社長の100の悩み

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管理職が育たない。結局、社長に相談が全部戻ってくるのはなぜ?社長の100の悩み|第4回

「管理職を置いたのに、結局みんな私に聞きに来る」

「部長なのに、自分では何も決めてくれない」

「プレイヤーとしては優秀だったのに、部下を持たせたらうまくいかない」

——中小企業の社長から、こんな相談を受けることがあります。

社員が増えてきた。
社長一人では見られなくなってきた。

そこで、仕事のできる社員を主任、課長、部長にする。

ところが、肩書きは管理職になったのに、組織はあまり変わらない。

社員から相談されると社長に聞く。
問題が起きると社長に聞く。
判断に迷うと社長に聞く。

そして社長は、

「これなら管理職を置いた意味がないじゃないか」

と思ってしまう。

でも、その管理職は本当に、「管理職の仕事」を教えられたことがあるでしょうか。

本記事では、「管理職が育たない」と感じたときに、社長がまず見直したい5つのポイントについて解説します。

管理職が育たない本当の理由

中小企業では、仕事のできる社員が管理職になることが多くあります。

  • 営業成績がいい
  • 技術力がある
  • 仕事が早い
  • 責任感がある
  • 社長から見ても信頼できる

だから、

「そろそろ課長を任せよう」

となる。

これは自然な流れです。

ただ、一つ大きな問題があります。

プレイヤーとして仕事ができることと、管理職として仕事ができることは、同じではありません。

プレイヤーは、自分が成果を出す。

管理職は、部下を通じてチームとして成果を出す。

つまり、役職が変わった瞬間に、求められる仕事そのものが変わっています。

ところが、肩書きだけ課長になって、仕事は昨日までとほとんど同じ。

そこに、

「部下も見ておいて」

が追加される。

これでは、管理職が育たないのも不思議ではありません。

管理職が育たないときに、社長が見直したい5つのこと

管理職がなかなか育たないと感じたら、本人の能力や意識だけを見る前に、次の5つを確認してみてください。

管理職が育たないときに見直したい5つのこと

  1. 管理職の仕事を具体的に伝えているか
  2. プレイヤーの仕事を抱えさせすぎていないか
  3. 判断する権限を渡しているか
  4. 失敗したとき、「答え」を教えすぎていないか
  5. 社長が管理職を飛び越えて、社員に直接指示していないか

① 管理職の仕事を具体的に伝えているか

「部下をまとめてほしい」

「もっとマネジメントしてほしい」

「リーダーシップを発揮してほしい」

どれも間違ってはいません。

でも、かなり曖昧です。

例えば、

  • 部下の仕事の進捗を確認する
  • 問題が起きる前に声をかける
  • 月に一度、部下と話す時間をつくる
  • 自分の部署で解決できる問題は自分で判断する
  • 部署の目標をメンバーに伝える

ここまで具体的になって初めて、本人にも「管理職として何をすればいいのか」が見えてきます。

役職を与えるだけでは、役割は伝わりません。

② プレイヤーの仕事を抱えさせすぎていないか

これは、中小企業で特に起こりやすい問題です。

課長になった。

でも、担当のお客様はそのまま。

現場にも出る。

自分の売上目標もある。

その上で、

「部下を育てて」
「チームをまとめて」

と言われる。

本人からすると、

「いつやればいいんですか?」

となります。

管理職になったのに、プレイヤー時代の仕事が100%残ったままでは、マネジメントに時間を使うことはできません。

管理職に新しい仕事を与えるなら、何を減らすのかも一緒に考える必要があります。

③ 判断する権限を渡しているか

社長から、

「もっと自分で考えてほしい」

と言われる。

だから管理職が、自分で判断する。

ところが、

「なんで勝手に決めたの?」

と言われる。

これが何度か続くと、どうなるでしょうか。

当然、「社長に確認してから決めよう」となります。

管理職が判断しないのではなく、判断しない方が安全な会社になっていることがあります。

だから、

  • ここまでは自分で決めていい
  • ここからは社長へ相談する
  • この金額以上は確認する
  • この種類の問題は必ず報告する

というように、責任と一緒に権限を渡すことが必要です。

④ 失敗したとき、「答え」を教えすぎていないか

管理職が判断を間違えた。

社長は経験があるので、

「それはこうすればよかったんだよ」

と、すぐ答えを教えられます。

もちろん、急いでいるときにはそれでいい場面もあります。

でも毎回それを続けると、管理職は、

「社長に答えを聞いた方が早い」

となります。

そこで一度、

  • 「なぜそう判断した?」
  • 「他にどんな選択肢があった?」
  • 「次に同じことが起きたらどうする?」

と聞いてみる。

答えを渡すのではなく、判断の仕方を一緒に考える。

管理職を育てるうえでは、こちらの方が大切な場面があります。

⑤ 社長が管理職を飛び越えて、社員に直接指示していないか

これは、社長自身が気づきにくいところです。

現場を歩いていると、社員から相談される。

社長は答えを知っている。

だから、

「それならこうした方がいいよ」

と直接指示する。

社長としては、ただ問題を解決しただけです。

でも管理職からすると、自分の知らないところで部下に指示が出ている。

部下からすると、

「課長に聞くより社長に聞いた方が早い」

となります。

これを繰り返すと、社長自身が、管理職の存在を弱くしてしまいます。

もちろん、社長が社員と話してはいけないわけではありません。

大切なのは、

「これは課長と一緒に考えてみて」

と戻すことができるか。

管理職が管理職として仕事をする場所を、社長がつくること。

これも管理職育成の一つです。

優秀なプレイヤーほど、管理職になって苦しむことがある

仕事のできる人は、自分でやった方が早いことを知っています。

部下に説明する。

やらせてみる。

確認する。

修正する。

これなら、

「自分でやった方が早い」

と思うのは当然です。

でも管理職になったら、それだけでは組織は大きくなりません。

自分が100点を取るのではなく、部下が60点、70点、80点と取れるようにする。

そして、その人たちが増えていく。

管理職には、「自分が成果を出す」から「人を通じて成果を出す」への変化が必要になります。

これは、本人にとってかなり大きな変化です。

だから、

「優秀だったのに、管理職になったらダメになった」

ではありません。

求められる仕事が変わったのに、その変化を会社が十分に支援できていない。

そんな可能性も考える必要があります。

管理職研修をやれば、管理職は育つのか

では、管理職研修をすれば解決するのでしょうか。

私は、それだけでは難しいと思っています。

もちろん、研修には意味があります。

  • 考え方を知る
  • 他の管理職と話す
  • 自分のマネジメントを振り返る
  • 新しい方法を学ぶ

こうした機会は大切です。

ただ、研修で、

「部下の話をよく聞きましょう」
「適切にフィードバックしましょう」

と学んでも、会社に戻ったらプレイヤーの仕事で一日が終わる。

何を判断していいか分からない。

社長が全部決める。

これでは、なかなか変わりません。

研修は、管理職を育てるための一つの手段です。

でも、

  • 役割
  • 権限
  • 仕事量
  • 社長との関係
  • 評価

こうした会社側の仕組みと一緒に考えなければ、研修だけで人を変えるのは難しい。

「研修をやったのに変わらない」というときほど、研修後に戻る会社の環境を見る必要があります。

管理職が育つと、社長の仕事が変わる

管理職が育つ一番大きな意味は、単に社長への相談件数が減ることではありません。

社長と社員の間に、「考えて、判断できる人」が増えることです。

すると、

  • 社員の問題を管理職が考える
  • 現場の問題を管理職が解決する
  • 部下を管理職が育てる
  • 社長は、管理職と会社の未来について話す

少しずつ、社長の仕事が変わっていきます。

これは第3回で取り上げた、「社長がいなくても会社が回る」にもつながります。

社長が全部の答えを持つ会社から、組織の中に考える人が増えていく会社へ。

そのための重要な存在が、管理職です。

「社長を、楽にする。」ために管理職を育てる

JAPANVISIONのMissionは、

「社長を、楽にする。」

です。

ここでいう「楽」は、社長が何もしなくなることではありません。

社員からの相談。

現場のトラブル。

細かな判断。

人間関係の問題。

こうしたものがすべて社長に集まってくる状態から、

  • 管理職が考える
  • 管理職が判断する
  • 管理職が人を育てる

状態へ変えていく。

その結果、社長が、

  • 会社の未来を考える
  • 新しい仕事をつくる
  • 大切なお客様に会う
  • 社員とゆっくり話す
  • 少し会社から離れて考える

そんな時間を持てるようになる。

社長が楽になれば、会社はもっと良くなる。

管理職を育てることは、そのための重要な一歩だと考えています。

まとめ|管理職を責める前に、「管理職として働ける会社」になっているか

「うちの管理職は育たない」

そう感じたとき、本人の能力や意識だけで結論を出す前に、一度確認してみてください。

  • 管理職の役割は具体的になっているか
  • プレイヤーの仕事を抱えすぎていないか
  • 判断する権限を渡しているか
  • 失敗したとき、答えだけを教えていないか
  • 社長自身が管理職を飛び越えていないか

管理職という肩書きを付けただけで、人が突然マネジメントできるようになるわけではありません。

管理職を育てるということは、その人を教育するだけではなく、管理職として働ける環境を会社につくること。

そこまで考えて初めて、管理職は少しずつ「社長への伝言係」ではなくなっていきます。

そして、

社長に相談しなくても決められることが一つ増える。

また一つ増える。

その積み重ねが、

社長一人で動かす会社から、組織で動く会社への変化

につながっていきます。


管理職のことでお悩みですか?

JAPANVISIONでは、中小企業の社長のための管理職育成・組織づくりのご相談を承っています。
「研修をしたけれど変わらない」「管理職にどこまで任せればいいかわからない」という段階からでも、一緒に整理することができます。

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