「評価制度を作ったのに、不満が減らない」
「ちゃんと基準を作ったのに、社員から納得できないと言われる」
「評価面談をすると、毎回話が長くなる」
——せっかく時間をかけて評価制度を作ったのに、社員から、
「この評価はおかしい」
「なぜ自分がB評価なんですか?」
「上司によって評価が違いませんか?」
と言われる。
社長からすると、
「だから評価制度を作ったのに」
と思うかもしれません。
評価制度を作れば、社員が納得する。
基準を明確にすれば、不満が減る。
そう期待するのは自然です。
でも実際には、
制度があることと、社員が納得することは、別の話です。
評価制度を作っても、運用の仕方によっては、以前より不満が増えることさえあります。
では、なぜ評価制度を作ったのに、社員は納得しないのでしょうか。
評価制度があるだけでは、納得は生まれない
評価制度を作ると、会社には評価シートができます。
項目ができます。
点数があります。
- A評価
- B評価
- C評価
- 昇給額
- 賞与額
数字や基準が見えるようになります。
すると、一見すると以前より公平になったように感じます。
でも、社員から見ると、
「なぜ自分が3点なのか」
「なぜあの人が4点なのか」
が分からなければ、制度があっても納得はできません。
むしろ、今まで曖昧だった不満が、点数として見えるようになっただけかもしれません。
大切なのは、
評価制度を作ることではなく、評価の理由を伝えられること。
だと思っています。
社員が評価に納得しないときに、社長が見直したい5つのこと
評価制度を作ったのに社員から不満が出る。
そんなとき、
「社員がわがままなのではないか」
と考える前に、次の5つを確認してみてください。
社員が評価に納得しないときに見直したい5つのこと
- 評価基準の言葉が曖昧になっていないか
- 評価者によって基準が変わっていないか
- 評価するまでの間に、本人へ何も伝えていないのではないか
- 評価結果だけを伝えて、理由を説明していないのではないか
- 評価制度と給与制度を、同じものとして扱っていないか
① 評価基準の言葉が曖昧になっていないか
評価制度には、
- 積極性
- 協調性
- 責任感
- リーダーシップ
- コミュニケーション力
といった言葉が並ぶことがあります。
でも、
「積極性がある」とは、具体的にどういう状態でしょうか。
自分から仕事を探すことなのか。
新しい提案をすることなのか。
上司に言われる前に動くことなのか。
部署によっても、仕事によっても違います。
評価する側が、
「このくらいなら4点」
と思っていても、本人は、
「自分は十分積極的にやっている」
と思っているかもしれません。
ここで、評価基準に書いてある言葉だけを見て、
「基準は明確です」
とは言い切れません。
大切なのは、
その言葉が、実際の行動までイメージできる状態になっているか。
です。
たとえば、
「積極性」
ではなく、
「担当業務で課題を見つけた際に、自分から上司へ改善案を提案している」
というように、行動として見えるところまで具体化する。
評価制度では、
抽象的な言葉を、現場で分かる言葉に翻訳すること
がとても大切です。
② 評価者によって基準が変わっていないか
同じ会社の中でも、
A課長は厳しい。
B課長は甘い。
ということがあります。
A課長にとっての「3点」は、
「普通にできている」
かもしれません。
B課長にとっての「3点」は、
「少し足りない」
かもしれません。
すると、同じように仕事をしている社員でも、上司によって評価が変わります。
社員からすると、
「結局、誰が上司になるかで決まるじゃないですか」
となります。
これは評価制度への不信につながります。
もちろん、人が人を評価する以上、完全な一致はできません。
だからこそ、管理職同士で、
「この項目の3点は、どのくらいか」
「この社員の評価は、本当に妥当か」
と話す時間が必要です。
評価制度を作るだけではなく、
評価する人の基準を合わせる。
ここまでやって初めて、制度が少しずつ会社の共通言語になっていきます。
③ 評価するまでの間に、本人へ何も伝えていないのではないか
半年間。
あるいは一年間。
上司から特に何も言われていない。
本人としては、
「問題なく仕事をしている」
と思っていた。
ところが評価面談になったら、
「主体性が足りない」
「周囲への配慮が足りない」
「もっと報告してほしい」
と言われる。
本人からすると、
「それなら、もっと早く言ってください」
となります。
これは当然だと思います。
評価制度がうまくいかない会社では、評価面談が、
半年分、1年分のダメ出しをまとめてする時間
になっていることがあります。
でも、評価は本来、評価の日に初めて伝えるものではありません。
- 「ここは良かった」
- 「ここはもう少しこうしてほしい」
- 「今のやり方だと評価としてはここになる」
と、仕事をしている途中で伝える。
本人にも考えてもらう。
修正する機会をつくる。
その積み重ねの結果として、評価面談があります。
評価は、期末に突然つけるものではなく、日々のコミュニケーションの結果です。
④ 評価結果だけを伝えて、理由を説明していないのではないか
評価面談で、
「あなたはB評価です」
「今回は3点です」
「昇給は5,000円です」
と結果だけ伝える。
これでは、社員が知りたいことに答えていません。
社員が知りたいのは、
「なぜBなのか」
です。
- 何ができていたのか
- 何が足りなかったのか
- A評価になるには、何が必要なのか
- 会社は自分に何を期待しているのか
そこまで話して初めて、評価の意味が出てきます。
そして、ここで大切なのは、
納得=高い評価をもらうこと
ではないということです。
本人がA評価を希望していて、会社としてB評価だった。
結果として本人が嬉しくないことはあります。
でも、
「なぜBなのか」
「何ができればAなのか」
が分かれば、少なくとも次に進むことはできます。
だから私は、
納得とは、高い評価をもらうことではない。
なぜその評価なのかが分かり、次に何をすればいいかが見えること。
だと考えています。
⑤ 評価制度と給与制度を、同じものとして扱っていないか
評価制度を作ると、どうしても、
「評価=給料」
という話になりがちです。
A評価ならいくら上がる。
B評価ならいくら。
C評価なら据え置き。
もちろん、評価と給与を連動させることはあります。
でも、評価制度の目的を給与だけにしてしまうと、社員も、
「何点だったか」
「いくら上がったか」
しか見なくなります。
本来、評価には、
- 仕事を振り返る
- 成長を確認する
- 会社の期待を伝える
- 次の目標を決める
という役割もあります。
給与を決めることも重要。
でも、
評価制度は、給与を決めるためだけの仕組みではありません。
ここを会社として整理しておかないと、面談のたびに、
「で、いくら上がるんですか?」
だけの話になってしまいます。
「公平な制度」を作れば、社員は納得するのか
評価制度を作るとき、
「できるだけ公平にしたい」
という話が出ます。
もちろん、それは大切です。
好き嫌いで評価を決める。
社長の気分で給与が変わる。
そんな会社では困ります。
ただ、評価制度を細かくすれば、完全に公平になるかというと、そうでもありません。
人が人を評価する以上、多少の主観は残ります。
だから、
主観をなくすことより、主観だけで決まらない仕組みにする。
この方が現実的です。
- 評価基準を決める
- 行動例を具体化する
- 複数の人で確認する
- 評価者同士で話す
- 本人にも説明する
そうやって、「なんとなく」を減らしていく。
評価制度は、人間の判断を完全になくす仕組みではありません。
人が判断するときの土台をつくる仕組みです。
社員の自己評価と、会社の評価が違うのは当たり前
評価面談でよく起こるのが、
本人の自己評価は4。
上司の評価は3。
というズレです。
すると、
「なぜ私は3なんですか?」
という話になります。
でも、このズレ自体は悪いことではありません。
- 本人から見えている仕事
- 上司から見えている仕事
- 会社から求めている仕事
それぞれ違うからです。
むしろ、このズレがあるからこそ、話す意味があります。
「本人はなぜ4だと思ったのか」
「上司はなぜ3だと思ったのか」
を話す。
その中で、会社が期待していることが伝わる。
本人の考えも分かる。
評価制度の価値は、
点数を完全に一致させることではなく、ズレを話せること
にもあります。
「本人が納得するまで話す」は、正しいのか
ここも難しいところです。
社員が納得していないから、本人が納得するまで何時間でも説明する。
これは、必ずしも正しいとは思いません。
会社には会社の判断があります。
本人の希望と、会社の評価が違うこともあります。
何度話しても、本人が、
「自分はA評価だ」
と思うこともあるでしょう。
会社として、
- 基準に沿って評価した
- 理由も説明した
- 本人の意見も聞いた
そのうえで判断が違うのであれば、最後は、
意見が違ったままでも構わない。
と思います。
納得させることと、相手の希望どおりにすることは違います。
大切なのは、会社がきちんと説明できること。
本人の話もきちんと聞くこと。
そして、会社としての判断に責任を持つことです。
評価制度への不満は、本当に「制度」の問題なのか
社員から評価への不満が出ると、
「制度を直そう」
となりがちです。
でも、制度そのものではなく、運用の問題であることも少なくありません。
評価基準はある。
でも上司が普段から部下を見ていない。
面談もしない。
途中で何も伝えない。
最後に点数だけつける。
これなら、制度を何度作り直しても同じことが起こります。
Excelの項目を変えても、評価シートを新しくしても、人と人との関わり方が変わっていなければ、社員の納得感はあまり変わらないかもしれません。
だから、評価制度がうまくいかないときほど、
制度を見る前に、「どう運用されているか」を見る。
これが重要です。
評価制度は、管理職の力量も映し出す
評価制度を始めると、今まで見えなかった管理職の課題が見えることがあります。
- 部下を普段見ていない
- 良かったことを言葉にできない
- 改善してほしいことを伝えられない
- 評価理由を説明できない
- 本人の話を聞けない
つまり、評価制度を作ったことで、
管理職のマネジメント力がそのまま表に出てくる。
ことがあります。
これは第4回の「管理職が育たない」という問題ともつながります。
評価制度だけを変えるのではなく、管理職に、
- 部下を見る
- 伝える
- 聞く
- 育てる
という役割を教える必要がある。
評価制度は、管理職育成とも切り離せません。
評価面談を「判定の日」にしない
評価面談というと、どうしても、
「あなたは何点です」
と結果を発表する場になりがちです。
でも、それだけではもったいない。
- 「本人は半年をどう振り返っているか」
- 「何ができるようになったか」
- 「困っていることはないか」
- 「次に何をやりたいか」
- 「会社として何を期待しているか」
を話す。
評価面談を、
判定の日ではなく、次の半年を考える日
にする。
そうすると、評価制度の役割はかなり変わってきます。
社員にとっても、
「評価される嫌な日」
ではなく、自分の仕事や成長を振り返る時間になります。
評価制度は、一度作れば完成ではない
評価制度を作ると、
「これで完成した」
と思いたくなります。
でも、会社は変わります。
社員も変わります。
事業も変わります。
管理職も増えます。
求める仕事も変わります。
だから、評価制度も変わっていい。
- 分かりにくい項目があれば直す
- 評価者によって差が出るなら見直す
- 使われない項目はなくす
- 必要なものを足す
評価制度は、
一度作ったら守り続けるものではなく、使いながら育てていくもの。
だと思っています。
「社長を、楽にする。」評価制度にする
JAPANVISIONのMissionは、
「社長を、楽にする。」
です。
評価制度を作ったのに、社員から不満が出るたび社長が説明する。
管理職が決められず、全部社長に聞きに来る。
評価の時期になると、社長が全員分の調整をする。
これでは、制度を作ったことで社長の仕事が増えています。
本来は、
- 会社の基準を明確にする
- 管理職に共有する
- 管理職が部下を見て、日々伝える
- 社員も、自分に何を求められているか分かる
- 評価面談で次の目標を話す
そうやって、評価を社長一人の仕事から、会社全体の仕組みに変えていく。
そのための制度であってほしいと思います。
社長が楽になれば、会社はもっと良くなる。
評価制度も、社長と社員の双方を苦しくするものではなく、会社の考え方を伝え、人が育つために使うものです。
まとめ|社員の納得は、「高い評価」から生まれるのではない
評価制度を作ったのに、社員が納得しない。
そんなとき、制度そのものだけを見直す前に確認してみてください。
- 評価基準は具体的になっているか
- 評価する人の基準は揃っているか
- 評価の途中で本人へ伝えているか
- 結果だけでなく理由を説明しているか
- 評価と給与だけの話になっていないか
- 評価した後に、次に何を頑張るのかまで話せているか
評価制度があれば、社員が自動的に納得するわけではありません。
でも、
- 評価の基準が分かる
- 理由が分かる
- 会社の期待が分かる
- 次に何をすればいいか分かる
そこまでできれば、評価制度は単なる点数表ではなくなります。
納得とは、高い評価をもらうことではない。
なぜその評価なのかが分かり、次に何をすればいいかが見えること。
その状態をつくることが、評価制度を運用するうえで、一番大切なのではないでしょうか。
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「評価制度を作ったのに社員が納得しない」「制度はあるけれど、うまく運用できていない」という段階からでも、一緒に整理することができます。
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