社長の100の悩み

社員が次々辞める会社には、何が起きている? 社長の100の悩み|第5回

「また一人、辞めることになった」

「せっかく採用したのに、なかなか定着しない」

「最近の若い人は、すぐ辞めるようになった気がする」

——中小企業の社長から、こうした話を聞くことがあります。

人を採用するだけでも大変なのに、ようやく入った社員が辞めてしまう。

また求人を出す。
また面接をする。
また一から教える。

これが続けば、社長も現場も疲れていきます。

そして、つい、

「結局、本人の問題なのではないか」

と思いたくなることもあるでしょう。

もちろん、会社がどれだけ努力しても辞める人はいます。

ただ、社員が一人辞めることと、社員が次々辞めることは、分けて考えた方がいい。

私はそう考えています。

同じような離職が繰り返されているのであれば、個人だけではなく、会社の中に共通する原因がないかを見る必要があります。

今回は、「社員が次々辞める」と感じたときに、社長に一度確認してほしいことを整理します。

社員が辞めること自体は、必ずしも悪いことではない

最初に、ここははっきりさせておきたいと思います。

社員が辞めること自体が、すべて悪いわけではありません。

人には、それぞれの人生があります。

  • やりたい仕事が見つかる
  • 家族の事情が変わる
  • 別の地域で暮らしたくなる
  • もっと違う環境に挑戦したくなる
  • 会社と本人の価値観が合わない

そんなこともあります。

どんなに良い会社をつくっても、退職者をゼロにすることは難しいでしょう。

だから私たちが目指したいのは、

「誰も辞めない会社」ではありません。

大切なのは、

「辞めなくてもよかった人まで辞める会社」になっていないか。

ここだと思っています。

社員が次々辞めるときに、社長が見直したい5つのこと

社員の退職が続くと、

「給与が安いから」
「最近の若い人だから」
「本人に根性がなかったから」

と、一つの理由に答えを求めたくなります。

でも、人が辞める理由はそんなに単純ではありません。

まずは、次の5つを確認してみてください。

社員が次々辞めるときに見直したい5つのこと

  1. 採用時に、良いことだけを伝えていないか
  2. 入社後に「思っていた会社と違う」が起きていないか
  3. 特定の上司や部署に退職が集中していないか
  4. 頑張った先が見えない状態になっていないか
  5. 退職者の声を「本人の問題」で終わらせていないか

① 採用時に、良いことだけを伝えていないか

応募してほしい。

せっかく面接に来てくれたのだから、入社してほしい。

そう思えば、会社の良いところを伝えたくなるのは当然です。

もちろん、魅力を伝えることは大切です。

でも、良い面だけを伝えすぎると、入社後にギャップが生まれます。

  • 忙しい時期がある
  • 最初は地味な仕事も多い
  • 覚えることが多い
  • 仕事によっては大変な場面もある
  • 会社として、まだ整っていないところもある

こうしたことも、必要な範囲では最初から伝えておいた方がいい。

採用は、入社してもらうことがゴールではありません。

入社後に、

「聞いていた話と違う」

となる採用より、現実も理解したうえで、

「それでもこの会社で働きたい」

と思って入ってもらう方が、会社にも本人にもいい。

採用の目的は、応募者をたくさん集めることではありません。

その会社で活躍してくれる人と出会うことです。

② 入社後に「思っていた会社と違う」が起きていないか

離職は、ある日突然決まるように見えることがあります。

でも実際には、小さな違和感が少しずつ積み重なっていることがあります。

  • 「誰に聞けばいいのか分からない」
  • 「入社したけれど、ほとんど説明がない」
  • 「教える人によって言っていることが違う」
  • 「仕事を覚えても何も言われない」
  • 「何を期待されているのか分からない」

会社側からすると、

「そんなことで?」

と思うこともあるかもしれません。

でも、新しく入った社員には、まだ会社の「普通」が分かりません。

だから特に入社直後は、

  • 誰が教えるのか
  • 最初の1か月で何を覚えるのか
  • 困ったときは誰に相談するのか
  • どこまでできれば順調なのか

こうしたことを見えるようにしておく。

社員が育つかどうかだけでなく、定着するかどうかも、入社後の最初の経験に大きく影響されます。

③ 特定の上司や部署に退職が集中していないか

社員が何人も辞めているとき、一度確認してほしいことがあります。

同じ部署、同じ上司のもとで退職が続いていないでしょうか。

もちろん、退職の理由をすべて上司の責任にするべきではありません。

でも、会社全体ではなく特定の場所だけ離職が多いのであれば、そこには共通する原因があるかもしれません。

  • 指示が曖昧
  • 感情によって対応が変わる
  • 失敗したときだけ声をかける
  • 部下の話を聞かない
  • 仕事のできる人に仕事が集中する

こうしたことが積み重なると、会社全体としては良い会社でも、その部署では人が定着しないことがあります。

人が働き続けられる環境をつくることも、管理職の仕事です。

管理職の問題は、育成だけでなく定着にもつながっています。

④ 頑張った先が見えない状態になっていないか

社員が働き続ける理由は、給与だけではありません。

もちろん、給与は大切です。

でも同時に、

  • 「自分は成長しているのか」
  • 「頑張ったら何が変わるのか」
  • 「この会社でどんな仕事ができるようになるのか」
  • 「会社は自分を見てくれているのか」

という感覚も大切です。

何年働いても仕事が変わらない。

頑張っても評価が変わらない。

成長している実感がない。

そうなると、

「このままここにいていいのだろうか」

と考えるのは、不思議ではありません。

大がかりなキャリア制度をつくらなくても構いません。

  • 「今、ここまでできるようになった」
  • 「次はこれを任せたい」
  • 「ここを期待している」

そう伝えるだけでも、社員から見える未来は変わります。

人は、「今」だけではなく、「この先」も見ながら働いています。

⑤ 退職者の声を「本人の問題」で終わらせていないか

退職する社員から、

「一身上の都合です」

と言われることがあります。

それ以上言いたくない人もいるでしょう。

会社への不満を、社長には直接言いにくい人もいます。

ですから、退職理由を100%正確に知るのは難しいと思います。

ただ、

  • いつ辞めたのか
  • どの部署だったのか
  • 誰が上司だったのか
  • 入社から何か月だったのか
  • 同じような辞め方が続いていないか

こうしたことを並べてみると、共通点が見えてくることがあります。

一人なら、その人固有の事情かもしれません。

でも、似たような退職が何度も続いているなら、「人が悪かった」で終わらせない方がいい。

会社側に変えられることはないだろうか。

そう考える価値があります。

「辞める理由」は、一つではない

社員が辞めたとき、分かりやすい理由を探したくなります。

  • 給料が安かった
  • 上司と合わなかった
  • 仕事内容が嫌だった
  • 本人の忍耐力がなかった

でも、人の気持ちはそこまで単純ではありません。

たとえば、仕事自体は嫌いではない。

でも、上司との関係が少しつらい。

給与にも少し不満がある。

将来も少し不安。

そこに、友人から転職の話を聞いた。

そして辞める。

そんなこともあります。

一つだけなら我慢できたことでも、いくつか重なると退職につながる。

だから、「退職理由はこれだ」と簡単に決めつけない。

これは大切だと思っています。

人にも、組織にも、絶対の正解はありません。

原理原則や傾向はあります。

でも、一人ひとり違う。

だからこそ、その会社で何が起きているのかを一つずつ見る必要があります。

給料を上げれば、社員は辞めなくなるのか

これは、社長からよく出る疑問です。

もちろん、給与は重要です。

地域や仕事内容の相場と大きく離れているのであれば、見直す必要もあります。

でも、給与だけですべての離職が解決するわけではありません。

仮に給与が上がっても、

  • 毎日上司に怒鳴られる
  • 何を頑張ればいいか分からない
  • 相談しても誰も聞いてくれない
  • 仕事が一部の人に集中している
  • 将来がまったく見えない

そんな状態なら、辞める人はいるでしょう。

逆に、働く環境が良くても、条件が市場から大きく離れていれば採用も定着も難しくなります。

だから、「条件」か「人間関係」か、ではありません。

条件も。

仕事も。

上司も。

評価も。

成長も。

いくつもの要素を合わせて見る。

採用と同じように、定着にも一つだけの答えはありません。

「辞めない会社」より、「辞める必要のない会社」を目指す

私は、社員を無理に引き止める会社をつくりたいとは思いません。

本人が別の未来を選びたいのであれば、それも一つの選択です。

ただ、

「本当はこの仕事が好きだった」

のに、

「この上司の下では続けられない」
「この会社にいても先が見えない」
「誰も自分を見てくれない」

という理由で辞めてしまうのであれば、会社側にも変えられることがあったかもしれません。

目指したいのは、

「辞めさせない会社」ではなく、「辞める必要のない会社」。

仕事を楽しめる。

成長を感じられる。

困ったときに話せる。

頑張りを見てもらえる。

そして、

「ここで働いていていい」

と本人が思える。

そんな状態を増やしていくことが、結果として定着につながるのだと思います。

社員が辞めるたびに、社長の仕事が増えている

社員が一人辞めると、会社ではたくさんの仕事が発生します。

  • 求人を出す
  • 応募者へ連絡する
  • 面接する
  • 退職者から引き継ぐ
  • 残った社員へ仕事を振り分ける
  • 新しい社員を一から教える

中小企業では、その多くに社長が関わっていることも珍しくありません。

一人辞めるたびに、社長の時間がまた「人の問題」に戻っていく。

これは、単なる人事の問題ではありません。

経営の問題です。

「社長を、楽にする。」ために、人が定着する会社をつくる

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

せっかく採用した社員が辞める。

また採用する。

また教える。

また辞める。

この繰り返しは、社長にも、現場の社員にも大きな負担になります。

だから、

  • 採用時の伝え方を見直す
  • 入社後の受け入れ方を整える
  • 管理職の関わり方を変える
  • 評価や成長を見えるようにする
  • 退職から会社の課題を学ぶ

一つずつ整えていく。

その結果、社員が仕事を楽しみ、長く活躍できる会社になる。

そして社長も、採用と退職の繰り返しに追われる時間が減っていく。

社長が楽になれば、会社はもっと良くなる。

人が定着する会社をつくることも、そのための大切な一歩です。

まとめ|「誰が辞めたか」より、「なぜ同じことが続いているか」を見る

社員が辞めたとき、その人自身に理由があることもあります。

会社側に理由があることもあります。

そして、その両方が重なっていることもあります。

だから、誰か一人を悪者にする必要はありません。

ただ、社員が次々辞めているのであれば、一度確認してみてください。

  • 採用時に現実も伝えているか
  • 入社後の受け入れは整っているか
  • 特定の上司や部署に離職が集中していないか
  • 社員に成長や将来が見えているか
  • 退職者から会社が学べているか

その中に、会社が変えられることが一つでもあるかもしれません。

退職者をゼロにする必要はありません。

でも、

辞めなくてもよかった人まで辞める会社にはしない。

そのために、離職を単なる「人がいなくなった出来事」で終わらせず、

会社をより良くするためのサインとして見る。

そこから、定着する組織づくりは始まります。


社員の定着・離職でお悩みですか?

JAPANVISIONでは、中小企業の社長のための定着支援・組織づくりのご相談を承っています。
「なぜ人が辞めるのか分からない」「採用しても定着しない」という段階からでも、一緒に整理することができます。

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