「高校生を採用したいけれど、なかなか応募が来ない」
「学校に求人票は出しているんだけどね」
「昔は学校から紹介してもらえたのに、最近は難しくなった」
地方の中小企業、とくに現場職や技術職の会社では、高卒採用を重要な採用ルートにしている会社が少なくありません。
一方で、
- 求人票を出しても応募が来ない
- 学校訪問をしても反応が薄い
- 会社見学には来ても、応募につながらない
という相談もよくあります。
そんなとき、
「今の高校生は地元企業に興味がない」
「若い人は現場仕事をやりたがらない」
と考えてしまうことがあります。
もちろん、そういう面がまったくないとは言いません。
でも、高卒採用を見ていると、それだけではないと感じます。
私は、
高校生が会社を選ばなくなったのではなく、会社を知る前に候補から外れていることがある。
と思っています。
高卒採用では、
「うちの会社は良い会社です」
だけでは、なかなか伝わりません。
高校生が、
- この会社なら働けそう
- ここなら少し楽しそう
- 自分にもできそう
と思えるところまで、会社側が伝える必要があります。
高卒採用は「求人票を出す採用」ではなくなっている
高卒採用というと、
- 学校に求人票を出す
- 先生へ挨拶に行く
- 会社見学を受け入れる
- そして応募を待つ
という流れをイメージする方も多いと思います。
もちろん、この基本は今も大切です。
ただ、
求人票を出して終わり。
学校へ年に一度挨拶して終わり。
では、なかなか選ばれません。
なぜなら、高校生からすると、
- 会社名を知らない
- 仕事も知らない
- 働いている人も知らない
- そもそも何をしている会社なのか分からない
という状態だからです。
大人なら、
- 会社名を検索する
- ホームページを見る
- 仕事内容を比較する
- 口コミを探す
ということができます。
でも高校生の場合、就職活動そのものが初めてです。
会社を見る基準もまだ十分にありません。
だからこそ、
会社側が「知ってもらうところ」から採用をつくらなければいけない。
ここが、中途採用とはかなり違うところだと思います。
高卒採用を見直すとき、社長に確認してほしい5つのこと
高卒採用がうまくいかないとき、まず確認してほしいことがあります。
高卒採用を見直すときの5つのチェック
- 高校生から見て、何をしている会社か分かるか
- 仕事を「怖そう」「難しそう」に見せていないか
- 給料や休日以外の「働く理由」が見えているか
- 高校・先生との関係を、求人が必要なときだけ作っていないか
- 会社見学や職場体験が、「説明会」で終わっていないか
① 高校生から見て、何をしている会社か分かるか
これは本当に多いです。
会社側からすると、
「うちは電気工事会社です」
「製造業です」
「建設業です」
で十分伝わっていると思っています。
でも、高校生からすると、
- 電気工事って何をするの?
- 毎日電線を触るの?
- 製造業って工場でずっと同じ作業?
- 建設業って力仕事?
くらいのイメージしかないことがあります。
つまり、業界名や職種名だけでは、実際の仕事が見えていません。
だから、
- 「配電設備を守って、地域の電気が止まらないようにする仕事」
- 「学校や病院などで使われる設備を作る仕事」
- 「道路や建物を安全に使えるようにする仕事」
というように、
仕事を、高校生が想像できる言葉へ翻訳する。
必要があります。
大人向けの会社説明を、そのまま高校生へ持っていっても伝わりません。
これは、高校生を子ども扱いするという意味ではありません。
知らない世界を、知らない人にも分かるように説明する。
ただ、それだけです。
② 仕事を「怖そう」「難しそう」に見せていないか
現場系の会社では、会社の魅力を伝えようとして、
- 大型設備
- 高所作業
- 重機
- 難しい専門用語
- ベテラン社員の真剣な表情
をたくさん見せることがあります。
もちろん、仕事の格好良さとしては大切です。
でも、それだけだと高校生には、
「自分にはできなそう」
と映ることがあります。
たとえば、高さ20メートルの場所で作業する写真を見せて、
「うちの仕事はこんなにすごい」
と言う。
会社側は誇りを伝えたい。
でも高校生は、
「怖い」
と思っているかもしれない。
ここに、採用側と求職者側のズレがあります。
大切なのは、すごい仕事を見せることだけではありません。
- 最初は何をするのか
- 入社後どう教えてもらえるのか
- 資格はどう取るのか
- 先輩も最初はできなかったのか
- 困ったら誰が助けてくれるのか
という、
「自分でもできるようになる道筋」
も見せることです。
仕事の格好良さと、仕事への入りやすさ。
両方が必要だと思います。
③ 給料や休日以外の「働く理由」が見えているか
もちろん、
- 給料
- 休日
- 残業
- 福利厚生
は重要です。
むしろ、ここをごまかして、
「やりがいがあります」
だけで採用しようとするのは違うと思います。
でも、条件だけで会社を比べられると、規模の大きな会社の方が有利になることがあります。
そこで、中小企業が考えたいのは、
この会社だから経験できることは何か。
です。
- 地元の仕事に関われる
- 若いうちから資格を取れる
- 先輩との距離が近い
- 仕事の結果が目に見える
- 地域の人から直接感謝される
- 高校の先輩が働いている
- 会社の雰囲気が自分に合いそう
こういうものです。
以前の記事でも書きましたが、
会社の中では当たり前のことも、外から見れば立派な「ここで働く理由」になることがあります。
高卒採用では特に、会社側が当たり前だと思っていることを、一度外から見直してみる必要があります。
④ 高校・先生との関係を、求人が必要なときだけ作っていないか
高卒採用では、高校の先生との関係も重要です。
でも、
7月に求人票が出る。
その前後だけ学校へ行く。
「今年もよろしくお願いします」
と言う。
そして一年連絡しない。
これでは、学校側から見ても、その会社のことを深く知るのは難しいと思います。
先生も、生徒の進路に関わります。
知らない会社を、簡単には勧められません。
だから、求人が欲しいときだけではなく、普段から会社を知ってもらう。
- 職場体験を受け入れる
- インターンに協力する
- 学校の行事に参加する
- OB・OGの近況を伝える
- 会社のニュースを届ける
そうやって、少しずつ関係をつくる。
高卒採用は、採用活動というより、地域との関係づくりに近い部分があります。
一年で結果が出ないこともあります。
でも、数年続けることで、
「あの会社なら知っています」
という状態ができていきます。
私は、この蓄積がかなり大切だと思っています。
⑤ 会社見学や職場体験が、「説明会」で終わっていないか
会社見学で、
- 社長が30分会社説明をする
- 工場や現場を歩く
- 最後に「何か質問ありますか?」と聞く
高校生は、
「特にありません」
と答える。
よくある光景です。
でも、会社側としては、
「反応が薄かったな」
と感じる。
これは、高校生に興味がないのではなく、
そもそも何を質問すればいいか分からない。
こともあります。
だから、見るだけではなく、
- 触る
- やってみる
- 考える
- 社員と話す
という時間をつくった方がいい。
たとえば、
- 実際の道具に触れる
- 簡単な作業を体験する
- 仕事に関するクイズをする
- 若手社員へ自由に質問する
- 入社一年目の仕事を見せる
こういう経験があると、会社の記憶が残ります。
高校生に、
「会社を理解してもらう」
より、まず、
「会社を体験してもらう」。
くらいの方がいいと思います。
高校生は「会社」より「そこで働く自分」を見ている
採用側は、
- 会社の歴史
- 売上
- 技術力
- 取引実績
を伝えたくなります。
もちろん重要です。
でも、高校生が知りたいのは、それだけではありません。
- 自分がここへ入ったら、どんな一日になるのか
- 誰と働くのか
- ちゃんと教えてもらえるのか
- 怒鳴られないか
- 休みは取れるのか
- 友達との時間は持てるのか
- 数年後、自分は何ができるようになるのか
つまり、
会社そのものより、「そこで働いている自分」を想像できるか。
を見ています。
だから採用サイトでも、会社案内でも、会社見学でも、企業情報だけでなく、働く姿が想像できる情報を増やした方がいいと思います。
「若い人にはSNS」は、半分正しくて半分違う
高校生採用というと、
「TikTokをやりましょう」
「Instagramをやりましょう」
という話になることがあります。
私は、SNSはやった方がいい会社も多いと思っています。
ただ、
SNSを始めれば採用できる。
という話ではありません。
SNSは、
会社を知ってもらう入口の一つ
です。
そこで、
- 楽しそうな社員を見た
- 会社名を覚えた
- 学校で求人票を見た
- 「この会社、TikTokで見たことある」となる
こういう効果はあります。
でも、SNSの中身と、実際の会社が違えば意味がありません。
SNSでは楽しそう。
会社見学へ行ったら誰も挨拶しない。
面接へ行ったら雰囲気が暗い。
では、むしろ逆効果です。
発信は大切です。
でも、
採用広報は、会社を良く見せることではなく、会社の実際を分かりやすく伝えること。
だと思っています。
高卒採用で、会社を「若者向け」にしすぎなくていい
高校生に来てもらおうとして、
- 急に言葉を若者っぽくする
- 流行の音楽を使う
- 無理に面白い動画を作る
というケースがあります。
もちろん、会社に合っていればいいと思います。
でも、無理をする必要はありません。
高校生だから、派手な会社が好き。
とは限らないからです。
- 静かな会社が合う人もいる
- 真面目に技術を身につけたい人もいる
- 安定して働きたい人もいる
- 地元で暮らしたい人もいる
だから、若者に合わせて別の会社を演じるより、
「うちはこういう会社です」を分かりやすく伝える。
その方が、入社後のミスマッチも減ります。
実際に採用活動をしていると、意外な魅力に気づく
私は実際に、地方企業の高校生採用に関わる中で、会社側が、
「そんなところが魅力になるの?」
と驚く場面を何度も見ます。
- 社員同士の距離
- 地元で有名な建物に関わった仕事
- 学校の先輩が働いていること
- 資格取得を会社が支援していること
- 若手社員が思った以上に楽しそうに働いていること
会社からすると、普通のことです。
でも、初めて会社を見る高校生にとっては普通ではありません。
だから私は、採用支援をするとき、新しい魅力を無理に作るよりも、
会社の中にすでにあるものを見つけること
を大切にしています。
もちろん、働く条件や環境に問題があれば、そこは改善しなければいけません。
でも、採用できない会社のすべてに魅力がないわけではない。
魅力がないのではなく、まだ言葉になっていない会社も多い。
と思っています。
高卒採用は、採用だけの話ではない
高卒採用に力を入れると、会社のいろいろな部分が見えてきます。
- 新人をどう育てるのか
- 誰が教えるのか
- 若手が辞めない会社になっているか
- 管理職が若手と話せているか
- 会社の魅力を言葉にできているか
- 仕事の意味を説明できるか
つまり、高校生に選ばれる会社をつくろうとすると、自然と、
会社そのものを見直すことになります。
これは、
- 第1回の「社員が育たない」
- 第4回の「管理職が育たない」
- 第6回の「若手社員が辞める」
ともつながっています。
採用は、採用だけで完結しません。
入社後の育成。
上司。
仕事。
組織。
全部つながっています。
地方の中小企業は、大手と同じ採用をしなくていい
地方の中小企業から、
「大手には勝てません」
と言われることがあります。
確かに、
- 初任給
- 知名度
- 福利厚生
- ブランド
だけを比べれば、勝ちにくい会社もあります。
でも、高校生全員が、一番大きな会社に行きたいわけではありません。
- 地元で働きたい
- 転勤したくない
- 家族の近くにいたい
- 手に職をつけたい
- 顔の見える会社で働きたい
- 学校の先輩がいる会社が安心
という人もいます。
だから、大手より良く見せようとする必要はありません。
必要なのは、
「どんな高校生なら、うちの会社で楽しく働けるのか」
を考えることです。
その人に、ちゃんと見つけてもらう。
ちゃんと知ってもらう。
ちゃんと選んでもらう。
それが、中小企業の高卒採用だと思います。
「社長を、楽にする。」採用にする
JAPANVISIONのMissionは、
「社長を、楽にする。」
です。
毎年、
- 採用できるか分からない
- 人が足りない
- 社長自身が学校を回る
- 応募が来ない
- 入社しても辞める
この状態が続けば、社長はずっと採用に追われます。
一方で、
- 地域で少しずつ会社を知ってもらう
- 学校との関係をつくる
- 採用サイトを整える
- 職場体験を続ける
- 若手が育つ会社をつくる
毎年一人。
二人。
三人。
と若い社員が入る流れができる。
すると、採用が、毎年ゼロから始める仕事ではなくなります。
採用は、その年に人を集める仕事ではなく、数年後に選ばれる会社をつくる仕事でもある。
そう考えると、高卒採用は、会社の未来をつくる活動だと思います。
まとめ|高校生に選ばれる前に、まず知ってもらう
高卒採用がうまくいかないと、
「高校生が来ない」
と考えてしまいます。
でも、その前に確認してみてください。
- 何をしている会社か、高校生にも分かる言葉になっているか
- 仕事の格好良さだけでなく、自分にもできそうだと思える情報があるか
- 給料や休日以外の、この会社で働く理由が伝わっているか
- 学校との関係を、求人が必要なときだけ作っていないか
- 会社見学が、説明を聞くだけの時間になっていないか
高校生は、知らない会社を選ぶことはできません。
そして、仕事が想像できない会社を、なかなか第一志望にはできません。
だから、求人票を出す前から、
- 会社を知ってもらう
- 仕事を知ってもらう
- 働く人を知ってもらう
- 少しだけ体験してもらう
そうした積み重ねが、採用につながります。
高校生が会社を選ばなくなったのではなく、会社を知る前に候補から外れていることがある。
高卒採用を考える最初の一歩は、
「どうやったら応募を増やせるだろう?」
よりも、
「高校生から見たとき、うちの会社は何をしている会社に見えているだろう?」
と考えることなのかもしれません。
高卒採用でお悩みですか?
JAPANVISIONでは、中小企業の高卒採用・学校との関係づくり・採用サイト・会社見学や職場体験の設計まで、採用全体を一緒に整理しています。
「求人票を出しても応募が来ない」「高校生にどう会社の魅力を伝えればいいか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
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