社長の100の悩み

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中小企業に評価制度は、本当に必要ですか? 社長の100の悩み|第7回

「そろそろ評価制度を作った方がいいですか?」

「社員から、何を基準に評価しているのか分からないと言われた」

「頑張っている社員を、ちゃんと評価したい」

——会社が少しずつ大きくなってくると、こんな悩みが出てきます。

一方で、評価制度を作った会社から、

「作ったけれど、結局ほとんど使っていない」

「評価シートを書くことが目的になってしまった」

「むしろ社員から不満が出るようになった」

という話を聞くこともあります。

では、

中小企業に評価制度は、本当に必要なのでしょうか。

私の答えは、

すべての会社に必要なわけではない。

です。

5人の会社にも必要とは限りません。

50人だから必ず必要、というわけでもありません。

大切なのは社員数ではなく、

社長の頭の中にある「うちの会社で大切にしていること」が、社員に伝わっているかどうか。

だと思っています。

評価制度がなくても、うまくいく会社はある

社員がまだ少ない会社では、社長が社員一人ひとりをよく見ています。

  • 誰が頑張っているか
  • 誰が成長したか
  • 誰がお客様から信頼されているか
  • 誰が周囲を助けているか

社長自身が把握できる。

そして、

「最近よく頑張っているな」

「次はこの仕事を任せたい」

「ここを直せばもっと良くなる」

と直接話せる。

給与を上げる理由も、本人に説明できる。

こうした会社なら、立派な評価シートがなくても、十分に機能することがあります。

むしろ、社員が数人しかいない会社で、何十項目もの評価表を作る。

点数をつける。

面談シートを作る。

複雑な計算式で賞与を決める。

そこまでやる必要があるのか。

私は疑問です。

制度を作ることが、目的になってはいけません。

評価制度は、会社を良くするための手段だからです。

では、いつ評価制度が必要になるのか

会社が大きくなってくると、少しずつ状況が変わります。

  • 社長が全員を見られなくなる
  • 管理職が社員を評価するようになる
  • 部署によって仕事が違ってくる
  • 昇給を決めるたびに、社長が悩む

社員から、

「なぜあの人が自分より評価されるんですか?」

という声が出てくる。

そして、

社長の頭の中にしかなかった基準では、会社が回らなくなってくる。

このあたりから、評価制度を考える意味が出てきます。

つまり、

評価制度が必要になるのは、社員に点数をつけたくなったときではありません。

社長の頭の中だけでは、会社の基準が伝わらなくなったときです。

評価制度を作る前に、社長が確認したい5つのこと

「そろそろ評価制度を作ろうか」

と思ったら、いきなり評価シートを作る前に、次の5つを確認してみてください。

評価制度を作る前に確認したい5つのこと

  1. 「どんな社員を評価したいか」を言葉にできるか
  2. 上司によって、評価の基準が変わっていないか
  3. 昇給や賞与の理由を、社員に説明できるか
  4. 社員から見て「次に何を頑張ればいいか」が分かるか
  5. 評価した後に、きちんと話す時間をつくれるか

① 「どんな社員を評価したいか」を言葉にできるか

評価制度を作ろうとすると、最初に、

「評価項目を何にするか」

を考えたくなります。

  • 責任感
  • 積極性
  • 協調性
  • コミュニケーション力
  • 目標達成力

よく見る言葉です。

もちろん、悪いわけではありません。

でも、ここで一度考えてほしいことがあります。

それは、本当に「自社が評価したい人」でしょうか。

会社によって、大切にすることは違います。

  • お客様との約束を何より大切にする会社
  • 安全を最優先する会社
  • 新しいことへ挑戦する人を評価したい会社
  • 周囲を助ける人を評価したい会社
  • 技術力を高めることを重視する会社
  • 数字を出すことを強く求める会社

どれが正しい、ではありません。

大切なのは、

「うちの会社では、何を大切にするのか」

が決まっていることです。

評価制度は、それを社員へ伝える一つの方法です。

② 上司によって、評価の基準が変わっていないか

社員が増えると、社長一人では全員を評価できなくなります。

そこで、課長、部長、施設長、店長、現場責任者といった管理職が評価するようになります。

ここで起こりやすいのが、

上司によって評価が違う

という問題です。

A課長は、

「結果を出した人」を高く評価する。

B課長は、

「一生懸命取り組んだ人」を評価する。

C課長は、

「自分の指示に素直な人」を評価する。

すると社員から見れば、どの上司の下にいるかによって評価が変わることになります。

もちろん、人が人を評価する以上、完全に同じにはなりません。

評価制度を作っても、主観をゼロにはできません。

でも、会社として、

「少なくとも、ここは共通して見る」

という基準を作ることはできます。

評価制度は、人の主観をなくすためのものではありません。

バラバラになりすぎないための共通言語をつくるものです。

③ 昇給や賞与の理由を、社員に説明できるか

社長の頭の中では、

「この人は今年かなり頑張った」

「この社員はまだもう少しだ」

という判断がある。

だから、給与や賞与に差をつける。

社長には理由があります。

でも、その理由が社員には見えないことがあります。

すると、

「なぜ自分はこの金額なんですか?」

「なぜあの人の方が上なんですか?」

という疑問が生まれます。

ここで、

「総合的に判断した」

だけでは、社員はなかなか納得できません。

評価制度があれば必ず納得する、という話でもありません。

でも、

  • 何を見ているのか
  • どこが評価されたのか
  • 何がまだ足りないのか

それを説明するための基準は作れます。

納得とは、自分が高く評価されることではありません。

自分の評価が低かったとしても、

「なぜそうなったのか」が分かる。

そして、

「では次に何をすればいいか」が分かる。

そこまで説明できることの方が大切です。

④ 社員から見て「次に何を頑張ればいいか」が分かるか

私は、評価制度の大きな役割の一つは、

過去に点数をつけることではなく、次に何を頑張るかを見えるようにすること

だと思っています。

評価という言葉から、どうしても、

「今年は何点だったか」

に意識が向きます。

でも、

70点だった。

80点だった。

B評価だった。

それだけでは、人は育ちません。

大切なのは、

  • 「ここはできるようになった」
  • 「次はここまで任せたい」
  • 「ここを伸ばせば、次の役割に進める」

という話につながること。

社員は、

「この会社にいたら、自分はこれからどうなるのか」

を見ています。

評価制度が、社員を査定するためだけの仕組みではなく、

成長の道しるべ

になれば、育成や定着にもつながってきます。

⑤ 評価した後に、きちんと話す時間をつくれるか

ここは、評価制度を作る前にかなり重要です。

立派な評価シートを作る。

上司が点数をつける。

人事が集計する。

給与を決める。

そして、本人には結果だけ伝える。

これでは、評価制度の価値はかなり小さくなります。

社員からすると、

「誰かがどこかで自分に点数をつけた」

だけです。

評価で本当に大切なのは、その後の会話です。

  • 「ここは良かった」
  • 「ここは期待している」
  • 「本人はどう思っている?」
  • 「次は何を目指そうか」

と話す。

評価制度は、社員との会話を減らすための仕組みではありません。

大切なことを話すためのきっかけをつくる仕組みです。

ですから、評価シートを書く時間はあるけれど、社員と話す時間はない。

という状態なら、制度を作る前に考え直した方がいいかもしれません。

評価制度を作れば、社員の不満はなくなるのか

残念ながら、なくなりません。

むしろ、評価制度を作ったことで不満が増えることもあります。

「この項目はどういう意味ですか?」

「AとBの違いは何ですか?」

「私はできていると思います」

「上司によって点数が違います」

制度ができると、今まで曖昧だったことが見えるようになります。

だから、不満が出ることがあります。

でも、それ自体が悪いとは限りません。

今まで言葉になっていなかったズレが、表に出てきたとも考えられます。

問題なのは、

制度を作れば社員が自動的に納得する

と思ってしまうことです。

評価制度は、社員を黙らせるための仕組みではありません。

社長、管理職、社員、それぞれが、

「会社は何を大切にしているのか」

を話すための共通言語です。

細かい評価制度ほど、良い制度なのか

これも、中小企業では注意したいところです。

  • 評価項目が50個ある
  • 5段階評価になっている
  • 職種別に細かく分かれている
  • 給与テーブルも複雑

一見すると、とても公平で、立派な制度に見えます。

でも、

  • 管理職が理解できない
  • 社員も理解できない
  • 評価するのに毎回何時間もかかる
  • 結局、形だけになる

それなら意味がありません。

私は、中小企業の評価制度は、

「できるだけ精密にする」より、「実際に使えるところまでシンプルにする」

方が大切だと思っています。

人を完全に数値化することはできません。

同じ「5点」でも、人によって意味が違うことがあります。

だから、制度ですべてを解決しようとしない。

制度で決める部分。

人が話して考える部分。

両方を残しておく。

そのくらいの方が、中小企業には合うことがあります。

評価制度は「公平」にするためのものなのか

評価制度を作る目的として、

「公平な評価をしたい」

という言葉もよく聞きます。

もちろん、恣意的な評価は避けるべきです。

好き嫌いだけで評価が決まる会社は、良くありません。

ただ、

全員が完全に同じ条件で評価されることが、本当の公平なのか

は考える必要があります。

  • 営業職
  • 技術職
  • 事務職
  • 管理職
  • 新人
  • ベテラン

求められていることは違います。

仕事も違います。

役割も違います。

だから、全員をまったく同じ物差しで測ることが公平とは限りません。

大切なのは、

「何を求められているかが本人に分かり、その基準に沿って評価されること」

だと思います。

評価制度は、社員をコントロールする道具ではない

評価制度を作ると、

「評価項目に入れれば、社員がその行動をするようになる」

と考えたくなることがあります。

  • 挨拶を評価する
  • 報告を評価する
  • 整理整頓を評価する
  • 数字を評価する

もちろん、評価項目に入れることで、会社が何を大切にしているのかは伝わります。

ただ、評価で人を完全に動かそうとすると、今度は、

「評価されるからやる」

になってしまうことがあります。

本当に目指したいのは、社員が会社の考え方を理解し、なぜそれが必要なのかを考え、自分で行動できる状態です。

評価制度は、そのための補助線。

主役ではありません。

制度より先に、社長が決めなければならないこと

評価制度を作るとき、最初にExcelを開く必要はありません。

評価シートを探す必要もありません。

他社の制度を真似する必要もありません。

最初に考えたいのは、

「うちの会社では、どんな人に活躍してほしいのか」

です。

  • どんな仕事をしてほしいのか
  • どんな考え方を大切にしてほしいのか
  • 何ができるようになったら成長なのか
  • 管理職には何を求めるのか
  • 会社として何を絶対に大切にするのか

これが決まらないまま評価項目を作ると、どこかで見た、

「積極性」

「協調性」

「責任感」

が並ぶだけの制度になってしまいます。

評価制度づくりは、評価表を作る仕事というより、会社が大切にしているものを言葉にする仕事。

私は、そう考えています。

評価制度を作らない、という選択もある

ここまで読むと、

「やっぱり評価制度を作った方がいいのかな」

と思うかもしれません。

でも、今の会社で、

  • 社長が社員一人ひとりを見られている
  • 社員と定期的に話せている
  • 給与を決める理由も説明できる
  • 求める役割も伝わっている
  • 社員も、自分が次に何を目指すか分かっている

それなら、今すぐ大きな評価制度を作らなくてもいいかもしれません。

必要になってから作ればいい。

あるいは、

  • 簡単な役割表
  • 面談
  • 目標設定
  • 給与基準

その一部だけ整える方法もあります。

制度を作ることより、今の会社に何が足りないかを見る。

これを先にした方がいいと思います。

「社長を、楽にする。」ための評価制度

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

評価の時期になるたび、

「この社員はいくら昇給させよう」

「この人とあの人はどちらを高く評価すべきか」

「何を言えば本人が納得するだろう」

と、すべて社長一人で悩む。

社員から、

「社長は何を見て評価しているんですか?」

と聞かれる。

管理職も、

「どう評価すればいいか分からない」

と言う。

この状態では、評価のたびに社長の仕事が増えていきます。

そこで、

  • 会社が大切にすることを決める
  • 役割を整理する
  • 管理職と評価基準を共有する
  • 社員にも期待を伝える
  • 評価の後に、本人と話す

少しずつ、

評価を「社長の頭の中だけにあるもの」から、「会社の共通言語」に変えていく。

そうなれば、社長一人が全社員を評価し続けなくても、会社が回るようになります。

そして社員も、何を頑張ればいいのかが分かる。

管理職も、何を見て部下を育てればいいのかが分かる。

社長が楽になれば、会社はもっと良くなる。

評価制度も、そのために使うものだと思っています。

まとめ|評価制度は、人に点数をつけるためのものではない

中小企業に評価制度が必要か。

答えは、

会社によります。

社員が少なく、社長の考えが直接伝わっている会社なら、まだ必要ないかもしれません。

でも、

  • 社長が全員を見られなくなった
  • 上司によって評価が違う
  • 給与を決める理由を説明しにくい
  • 社員が何を頑張ればいいか分からない

そんな状態になってきたら、評価制度を考えるタイミングかもしれません。

そのときに大切なのは、いきなり立派な仕組みを作ることではありません。

まず、

「この会社では、何を大切にするのか」

を言葉にする。

そして、社員に伝える。

管理職と共有する。

話す。

運用する。

必要なら直す。

評価制度は、一度作ったら終わりではありません。

会社と一緒に変わっていくものです。

そして何より、

評価制度が必要になるのは、社員に点数をつけたくなったときではない。

社長の頭の中だけでは、会社の基準が伝わらなくなったときです。

そこから、評価制度を考えてみてはいかがでしょうか。


評価制度・組織づくりでお悩みですか?

JAPANVISIONでは、中小企業の社長のための評価制度・人材育成・組織づくりのご相談を承っています。
「そもそも評価制度が必要なのか分からない」「作った制度がうまく機能していない」という段階からでも、一緒に整理することができます。

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