ聞けるのか
- お客様との関係づくりが上手いのか
- 一人で黙々と進められるのか
- チームで動けるのか
- 多少曖昧な指示でも自分で考えられるのか
- 決められた手順を正確に守れるのか
- 自分の責任範囲と権限を理解して行動できるのか
これは、会社によって違います。
営業職と経理職でも違う。
新人と管理職でも違う。
だから、
面接の質問を考える前に、「この仕事で活躍する人はどんな行動をしているか」を考える。
ここが先です。
「素直な人が欲しい」は、少し注意した方がいい
中小企業の採用で、よく出てくる条件があります。
「素直な人がいい」
です。
私も、素直さは大切だと思います。
でも、この言葉はかなり曖昧です。
- 社長の言うことを、何でも「はい」と聞く人なのか
- 分からないことを、分からないと言える人なのか
- 指摘されたときに、まず受け止められる人なのか
- 間違っていると思ったら、意見を言える人なのか
同じ「素直」でも、意味が全然違います。
だから、
「素直な人を採りたい」
で終わらせず、
素直な人とは、御社ではどんな行動をする人なのか。
まで言葉にした方がいい。
これは、面接だけでなく、評価制度にもつながる話です。
前職の退職理由だけで、人を決めつけない
面接では、退職理由を聞くことがあります。
- 人間関係
- 給与
- 残業
- 上司
- 会社の方針
いろいろあります。
ここで、
「人間関係で辞めた人は危ない」
と単純に決めるのは違います。
本当にひどい環境だったかもしれません。
逆に、
「キャリアアップのためです」
ときれいに答えたから安心、とも限りません。
大切なのは、言葉の表面より、
その出来事を本人がどう捉えているか。
を見ることです。
- 「何があったんですか?」
- 「そのとき、ご自身ではどう対応しましたか?」
- 「次の会社では、何を変えたいですか?」
と聞いていく。
すると、少しずつ、仕事への向き合い方が見えてきます。
面接官が違えば、評価が変わる問題
採用では、
- 社長は良いと言った
- 部長は微妙と言った
- 現場社員は絶対欲しいと言った
ということがあります。
これは珍しくありません。
人が人を見るので、評価が完全に一致することはありません。
問題は、
それぞれが違う基準で見ていること。
です。
社長は、話が合うか。
部長は、経験があるか。
現場は、一緒に働きやすそうか。
全部大切ですが、基準が共有されていなければ、面接官によって採用基準が変わります。
だから、面接前に、
- 今回の採用で絶対に見ること
- あれば望ましいこと
- 入社後に育てればいいこと
を分けておく。
たとえば、
- 「報告・相談ができることは必須」
- 「経験はなくてもいい」
- 「資格は入社後に取ればいい」
というように整理する。
これだけでも、面接の精度はかなり変わります。
私自身、面接では「正解」より「その人らしさ」を見る
私はこれまで、採用や人事の仕事の中で、多くの面接をしてきました。
そこで感じるのは、応募者も面接官も、
「正解」
を探しすぎると、かえってその人が見えなくなる、ということです。
応募者は、
「何と答えれば評価されるだろう」
となる。
面接官は、
「どの答えなら合格だろう」
となる。
すると、面接が、正解当てゲームのようになります。
だから私は、一つの質問で判断するより、答えをもう少し具体的に聞いていくことを大切にしています。
- 「なぜそう思ったんですか?」
- 「そのとき実際に何をしました?」
- 「それは誰かに言われたんですか?」
- 「結果はどうでした?」
と聞く。
正しい答えを求めるのではなく、
その人が実際にどう考え、どう動いてきたのかを見る。
その方が、入社後の姿を想像しやすくなります。
面接だけで見抜こうとしない
もう一つ、かなり大事なことがあります。
それは、
採用を面接だけで決めようとしないこと。
です。
可能であれば、
- 会社見学
- 職場体験
- 現場社員との面談
- 適性検査
- 複数の面接官
- 実技
- 仕事に近い簡単な課題
など、複数の情報を使った方がいい。
特に、面接で話すのが得意な人ばかりが活躍する仕事ではないなら、なおさらです。
一時間話した印象だけで、その人の数年間を決める。
会社にとっても、本人にとっても、少しリスクがあります。
面接は、人を見抜く試験ではなく、お互いのズレを減らすための一つの方法。
くらいに考えた方がいいと思います。
採用で「100点の人」を探さない
採用が難しくなると、条件が増えていくことがあります。
- 経験がある
- 資格がある
- 若い
- コミュニケーション力がある
- 素直
- 主体性がある
- 定着する
- 給与条件も合う
- 会社の文化にも合う
全部欲しい。
気持ちは分かります。
でも、そんな人がいたとして、その人は他社からも欲しがられます。
そして、条件を増やしすぎるほど、誰も採用できなくなる。
だから、採用では、
「入社時に絶対必要なもの」と、「入社後に育てられるもの」を分ける。
ことが大切です。
技術は教えられる。
資格も取れる。
でも、安全ルールを守れない人は難しい。
という会社もあります。
逆に、専門知識が絶対必要な仕事もあります。
ここも、会社によって答えは違います。
採用は「見抜く」より「確率を上げる」
「面接で人を見抜けますか?」
と聞かれたら、私は、
完全には見抜けません。
と答えます。
人は、
- 入社する会社
- 上司
- 同僚
- 仕事内容
- 環境
によっても変わります。
面接の一時間で、将来すべてを予測するのは難しい。
でも、
- 何となく採るより、活躍している人を分析する
- 必要な行動を言葉にする
- 過去の具体的な行動を聞く
- 役割や責任への向き合い方を見る
- 会社の現実も伝える
- 複数の人で見る
- 入社後に育てる
そうすることで、
採用がうまくいく確率を上げることはできます。
私は、採用とはそういう仕事だと思っています。
「社長を、楽にする。」採用にする
JAPANVISIONのMissionは、
「社長を、楽にする。」
です。
採用しても、
- すぐ辞める
- 思った人と違う
- 現場から不満が出る
- また採用する
- また面接する
これが続けば、社長はいつまでも採用に追われます。
一方で、
- どんな人が自社で活躍するのかを整理する
- 採用基準を言葉にする
- 面接官で共有する
- 会社の良いところも大変なところも伝える
- 入社後にきちんと育てる
すると、
「なんとなく良さそうだから採る」
採用から、少しずつ抜け出せます。
採用の目的は、面接で良い人を見つけることではありません。
入社した人が、その会社で活躍することです。
そこまで考えて、初めて採用は完成すると思っています。
まとめ|面接で見るのは「良い人」ではなく「この会社でどう働く人か」
面接で、入社後に活躍する人を見抜きたい。
そう思うのは当然です。
でも、一つの魔法の質問で、人の本質が分かるわけではありません。
だから、確認してみてください。
- 過去に実際にどう行動した人なのか
- 失敗したとき、どう向き合うのか
- 自分の役割と責任範囲を理解して行動できるか
- 本人が仕事に求めるものと、会社は合っているか
- 会社側も、仕事の現実を伝えているか
そして何より、
御社で「活躍する人」が、どんな人なのかを言葉にできているか。
面接で見るべきなのは、
「この人は良い人だろうか?」
だけではありません。
「この会社で、この仕事をするときに、この人はどう行動しそうだろう?」
と考えること。
そして、会社側も選ばれる立場として、正直に自社を伝えること。
採用は、会社が人を選ぶ場であると同時に、人が会社を選ぶ場でもあります。
だからこそ、お互いに、入社後の姿がなるべく具体的に見える面接にする。
それが、
「面接では良かったんだけどね」
を少しずつ減らす方法だと思います。
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「面接では良さそうなのに、入社後に合わない」「何を基準に採用すればいいのか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
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