「自分がいないと、何も決まらない」
「休みの日でも社員から電話がかかってくる」
「結局、最後は全部自分が判断している」
——中小企業の社長から、こうした話を聞くことがあります。
会社を立ち上げた当初は、それで問題ありません。
社員が少なければ、社長が営業をして、現場を見て、採用して、判断する。
むしろ、その方が早い。
でも、社員が10人、20人、50人と増えても同じ状態が続くと、少しずつ会社が苦しくなっていきます。
社長は忙しくなる。
社員は判断しなくなる。
管理職は育たない。
そして、
「自分がいないと会社が回らない」
という状態になります。
本記事では、「社長がいないと会社が回らない」と感じたときに、見直したい5つのポイントについて解説します。
社長がいないと会社が回らなくなる本当の理由
少し意外かもしれません。
社長がいないと会社が回らない原因は、社長が仕事のできない人だからではなく、むしろ仕事のできる人だから起きることがあります。
判断が早い。
経験がある。
お客様のことも分かっている。
トラブルへの対応もできる。
だから社員が迷っていると、
「こうすればいいよ」
と、すぐに答えられます。
社員が30分かけて考えることを、社長なら3分で判断できる。
短期的には、社長が決めた方が圧倒的に効率的です。
でも、それを繰り返すと、社員は少しずつ、
「分からなければ社長に聞けばいい」
と思うようになります。
社長が答えるほど、社員が考えなくなる。
そんな状態が、知らないうちにできてしまうことがあります。
社長がいないと会社が回らないときに、見直したい5つのこと
もし今、「自分がいないと会社が回らない」と感じているなら、まず次の5つを確認してみてください。
社長がいないと回らない会社で見直したい5つのこと
- 社長しか決められないことが多すぎないか
- 任せる範囲が言葉になっているか
- 失敗した社員から仕事を取り上げていないか
- 管理職が「社長への伝言係」になっていないか
- 社長自身が「任せること」を怖がっていないか
① 社長しか決められないことが多すぎないか
会社には、当然社長が決めるべきことがあります。
- 大きな投資
- 事業方針
- 重要な人事
- 会社の将来に関わる判断
こうしたものは、社長が決めるべきです。
でも、
- 日々の小さな値引き
- シフト調整
- 備品購入
- お客様へのちょっとした対応
- 現場での細かな判断
こうしたことまで全部社長が決めていると、会社は社長待ちになります。
一度、
「これは本当に社長が決める必要があるのか?」
を整理してみることをおすすめします。
② 任せる範囲が言葉になっているか
「もっと自分で判断してほしい」と思っていても、社員からすると、
「どこまで自分で決めていいのか分からない」
ということがあります。
例えば、
- 「5万円までなら自分で判断していい」
- 「このケースは課長判断」
- 「この条件に該当したら社長へ相談」
というように、判断の範囲を具体的にする。
これだけでも、社員の動きは変わります。
任せるとは、「好きにやっていい」ではありません。
どこまで任せるのかを明確にすることです。
③ 失敗した社員から仕事を取り上げていないか
社員に任せてみた。
でも失敗した。
そこで、
「やっぱり自分がやった方が早い」
と仕事を取り上げる。
気持ちはよく分かります。
でも、失敗した瞬間に仕事を戻してしまうと、社員は経験を積めません。
もちろん、同じ失敗を何度も放置する必要はありません。
大切なのは、
「なぜ失敗した?」
で終わらず、
「次に同じ状況になったら、どう判断する?」
まで一緒に考えることです。
失敗をなくすことではなく、失敗から判断基準を学ぶ。
それが、任せられる社員を増やすことにつながります。
④ 管理職が「社長への伝言係」になっていないか
社員数が増えてくると、管理職が必要になります。
でも肩書きだけ管理職になっていて、
社員から相談を受ける。
↓
社長に聞く。
↓
社長の答えを社員へ伝える。
という状態になっている会社があります。
これでは、管理職ではなく「伝言係」です。
管理職に必要なのは、社長の代わりに答えを聞きに行くことではありません。
自分の責任範囲で判断すること。
そのためには、
- 管理職に何を期待するのか
- どこまで判断していいのか
- どんな基準で考えるのか
社長と管理職の間で合わせておく必要があります。
⑤ 社長自身が「任せること」を怖がっていないか
実は、ここが一番難しいかもしれません。
社長は会社を一番大切にしています。
だから、
- 「このお客様には失礼があってはいけない」
- 「この仕事は絶対失敗できない」
- 「社員に任せて問題になったら困る」
と考えます。
すると、重要な仕事ほど手放せません。
でも、重要な仕事をいつまでも渡さなければ、社員は重要な仕事ができるようにはなりません。
だから任せるときには、いきなり100%渡す必要はありません。
最初は20%。
次は50%。
そして80%。
少しずつ任せる範囲を広げていけばいい。
任せることは、社長が仕事を放棄することではありません。
会社が次の段階へ進むための仕事です。
「自分がやった方が早い」は、たぶん正しい
社員育成や組織づくりの話をすると、
「社長がやってはいけません」
と言われることがあります。
私は、そう単純には考えていません。
実際、社長がやった方が早いことはたくさんあります。
むしろ、その会社をつくった社長なら、社員より早くできて当然です。
問題は、
今日早いことと、3年後に会社が強くなることは同じではない。
ということです。
今日だけを考えれば、自分がやる。
会社の未来を考えるなら、時間がかかっても誰かに任せる。
社長は、この二つをいつも選択しています。
だから、
「自分がやった方が早い」
と思ったときほど、もう一つ質問してみてください。
「これは、3年後も自分がやる仕事だろうか?」
もし答えが「違う」なら、少しずつ手放す準備を始めた方がいいかもしれません。
社長がいなくても回る会社と、社長がいらない会社は違う
ここは、とても大切です。
「社長がいなくても会社が回る」というと、
「だったら社長はいらないのでは?」
と思うかもしれません。
もちろん違います。
会社にとって社長の役割は非常に大きい。
- どこへ向かうのか
- 何をやるのか
- 何をやらないのか
- どこにお金を使うのか
- どんな会社にするのか
こうしたことは、社長にしかできません。
だからこそ、日々の細かな判断に社長の時間を使い切るのはもったいない。
社員や管理職に任せられるものを増やし、社長にしかできない仕事に時間を使う。
これが理想です。
「社長が楽になる」は、仕事をしなくなることではありません
JAPANVISIONでは、
「社長が楽になる」
という言葉を大切にしています。
でも、社長がゴルフだけしていればいい会社をつくりたいわけではありません。
もちろん、ゴルフに行けるならそれもいいですが(笑)。
私たちが考える「楽」は、社長が、本当にやるべきことに集中できる状態です。
人の問題。
細かな確認。
社員からの相談。
採用。
トラブル処理。
それらに一日中追われるのではなく、
- 会社の未来を考える
- 新しい事業を考える
- お客様に会う
- 社員と向き合う
- 少し会社から離れて考える時間をつくる
そんな余白を持てること。
社長が楽になれば、社長自身も仕事を楽しみやすくなります。
そして私は、社長が仕事を楽しめる会社の方が、社員にとっても良い会社になりやすいと考えています。
まとめ|社長がいなくても回る仕組みを、一つずつ増やす
「自分がいないと会社が回らない」と感じたとき、いきなり会社全体を変える必要はありません。
まずは、
- これは本当に自分が決める仕事なのか
- 誰かに任せられないか
- 任せる範囲は明確か
- 管理職が判断できているか
- 失敗したとき、仕事を取り上げすぎていないか
一つずつ確認してみてください。
社長がいなくてもできる仕事が一つ増える。
また一つ増える。
その積み重ねが、
「社長が全部やる会社」から「組織で動く会社」への変化
につながります。
社長が会社からいなくなる必要はありません。
ただ、社長がいなければ何も進まない会社からは、卒業した方がいい。
その方が、会社も強くなります。
そして何より、社長自身がもっと経営を楽しめるはずです。
「自分がいないと会社が回らない」と感じていませんか?
JAPANVISIONでは、中小企業の社長のための組織づくり・管理職育成のご相談を承っています。
「何を任せればいいかわからない」「管理職が育たない」という段階からでも、一緒に整理することができます。
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