社長の100の悩み

評価制度を作ったのに、社員が納得しないのはなぜ? 社長の100の悩み|第8回

「評価制度を作ったのに、不満が減らない」

「ちゃんと基準を作ったのに、社員から納得できないと言われる」

「評価面談をすると、毎回話が長くなる」

——せっかく時間をかけて評価制度を作ったのに、社員から、

「この評価はおかしい」

「なぜ自分がB評価なんですか?」

「上司によって評価が違いませんか?」

と言われる。

社長からすると、

「だから評価制度を作ったのに」

と思うかもしれません。

評価制度を作れば、社員が納得する。

基準を明確にすれば、不満が減る。

そう期待するのは自然です。

でも実際には、

制度があることと、社員が納得することは、別の話です。

評価制度を作っても、運用の仕方によっては、以前より不満が増えることさえあります。

では、なぜ評価制度を作ったのに、社員は納得しないのでしょうか。

評価制度があるだけでは、納得は生まれない

評価制度を作ると、会社には評価シートができます。

項目ができます。

点数があります。

  • A評価
  • B評価
  • C評価
  • 昇給額
  • 賞与額

数字や基準が見えるようになります。

すると、一見すると以前より公平になったように感じます。

でも、社員から見ると、

「なぜ自分が3点なのか」

「なぜあの人が4点なのか」

が分からなければ、制度があっても納得はできません。

むしろ、今まで曖昧だった不満が、点数として見えるようになっただけかもしれません。

大切なのは、

評価制度を作ることではなく、評価の理由を伝えられること。

だと思っています。

社員が評価に納得しないときに、社長が見直したい5つのこと

評価制度を作ったのに社員から不満が出る。

そんなとき、

「社員がわがままなのではないか」

と考える前に、次の5つを確認してみてください。

社員が評価に納得しないときに見直したい5つのこと

  1. 評価基準の言葉が曖昧になっていないか
  2. 評価者によって基準が変わっていないか
  3. 評価するまでの間に、本人へ何も伝えていないのではないか
  4. 評価結果だけを伝えて、理由を説明していないのではないか
  5. 評価制度と給与制度を、同じものとして扱っていないか

① 評価基準の言葉が曖昧になっていないか

評価制度には、

  • 積極性
  • 協調性
  • 責任感
  • リーダーシップ
  • コミュニケーション力

といった言葉が並ぶことがあります。

でも、

「積極性がある」とは、具体的にどういう状態でしょうか。

自分から仕事を探すことなのか。

新しい提案をすることなのか。

上司に言われる前に動くことなのか。

部署によっても、仕事によっても違います。

評価する側が、

「このくらいなら4点」

と思っていても、本人は、

「自分は十分積極的にやっている」

と思っているかもしれません。

ここで、評価基準に書いてある言葉だけを見て、

「基準は明確です」

とは言い切れません。

大切なのは、

その言葉が、実際の行動までイメージできる状態になっているか。

です。

たとえば、

「積極性」

ではなく、

「担当業務で課題を見つけた際に、自分から上司へ改善案を提案している」

というように、行動として見えるところまで具体化する。

評価制度では、

抽象的な言葉を、現場で分かる言葉に翻訳すること

がとても大切です。

② 評価者によって基準が変わっていないか

同じ会社の中でも、

A課長は厳しい。

B課長は甘い。

ということがあります。

A課長にとっての「3点」は、

「普通にできている」

かもしれません。

B課長にとっての「3点」は、

「少し足りない」

かもしれません。

すると、同じように仕事をしている社員でも、上司によって評価が変わります。

社員からすると、

「結局、誰が上司になるかで決まるじゃないですか」

となります。

これは評価制度への不信につながります。

もちろん、人が人を評価する以上、完全な一致はできません。

だからこそ、管理職同士で、

「この項目の3点は、どのくらいか」

「この社員の評価は、本当に妥当か」

と話す時間が必要です。

評価制度を作るだけではなく、

評価する人の基準を合わせる。

ここまでやって初めて、制度が少しずつ会社の共通言語になっていきます。

③ 評価するまでの間に、本人へ何も伝えていないのではないか

半年間。

あるいは一年間。

上司から特に何も言われていない。

本人としては、

「問題なく仕事をしている」

と思っていた。

ところが評価面談になったら、

「主体性が足りない」

「周囲への配慮が足りない」

「もっと報告してほしい」

と言われる。

本人からすると、

「それなら、もっと早く言ってください」

となります。

これは当然だと思います。

評価制度がうまくいかない会社では、評価面談が、

半年分、1年分のダメ出しをまとめてする時間

になっていることがあります。

でも、評価は本来、評価の日に初めて伝えるものではありません。

  • 「ここは良かった」
  • 「ここはもう少しこうしてほしい」
  • 「今のやり方だと評価としてはここになる」

と、仕事をしている途中で伝える。

本人にも考えてもらう。

修正する機会をつくる。

その積み重ねの結果として、評価面談があります。

評価は、期末に突然つけるものではなく、日々のコミュニケーションの結果です。

④ 評価結果だけを伝えて、理由を説明していないのではないか

評価面談で、

「あなたはB評価です」

「今回は3点です」

「昇給は5,000円です」

と結果だけ伝える。

これでは、社員が知りたいことに答えていません。

社員が知りたいのは、

「なぜBなのか」

です。

  • 何ができていたのか
  • 何が足りなかったのか
  • A評価になるには、何が必要なのか
  • 会社は自分に何を期待しているのか

そこまで話して初めて、評価の意味が出てきます。

そして、ここで大切なのは、

納得=高い評価をもらうこと

ではないということです。

本人がA評価を希望していて、会社としてB評価だった。

結果として本人が嬉しくないことはあります。

でも、

「なぜBなのか」

「何ができればAなのか」

が分かれば、少なくとも次に進むことはできます。

だから私は、

納得とは、高い評価をもらうことではない。

なぜその評価なのかが分かり、次に何をすればいいかが見えること。

だと考えています。

⑤ 評価制度と給与制度を、同じものとして扱っていないか

評価制度を作ると、どうしても、

「評価=給料」

という話になりがちです。

A評価ならいくら上がる。

B評価ならいくら。

C評価なら据え置き。

もちろん、評価と給与を連動させることはあります。

でも、評価制度の目的を給与だけにしてしまうと、社員も、

「何点だったか」

「いくら上がったか」

しか見なくなります。

本来、評価には、

  • 仕事を振り返る
  • 成長を確認する
  • 会社の期待を伝える
  • 次の目標を決める

という役割もあります。

給与を決めることも重要。

でも、

評価制度は、給与を決めるためだけの仕組みではありません。

ここを会社として整理しておかないと、面談のたびに、

「で、いくら上がるんですか?」

だけの話になってしまいます。

「公平な制度」を作れば、社員は納得するのか

評価制度を作るとき、

「できるだけ公平にしたい」

という話が出ます。

もちろん、それは大切です。

好き嫌いで評価を決める。

社長の気分で給与が変わる。

そんな会社では困ります。

ただ、評価制度を細かくすれば、完全に公平になるかというと、そうでもありません。

人が人を評価する以上、多少の主観は残ります。

だから、

主観をなくすことより、主観だけで決まらない仕組みにする。

この方が現実的です。

  • 評価基準を決める
  • 行動例を具体化する
  • 複数の人で確認する
  • 評価者同士で話す
  • 本人にも説明する

そうやって、「なんとなく」を減らしていく。

評価制度は、人間の判断を完全になくす仕組みではありません。

人が判断するときの土台をつくる仕組みです。

社員の自己評価と、会社の評価が違うのは当たり前

評価面談でよく起こるのが、

本人の自己評価は4。

上司の評価は3。

というズレです。

すると、

「なぜ私は3なんですか?」

という話になります。

でも、このズレ自体は悪いことではありません。

  • 本人から見えている仕事
  • 上司から見えている仕事
  • 会社から求めている仕事

それぞれ違うからです。

むしろ、このズレがあるからこそ、話す意味があります。

「本人はなぜ4だと思ったのか」

「上司はなぜ3だと思ったのか」

を話す。

その中で、会社が期待していることが伝わる。

本人の考えも分かる。

評価制度の価値は、

点数を完全に一致させることではなく、ズレを話せること

にもあります。

「本人が納得するまで話す」は、正しいのか

ここも難しいところです。

社員が納得していないから、本人が納得するまで何時間でも説明する。

これは、必ずしも正しいとは思いません。

会社には会社の判断があります。

本人の希望と、会社の評価が違うこともあります。

何度話しても、本人が、

「自分はA評価だ」

と思うこともあるでしょう。

会社として、

  • 基準に沿って評価した
  • 理由も説明した
  • 本人の意見も聞いた

そのうえで判断が違うのであれば、最後は、

意見が違ったままでも構わない。

と思います。

納得させることと、相手の希望どおりにすることは違います。

大切なのは、会社がきちんと説明できること。

本人の話もきちんと聞くこと。

そして、会社としての判断に責任を持つことです。

評価制度への不満は、本当に「制度」の問題なのか

社員から評価への不満が出ると、

「制度を直そう」

となりがちです。

でも、制度そのものではなく、運用の問題であることも少なくありません。

評価基準はある。

でも上司が普段から部下を見ていない。

面談もしない。

途中で何も伝えない。

最後に点数だけつける。

これなら、制度を何度作り直しても同じことが起こります。

Excelの項目を変えても、評価シートを新しくしても、人と人との関わり方が変わっていなければ、社員の納得感はあまり変わらないかもしれません。

だから、評価制度がうまくいかないときほど、

制度を見る前に、「どう運用されているか」を見る。

これが重要です。

評価制度は、管理職の力量も映し出す

評価制度を始めると、今まで見えなかった管理職の課題が見えることがあります。

  • 部下を普段見ていない
  • 良かったことを言葉にできない
  • 改善してほしいことを伝えられない
  • 評価理由を説明できない
  • 本人の話を聞けない

つまり、評価制度を作ったことで、

管理職のマネジメント力がそのまま表に出てくる。

ことがあります。

これは第4回の「管理職が育たない」という問題ともつながります。

評価制度だけを変えるのではなく、管理職に、

  • 部下を見る
  • 伝える
  • 聞く
  • 育てる

という役割を教える必要がある。

評価制度は、管理職育成とも切り離せません。

評価面談を「判定の日」にしない

評価面談というと、どうしても、

「あなたは何点です」

と結果を発表する場になりがちです。

でも、それだけではもったいない。

  • 「本人は半年をどう振り返っているか」
  • 「何ができるようになったか」
  • 「困っていることはないか」
  • 「次に何をやりたいか」
  • 「会社として何を期待しているか」

を話す。

評価面談を、

判定の日ではなく、次の半年を考える日

にする。

そうすると、評価制度の役割はかなり変わってきます。

社員にとっても、

「評価される嫌な日」

ではなく、自分の仕事や成長を振り返る時間になります。

評価制度は、一度作れば完成ではない

評価制度を作ると、

「これで完成した」

と思いたくなります。

でも、会社は変わります。

社員も変わります。

事業も変わります。

管理職も増えます。

求める仕事も変わります。

だから、評価制度も変わっていい。

  • 分かりにくい項目があれば直す
  • 評価者によって差が出るなら見直す
  • 使われない項目はなくす
  • 必要なものを足す

評価制度は、

一度作ったら守り続けるものではなく、使いながら育てていくもの。

だと思っています。

「社長を、楽にする。」評価制度にする

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

評価制度を作ったのに、社員から不満が出るたび社長が説明する。

管理職が決められず、全部社長に聞きに来る。

評価の時期になると、社長が全員分の調整をする。

これでは、制度を作ったことで社長の仕事が増えています。

本来は、

  • 会社の基準を明確にする
  • 管理職に共有する
  • 管理職が部下を見て、日々伝える
  • 社員も、自分に何を求められているか分かる
  • 評価面談で次の目標を話す

そうやって、評価を社長一人の仕事から、会社全体の仕組みに変えていく。

そのための制度であってほしいと思います。

社長が楽になれば、会社はもっと良くなる。

評価制度も、社長と社員の双方を苦しくするものではなく、会社の考え方を伝え、人が育つために使うものです。

まとめ|社員の納得は、「高い評価」から生まれるのではない

評価制度を作ったのに、社員が納得しない。

そんなとき、制度そのものだけを見直す前に確認してみてください。

  • 評価基準は具体的になっているか
  • 評価する人の基準は揃っているか
  • 評価の途中で本人へ伝えているか
  • 結果だけでなく理由を説明しているか
  • 評価と給与だけの話になっていないか
  • 評価した後に、次に何を頑張るのかまで話せているか

評価制度があれば、社員が自動的に納得するわけではありません。

でも、

  • 評価の基準が分かる
  • 理由が分かる
  • 会社の期待が分かる
  • 次に何をすればいいか分かる

そこまでできれば、評価制度は単なる点数表ではなくなります。

納得とは、高い評価をもらうことではない。

なぜその評価なのかが分かり、次に何をすればいいかが見えること。

その状態をつくることが、評価制度を運用するうえで、一番大切なのではないでしょうか。


評価制度の運用でお悩みですか?

JAPANVISIONでは、中小企業の社長のための評価制度・管理職育成・組織づくりのご相談を承っています。
「評価制度を作ったのに社員が納得しない」「制度はあるけれど、うまく運用できていない」という段階からでも、一緒に整理することができます。

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